第192話 戦場報道官滝川クリスタル四世
キティルハルム王都を、一人のスーツ姿の人狼の女性が歩いていた。
「うまい!
人猫は、グルメだって聞いてたけど、特にこのキティルハルムの民はすごい!
特にゲテモノ料理のくせして、味が反比例している!」
女性の尻尾が、左右のブンブンと振れている。
エルフの血が混ざっているのか、金髪である。
「うーむ・・・
この記者魂が、燃える!
ご先祖様の・・・
古代と近代で活躍した報道官の血が燃える!」
うおーッ!
彼女は、おたけびをあげた。
「おおおおおおおおおおおおおおおッ!」
「わわッ!」
城門を突き破らん限りに、全力ダッシュしてきた不審な人狼に、門番をしていた騎士は、すかさず足をかけた。
ずでッ!
ザザザ・・・
「ふぎゃッ!」
そのまま、庭園の樹にひっかかって止まる。
「失礼ですが、国籍・所属・姓名・目的をどうぞ。
基本的に、王宮は身分関わらず門戸を開いておりますが、さすがに不審者はお通しできかねますので。」
職務に忠実な騎士である。
「う・・・うう・・・」
うめきながらも、人狼は、カードと手形の書類を取り出し、騎士に見せる。
「トラルティール王国国営放送局所属報道官滝川クリスタル四世・・・
国王による印章入り取材許可証・・・
よろしい。
陛下は、王宮におられます。
謁見の取次ぎを行います。」
言うと、騎士は滝川クリスタル四世なる人物を担いで、通信版を取り出した。
「あ・・・もしもし・・・陛下であられますか・・・?
はい・・・
はい・・・
了解しました。
至急、応接間にお連れいたします。」
騎士は、そのまま彼女を王宮内に運んでいった。
彼女のモデルは、あの人です。




