89話 ピンクのうさぎさん2
「すーすー」
「すーすー」
「すーすー」
「にゃすーん」
皆の寝息が聞こえるが。
うーん。
うーん。
寝れんっ!
俺は全然寝れないっ!
昨日に引き続き、今日も眠れない。
布団に入っても眠れないのだ。
暫くゴロゴロして眠れなかった。
スパッ
俺は布団をはいで、ベッドから降りる事にした。
テコテコ テコテコ
部屋を出て夜風にあたりに行く。
ザザー ザザー
夜風が吹く中。
俺は折れた巨大樹を眺めていた。
ほんと。
デッカイ木だな。
この木が折れるなんてなー。
驚きだぜ。
夜風にあたっていると・・・
ピョンピョン
ピョンピョン
あっ。
ピンク色のうさぎだ。
うさぎさんだっ!
昨夜に引き続き。
また奴が現れた。
昨日の出来事は夢ではなかったようだ。
ピョンピョン
ピョンピョン
うさぎさんはその場で跳ね回る。
俺を誘うように、かわいいウサ耳を揺らす。
ピョンピョン
うさぎさんは元気一杯だ。
ヒョコヒョコ動いて俺を誘い出す。
しょうがないなー。
またついていってみようかな。
何かあるのかもしれない。
スタスタ スタスタ
俺はうさぎさんの後を追う。
ピョンピョン
ピョンピョン
うさぎさんが飛び跳ねる。
ダダっとダッシュしてみると。
うさぎさんは高速ピョンピョンする。
ううぅ・・・
近づけない
やはり俺と一定の距離を保っているようだ。
足を止めると、うさぎさんも足を止める。
うーん。
昨日と同じうさぎさんのなのかもしれない。
ピョンピョン
ピョンピョン
うさぎさんの後をテクテクと進んでいく。
途中。
石が落ちていたので。
ヒョイ ポイッ
拾って。
うさぎさんに向って投げてみると。
ササッ バコンッ
うおぉ!
うさぎのしっぽで石を打ち返された。
あやうく俺に当たるところだった。
ふぅー。
危ない危ない。
危機一髪。
セーフっ!
ピョンピョン
ピョンピョン
気を取り直して。
俺がうさぎさんについていくと。
再び巨大樹にできた穴に。
うーん。
おかしいなー。
こんな所に穴はなかったはずなのに。
俺は疑問に思いながらも、うさぎさんについていき。
穴の中に。
ピョンピョン
ピョンピョン
すると。
マナの光でふわふわと発光した空間。
やはり・・・昨日と同じ場所なのかもしれない。
それに、巨大樹の失われたマナ。
今目の前にしているのはそれなのかもしれない。
失われたマナがこの不思議な空間を作っているのだろうか?
ピョンピョン
ピョンピョン
おっ。
ドーム状の部屋に着いた。
部屋の中央には、光の球が集まった場所。
プラネタリウムの映写機の様なもの。
昨日と同じ場所かもしれない。
ガチャガチャガチャ
歯車の回る音がして、部屋が暗くなる。
ピョンピョン ドカッ
うさぎさんが再び映写機に体当たりする。
すると・・・
カタカタカタカタ
部屋の天井に映像が流しだされた。
映像は、昨日続きからのようだった。
・赤い土と砂の惑星。火星の様な場所
・チューブとドームでつながれた各都市
・透明な膜で覆われた中で、人々が暮らしている
・火星の表面がどんどん変っていく。
チューブとドームで覆われ、中には湖もできはじめた。
・隕石が一つのドームに直撃する。
・甚大な被害が出たのか、そのドームは放棄されたようだ。
・その後、何度か隕石がドームやチューブに直撃する。
・すると、惑星の空中に何やら浮かんで・・・バコーンッ!
飛んでくる隕石を破壊するようになった。
映像を見ながら。
ウトウトしてきた。
ちょっと眠くなってきた。
理科系のビデオはあまり得意ではないのだ。
深夜にやってるNHKの自然番組並みに眠くなる。
眠くなる映像だから、深夜にやっているのかもしれないが。
カラカラカラカラ カタンッ
ブツンッ
あっ。
また映像が消えた。
真っ暗になる会場。
今日はここまでで終わりかな。
昨日はすぐに明かりが戻ったろうから。
また光も戻るだろう。
俺がじっとしていると・・・
バンッ
ほらっ。
やっぱり光がついた。
二回目なので、あまり驚かなかったな。
俺は周りを見回すと。
あっ。
うさぎさんだ。
ピンク色のうさぎさんが近くにいた。
背中には映写機を背負っている。
やっぱり。
うさぎさんが映写機を片付けていたようだ。
ジーっとこちらを見ているうさぎさん。
ウサ耳がヒョコヒョコ動いている。
口をパクパク動かしているが。
何を言っているかはよく聞こえない。
なので。
近づいて聞こうとすると。
ピョコピョコ
ピョコピョコ
うさぎさんは壁の中に入って消えてしまった。
壁の中にすーっと入っていってしまったのだ。
まるで幽霊の様に。
映写機も一緒に。
え?
ええっ!
なんぞそれ!?
俺はビックリした。
慌ててうさぎさんが消えていった巨大樹の壁を触るが。
俺は通過できない。
ただの壁だ・・・
な、なんで・・・
どうなってるんだ?
俺は暫く壁をスリスリしたが。
何も見つける事はできなかった。
ならっと思い。
壁に両手を当てて魔力を流していくが・・・
あれ?
おかしい。
何かのシールドに覆われているかのように、全く何も探れない。
俺の魔力を巨大樹の中に通せないのだ。
こ、こんなこと・・・
一度だってなかったのに。
この場所はどうなってるんだ。
ペタッ ペタッ
何度か壁に魔力を通そうとするが・・・
ダメだ
一度も成功しない。
全く魔力が通らない。
うーん。
なんでだろう?
だが。
考えても分からない。
暫くドームの中を徘徊してから。
俺は元来た道を戻ることにした。
マナの光が溢れる中。
俺は外に向って進んだ。
すると。
外に出た。
全身で感じる開放感。
体全身で伸びをする。
夜風が気持ちいいぜー。
最高っ!
そう思った瞬間。
「へぇー、お前がー。この巨大樹の精霊か。探したぜー、やっと会えた」
ええ?
なんだって?
俺を見て微笑んでいる男が一人。
刀を持ったヤバそうな男が一人。
パチパチと音が鳴り、刀が時折光っている。
男が俺を見て微笑んでいた。




