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第115話 沈黙は「謝罪」なり

とりあえず、段取りだ。


欲しかった「ワープ」に関連する理論は、片っ端から記録保管機メモリパックに記録した。


ああ・・・


めんどくさい・・・


じっくり写本したかったのに、そんな時間もないとは・・・


仕方がない、後でゆっくり写本するか・・・


「任せるにゃ。

お金がかかるけど、しっかりやるにゃ。」


ルカ様が、謝罪をしたいと言っていると伝えると、アリシアはにたーっと笑った。


怖い。


キティルハルム催事総合映画館・・・


ここに、聖鳳凰ルカ様、チェシャ猫さん、教皇猊下が、上座にいた。


凄いことに、今会場には十代以上のミケランジェロ一族でいっぱいである。


すでに、ルカ様からの謝罪があったが、見事に総ブーイングだった。


ここまでくるとかわいそうですらある。


「これより、始まりますにゃ。」


厳粛な声で、アリシアが取り仕切る。


かなりドスが効いている。


照明が消され、スクリーンに映像が映し出される。



『おらっ!もう終わりか!?』


アトランティアの神官兵に、凌辱され、汚れきった年端のいかない幼女・・・


初代ミケランジェロの末娘、リケ・ミケランジェロであった。


『神様に仕える人が、そんな事しちゃだめにゃ・・・』


『獣風情が!』


なんとか不意を突いて、逃げ切るリケ。


『帰るにゃ・・・帰って、母ちゃんのシチューを食べるにゃ・・・』


ずびーっ!


鼻をかむ音がする。


あ。


涙目のルカ様が、どこからともなく出したティッシュで鼻をかんでいた。


滂沱の涙を流れている。


けれど、リケは神官兵に受けた暴行と逃げることに全ての体力と生命力を使ってしまっていて、駆けつけて回復魔法をかけた母ミケランジェロの応急処置も無駄だった。


「緊急事態です!」


宰相となったエラルが、女王ノワールに事の次第を報告する。


「どうしたの?」


「それが・・・

どうやら、「神の名において、獣が人の真似をすることは許しておけぬ。」というのです!」


アトランティアは、エルフの国・・・


ノワール女王は、考える。


宗教で、人を殺すなどあってはならぬ!


「ただちに、魔導師大隊と格闘士隊を出陣なさい!

これより私は、「神の使途」を名乗る神族でない者の生存と「宗教」を許しません!」


エラルは、青ざめた顔で通達を出した。



「これより、「国境」です教皇。」


「うむ。」


教皇エクシィル。


選民的なエルフ至上主義者だった。


「使い魔あがりの人猫ワーキャットなんぞを、認めてはならぬのだ!」


「はっ!」


ミスリルの鎧に身を包んだ神官兵が、進軍する。


しかし、突然進軍が止まった。


突然の魔法攻撃を受けたからだ。


そこには、兵を率いた人猫ワーキャットの女性がいた。


「私は「キティルハルム王国」女王ノワールです。」


ノワールは、言葉に覇気を込めて名乗った。


「何故、私の国民を殺しましたか?返答によっては許してさしあげます。

しかし、「宗教上」あるいは「偏見」によるものならば・・・」


ノワールは、オリハルコンで作られた「女王の勺」を兼ねる杖「永久エターナル図書館ライブラリ」を振り下ろす。


私一人・・・であなたがた全てを「神の名を汚した」罪で全滅させます!」


「神を冒涜するのか?」


「いいえ。

私は、あなたがたに謝罪を求めているだけです。

私に言わせれば、あなたがたは神の名に「泥を塗って」います。」


「この背教者をやれィ!」


教皇の命で、無数の矢と魔法が彼女に向かった。


「やれやれ・・・」


ノワールは、杖を振り下ろす。


「絶対魔法防御!」


続いて、脇にいた女王補佐官ライルが術を展開する。


「絶対物理障壁!」


二重の結界に防がれる。


「背教者はあなたがたです。

神は、人を殺せと仰せですか?

神は人を認めるなと仰せですか?

できることなら私は、ご主人様と同族のあなたがたと戦いたくはなかった!

しかし、悪しき前例は認めてはなりません!」


女王の全身から、魔法力がほとばしった。


永久氷河封エターナル・プリズン!」


裁きの吹雪ジャッジメント・ブレスの変形・・・


「きょ・・・教皇・・・か・・・身体が・・・」


「う・・・うろたえるでない・・・!」


吹雪は、アトランティアの軍勢・・・


いや、国土をおおっていく。


「私は、術式に「呪い」をかけました。この氷は国全てをおおいます。

はるか未来、「術者」あるいは「血族」がかけた術ならば「解呪」できる法を編み出す者も現れるでしょう。

しかしこの「呪い」は、私の血が薄くなるごとに「解呪」できにくくしておきました。

法が編み出される頃には、「解呪」できなくなっていることでしょう。」


「お・・・おのれ・・・」


教皇は、その憎しみの目を私に向ける。


「そうだ。

氷の中でも「生きて」いられるように術式に加えなければ・・・

それと、強制的に意識を保つ術式も・・・」


その日、宗教国家アトランティアは消滅した。


「キティルハルム初代女王」ノワールの怒りに触れて・・・


アトランティアの「封印」後・・・


「かあちゃん、なにやってるにゃ・・・」


「一番可愛がっていた妹だからな・・・」


ミケランジェロの子供たちは、ジャンルは違えど、「芸術家・職人」として大成しつつあった。


「ミケならあそこですよ。」


葬儀を仕切っていた女王ノワールが、荷車を引っ張ってきたミケランジェロを見つけた。


そして、荷台にあったのは・・・


「母ちゃん・・・これ・・・」


「リケにプレゼントにゃ・・・

あいつ・・・

あちしのオリハルコン像・・・

楽しみにしてたにゃ・・・」


涙を流す、ミケランジェロ・・・


やがて、ミケランジェロ一族が総力をあげて製作したアニメ映画は、終了する。



なにか言わなくては・・・


とルカ様は、照明が点けられたと同時にステージへと進み出た。


そして、会場にいる全ての者に謝罪の言葉をかけようとして、膝からくずれおちた。


「うッ・・・くッ・・・」


涙が止まらない・・・


それを確認した、ミケランジェロ一族は総員ステージ前に進み出て、騎士のようにひざまずく。


物凄く落ち着いた様子で。


「キティルハルム王家に代わり、国民を代表し、ミケランジェロ一族・・・

確かに、あなた様の謝罪のお言葉・・・

承りましたにゃ。

我が一族にとって、謝罪の言葉は偽り。

故に信用しませんにゃ。

しかし、あなたさまは、その態度をもって謝罪のお言葉とされた。

故に畏れ多くも、心からの謝罪として授かったものといたしますにゃ。」


アリシアは、真剣な態度で言葉を発した。



時に、謝罪の言葉は尽くせばつくすほど信用されないこともあります。

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