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5話 VSアース・ドッグ

 ギコギコ ギシギシ

 拾った木を削り即席の槍完成。

 その先に「ヒガン・フラワー」の毒をたっぷり塗りつけた。

 塗り塗り、フフフっ。

 毒槍の完成。


 現代人感覚が残る俺としては、とんでもない物を作ってしまった感があるが、気にしない。

 気にしたら負けだと思う。

 今の俺はヴァンパイアだし。

 卵だし。

 武装は必須なのです。

 知力がなければ、迷宮では生きてはいけぬのです。


 これであの犬にも勝てるはず。

 後は木の穴の中でアースドッグを待つだけ。

 気長に待ちますか。

 こちらから探しに行かなくても、通りかかるだろうから。


 アースドッグを待ちながら、ついついヒガン・フラワーを見てしまう。

 奇麗な赤い花だけど、気になるのは鑑定の一文。


‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐

その他:ヒガン・フラワー

備考 :非常に強い毒性を持つ花。花びらから根まで、全ての部分が毒。

    特に球根部分の毒性は強い。しかし毒素を抜く事ができれば絶品。

‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐


 そうです。

 そうですよ。

 ―――毒素を抜く事が出来れば、絶品―――

 絶品とはどんな味なのか。


 それに、手元にあるのはせんべい改め、ヴァンパイアエッグの殻。

 毒から胃を守ってくれる食材。

 

‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐

その他:ヴァンパイアエッグの殻

備考 :食べると一定時間胃を保護し、毒でも食べられるようになる。

    希少度が高い食材

‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐


 これはもしや・・・きたか。

 きたっちゃかも。

 俺フィーバー?

 殻食べて胃を保護してからだったら、ヒガン・フラワーを食べられるのでは。

 絶品という言葉が誘惑する。

 

 殻せんべいも悪くはないけど・・・どうしようかなー。

 ちょっとだけフラワーを食べてみようかなー。

 殻の性能を試すという意味も込めて。

 いざというときに、殻の性能が嘘だったらまずいし。

 鑑定がミスってる場合もあるんだから。

 今のうちに鑑定の情報が正しいか確かめる必要があると思うのですよ。

 そうだな。

 そうしよう。

 どうしようか?


 チューチュー。

 センベイに牙を刺して、殻を吸いながら考える。

 そうそう。

 さっき気づいたんだけど、俺、牙あるのよ。

 で、ブスッて殻にさすと、ストローでジュースを飲んでるみたいに栄養とれるみたい。

 ヴァンパイアってのはマジなのかもしれない。

 卵被ってるから、今いちヴァンパイア感ないけど。


 よし!

 ではガブリとやりますか。

 殻で胃が保護されている今のうちに。


 ガブッ。

 牙をヒガンフラワーの根に差し込む。

 

 う、うめええええええええええええええええ。

 ファンタスティック!

 なんだこれ。

 甘くて喉が潤う。

 オレンジジュースみたいな味だ。

 

【熟練度が一定に達しました。スキル『毒耐性LV1』を獲得しました。】


 おおう。

 なんか手に入れた。

 毒耐性って事は、やっぱこのヒガン・フラワーのおかげか。

 

 美味いし耐性ゲット。

 ダブルでお得。

 いいことずくめじゃん。


 そんじゃ、もう一個飲むか。

 ガブッ。

 

 さらにもう一つ。

 ガブッ。


 ガブッ。


【熟練度が一定に達しました。スキル『毒耐性LV1』が『毒耐性LV2』になりました。】


 ガブッ。


 ガブッ。


 ガブッ。


 ガブッ。


 ガブッ。


 ガブッ。


【熟練度が一定に達しました。スキル『毒耐性LV2』が『毒耐性LV3』になりました。】


 ふぅー。

 満腹満腹。

 上手いのでついつい飲みすぎてしまったかも。

 お腹タポタポいってるから、この辺でいいかな。

 残りは取っておこう。

 いつの間にか、毒耐性もLV3になってるし。


 うーん。

 なんだか、満腹になると眠くなってきたな。

 完全に水腹だけど。

 ちょっと横になって休もうかな。




 zzzzzzzzzzz



 zzzzzzzzzzzz




 zzzzzzzzzzzz









 「うぉおお!」


 いつの間にか寝てた。

 満腹恐ろしいわ。

 心地よすぎ。

 しかし、こんな状況でも寝れるとは・・・

 俺の精神もダンジョン慣れしてきたのかも。 

 適応ですね。

 

