第169話 仕事納め4 人間椅子
これまた、「これノミ」に手を合わせ、作業にとりかかるナキ。
「よーっしゃあ!」
ナキは、「作品」にワックスを塗り、その上から石膏を盛っていく。
ところどころに、アクリルの板を刺すのを忘れない。
そして、石膏が全て固まると、それを外す。
原型表面を、電動ドリルで、削っていく。
石膏を型とし、一部に穴を開け、融けたオリハルコンを流し込む。
「石膏は、オリハルコンの熱でも燃えたりしないにゃ~」
このやりかたは、初代ミケランジェロの頃から変っていない。
「後は、冷えるまで待つにゃ~」
その時、リケが工房に入ってきた。
「あ・・・リケちゃん・・・」
リケは、図面を見ていた。
「まさか・・・原型に、「聖地」の土・・・使ったにゃ?」
「そうにゃ・・・って・・・」
「悪趣味な作品に・・・」
「で・・・でも・・・」
「まったく・・・「聖地」の土は、あちしがすばらしい作品のために見つけた土にゃ・・・」
あきれ返るリケ。
「良かったら、神殿に飾る神像も作るにゃ。」
「やめてにゃ。
母ちゃんが、供えてくれた像で充分にゃ。」
これだから・・・と、リケは肩をすくめる。
「そろそれにゃ・・・」
ナキは、石膏型を外していく。
「熱いにゃ・・・手が溶けるにゃ。」
「良かったにゃ・・・」
返しに、ナキは憮然とする。
「ここは、「焼ける」んだ。と、突っ込むところだにゃ・・・」
そして、リケは絶句・・・
「趣味悪いにゃ・・・
これって、「大魔皇エクシィル」にゃ・・・」
そう・・・大魔皇エクシィルを象った「人間椅子」である。
ちょうど、エクシィルの後頭部に腰掛ける形になる。
「いい出来映えにゃ!」
「貴重なオリハルコンの無駄使いにゃ・・・」
リケは、あきれ返った。
「あの先祖と雲泥の差にゃ・・・」
ナキ:芸術は・・・
爆発にゃーッ!




