第159話 職場心理学
王立学校特別教師。
まれに、女王がやる仕事の一つ。
私の専攻は、「職場心理学」だ。
そこ、笑うな!
大事なんだぞ!
そこの教室には、ユニィのクラスがそろっていた。
「では、ミラ。あなたが工場で組立作業をしています。
相方のユニィが、行程を一つ飛ばしてしまいました。どう叱りますか?」
問いに、ミラはフフンと笑う。
「姫様と言えど過ちは、過ちにゃ。
「何でこんな簡単なことやってないにゃ!」だにゃ。」
ふっ・・・
違うのだよ。
だから、職場はよくならん。
「正しいけれど、正しくないわ。」
すると、ユニィが挙手する。
「正解は、「何でここを「忘れた」か?」なの。
失敗する人はミスの多いバカだけじゃないの。プロのベテランだってするの。
そんな人にとって失敗は、ありえないの。一方通行に叱るんじゃなくて、教えてあげるの!」
「そうにゃ!?」
びっくりしている。
「ええ。
これだと、ユニィは、ミラの回答でどう対応する?」
「えーと・・・「私はプロなの!絶対、そんなことしないの!」なの。」
「そう。
あなたの回答だと?」
「うーん・・・「ごめんなの。今度から、気をつけるの!」なの。」
「そうなるわね。」
「納得いかないにゃ!」
「でも、これが「職場」というものよ。
叱りながら、相手に「納得させる」。これが優先されます。
では・・・」
この例題は、勇者ルミナリアが父であるライテスに伝授された手法だ。
私は、アルミニウム、銅、鉄のインゴットを取り出し、教卓に置いた。
くそ・・・
身重の身体に、コレは重い・・・
「これで、剣を打てと言われたら、あなた方はどう答えますか?」
アルムスが答える。
「アルミニウムと銅は、融かして型に流し込みます。
アルミニウムの場合、ボーキサイトから採りだす必要があるので、一からやることになれば「電気精錬」を行う必要があります。
鉄は、ひたすら鍛えあげればいいのです。」
「正解。」
「つまり、人によってどのように指導すればいいのか、異なる訳ですね。」
ヴィブリオが言う。
「そうです。」
うん!
こうやって、啓蒙すれば末端の職場もよくなる!
こんな教育・・・
義務教育でやってたらいいなあ・・・




