第119話 教師の子だからといっても・・・
アルムス君のおばあさんは、教師。
お父さんが、騎士だ。
しかも彼は、次男。
教師にならずともいい。
家業があるからといって、継ぐ義務はない。
ましてや次男だ。
とはいえ、そんな家系に生まれたものだから、頭はいい。
しかもだ、リアルタイムで宇宙から来た使節団を迎え入れ、国を案内し、なおかつ友好国の宇宙艦隊の危機を救った英雄である、自国の王太子を見ているのだ。
「僕、ライル二世陛下の伝記を読んで育ったんです。
だから、宇宙を航海しようっていうユニィ様がまぶしくて・・・」
アルムス君は、尻尾をくねらせて、私を見た。
こりゃ、ユニィの奴もいい人材を発掘したなあ・・・
「よっしゃ!
かつての地球では、「宇宙飛行士」って奴ぁ、「科学導師」と「騎士」を両立してたんだ!
厳しいぞぉ!」
「望むところです!」
そうなのだ。
かつて、地球で米ソの冷戦期は、宇宙飛行士は、軍人から選ばれたという。
「なぜですか?」
「騎士は、もともと厳しい修行と規律で鍛えられているわ。
だから、宇宙へ日帰りで行く時代は、これでよかった。
やがて、ノウハウが蓄積されてくると、科学導師が・・・
報道官が、宇宙に行くようになった。」
「母さま、総合導師で、宇宙で戦ってるの!
ユニィや、アルムス君が安心して旅立てるようにがんばってくれてるの!」
「うれしいこと言うねぇ!」
よおッしゃあ!がんばるぞ!
やがて、完全な「民間人」が宇宙へいくのでしょう。
地球のように。




