第20話 世界史2
「それから、「大将軍」は、アルテルンセン、レミントン、イグドラシア、アトラクア、アトランティアの四つの国を建国。
自らは「パスキール大帝国大帝」と名乗り、配下の将軍たちを皇帝に任命して各地を統治させた。
他にも、竜族の都市ドラゴンシティと交流を持つベルナードとも良好な関係を築いていたことが、当時の遺跡からもわかっている。
驚嘆すべきは、今我々が見ている錬金術・科学文明の八割は、滅ぶ前の古代文明から引き継いだものだ。」
「つまりは、これまたパクリにゃ!?」
フェロン先生の講義に、これまた突っ込むナキ。
「それは、正確ではない。」
「にゃ!?」
びっくらこくナキ。
「古代文明の終焉期・・・
医療目的で遺伝子工学を研究していた科学導師が、学会を追われたことから始まる。
姫。
身体の一部や内臓が使い物にならなくなったら、あなたが機械工学に詳しい科学導師なら、どうされる?」
唐突の先生が、振ってきた。
「えーと・・・
義手や義足で補います。
機械臓器を移植する方法もありますが・・・」
「正解。」
先がなんとなく読めてきた。
「しかしながら、それは完全ではない。
なぜなら元の身体と違い、機械だからだ。
ゆえに故障や寿命もある。
人とて不死ではないが、比べればすぐにだめになる。
肉体の防衛機能が仇になる場合もある。」
確か、人工臓器がそれでいかれたという話も聞く。
「じゃあ・・・
遺伝情報を組み込むことで、「部品」を作ってしまえる特殊な細胞を合成してしまったのでは?」
だとすれば凄い話だ。
IPS細胞という奴か・・・
凄い話だ。
「そうだ。
しかし、このいわゆる「万能細胞」には、欠点があった。
「人間」の受精卵を原材料として使用するからだ。
ナキ。君は、「提供者」になりたいか?」
「嫌にゃ。それって、お腹の赤ちゃんもってかれるってことにゃ。」
そういうことだ。と言いつつ続ける。
「だから、「当人」の遺伝情報を書き込める「人工」のそれを合成したのだ。
これを「超万能細胞」という。
しかし・・・
この功績は、資金横領問題をでっちあげられ、報道で糾弾され、「なかったこと」にされた。」
おや・・・
STAP細胞の事件に似ているような・・・
「「前世」の事件で、似たような話を聞いたことがあります。」
「話が早い。
そう・・・
だから、その科学導師は、「真犯人」をバラバラ死体にして逃走・・・
しまいには、「超万能細胞」をもってして「超魔王ガルアレート」を生み出し、自らを組み込み暴走・・・最終的には、文明を滅ぼした。
しかし、被害をそれだけに食い止めた二人の騎士と魔女がいた。
「超魔王」は、六人の勇者に封印され、すんでのところで重要な技術書や書籍を持ち出した魔女の使い魔の猫は、技術を伝え、いずれ復活する「超魔王」に備えることとした。
これが、王立図書館の成立となる。」
「あの博士」の事件をモデルにしています。