 では、目覚ましに殻のせんべいを食べて。

 ヒガン・フラワージュースをちょっと飲む。

 

 くぅ~~。

 中々美味である。

 寝起きだけど美味い。

 朝食としてはかなり良いのでは。


 おお。

 ちょうどいいところにアースドッグの登場。

 そういえば、レベル表示がされるようになってから鑑定した事はなかったな。

 ではでは。



‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐

種族  :アースドッグ

レベル:3

‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐


 ふむふむ。

 レベル3ですかー。

 俺より2つも上ですね。

 でも、こっちには毒槍がある。

 効くかどうかは分からないけど、ブスッと遠くから投げれば倒せるかも。

 やってみる価値はあるはず。

 この木の穴の中には、アースドッグの体では入って来れないだろうし。

 リスクはない。


 よし、ならばやるか。

 用意した毒槍は3つ。

 初めの一本でどうにか倒したいところ。


 俺は木の穴の中から、目の前、5m程先にいるアースドッグに狙いをつける。

 いくぞ。

 アースドッグ。

 ヴァンパイアの力を今見せる。


 俺は毒槍を掲げてハイハイして加速する。

 イメージするのはオリンピックの槍投げ。

 限界のスピードまで加速し、腕を振りかぶる。


 ハイハイ ハイハイ ハイハイ エイッ

 俺の投げた槍が飛んでいき・・・


 ブーン ドスッ

「キャン」


 おおう。

 見事毒槍がアースドッグにささった。

 やりぃー。

 

「グルルルアアアアア」


 あれ?

 槍がささってるのに、あのお犬さん、生きてるんですが。

 生きてますよ・・・・

 さすがサイ並に大きさがあるだけはあるかも。

 毒の周りが遅いのかな・・・


 てかっ、こっち見てますよ。 

 めっちゃ睨まれてるんだけど。

 イヤイヤイヤ。

 槍投げたの俺じゃないですよ、って言ったら信じてくれるかな。

 そもそも話が通じそうにないから無理か。


 あっ。

 ヤバイヤバイ。


 ダダダダダッ ダダダダダッ

 アースドッグが俺めがけて走ってきた。

 完全にブチ切れてる。


 わああっ!

 避難、緊急退避せよ!

 とっさに木の穴の奥に避難し、毒槍を構える。


「グルルウアアアアアアアアアア!」


 ドスドス ドスドス

 木の穴に突撃して吼えるアースドッグ。


 ユサユサ ユサユサ

 アースドッグの突撃で木が揺れてますが、気にしない。

 大丈夫大丈夫。

 『迷宮の木』は多分頑丈なはず。

 アースドッグは、顔だけ穴の中につっこんできているけど、気にしない。

 唾とか飛んできてるけど、気にしない。

 ここは安全のはず。


 あれ?

 でも思ったけど・・・

 これはチャンスかも。

 今なら一方的に攻撃できる。

 だって、相手の顔だけ見えるんだから。

 毒槍でつつき放題じゃない?

 相手の噛み付きにさえ気をつけて距離を取ればいいかも。



 やってみよう。

 慎重に、慎重に、吼えているアースドッグに近づき。

 毒槍を構えてつっつく。


「エイッ エイッ エイッ」

 ドスッ ドスッ ドスッ

「キャン」


 お、おう・・・。

 なんか効いてるっぽい。

 これなら倒せるかも。

 よし、もうちょいやってみるか。


「エイッ エイッ エイッ」

 ドスッ ドスッ ドスッ

「キャン、キャン」


 ふぅー。

 だんだん動きが鈍ってきたアースドッグ。

 もしや、毒が回ってきたのかもしれない。


「キャン」

 バタン。

 

 あっ。

 とうとう動かなくなって地面に倒れた。

 あれれ?俺、倒しちゃったかも。

 やってしまったかな。


【経験値を12得ました。】

【ヴァンパイアエッグのLVが1から3に変化しました。】

【進化条件を満たしました】

 


 きたあああああああ!

 ウエェエエエエエエエエイ!


 とうとうやりました。

 まさか・・・あのデッカイ犬を倒せるとは・・・

 毒って強いかも。

 いやいや、俺のハイハイ投擲が決まったのかも。

 鋭い軌道を描いていた気もする。


 まぁ、どっちか分からないけど、これで卵生活からもおさらば間違いなし。

 進化条件満たしたらしいから。

 ぐふふふ。

 夢が広がりますね。

 さて、何に進化することやら。

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