第19話 世界史
「まあ・・・
こうして、始祖エルフたちは事実上、神霊族を絶滅させた。
そして、神霊族の王を処刑した。
それまで、彼らは「それ以外」の目的はなかったのだから仕方ない。」
世界史の先生・フェロン・ミストリア先生が、講義する。
「両親たちの敵討ちにゃ?
だと、燃え尽き症候群になっちゃうにゃ。」
ナキが、ちゃちゃを入れる。
「ところがどっこい、そうはいかなかった。
始祖エルフたちには、新しい「家族」がいた。
「試作型獣人兵器」・・・
すなわち、「獣人族」の最初の者たちだ。
だから、自分たちと「獣人族」の「交配・繁殖実験」と管理のため、まるごと神霊族の社会を踏襲せざを得なかった。」
「ううッ・・・
エグいにゃ・・・
二重のギロチン・・・
あちしには、思いつかないにゃ・・・」
ナキは、ぶるっと身体を震わせる。
始祖エルフの最初の大帝による、アールヴ最後の「神帝」の処刑を思い出したのだ。
「確か、「一の刃」は、丸くくぼみがあって、首を傷つけないつくりになっている・・・
だから、一の刃じゃ「死なない」。」
私が、淡々と解説した。
「その後に、「二の刃」が、マジで首を落とすにゃ!
怖いにゃ!」
「どうやら、始祖エルフの「大将軍」は、「三の刃」「四の刃」を作るつもりだったが、コストが折り合わないため、やめたらしいが。」
先生は、続ける。
「話を戻すが、つまりはだ。
エルフたちは、「やるべきこと」をやった後、「生活」するために「建国」した。
そこは、我々の初代女王ノワール様と共通するところだ。
そうして、神霊族の遺した魔法、錬金術、科学技術・・・
これらに手を加え、発展させた。」
「パクリにゃ。」
「まあ・・・そうだな。」
ナキに返しつつ、先生は説明する。
「そして、「地球」では、ライテス卿の前世の時代でいう、二十一世紀を凌駕する文明となるが・・・」
そのとき、予鈴が鳴る。
「今日は、ここまでだ。」
「ノクターン」の「エルフ古代文明史」の話をちょこっと。