43話 再び賢者の家
数時間後。
50層のエル爺さん家に到着。
つい先日この家を出たばかりだけど、なんだか懐かしさを感じる。
ザ・我が家って感じだ。
ただいま~エル爺さん。
「ほう。ここがエルフの家か。まさかダンジョン内に本当にあるとはな」
「そうなのです。それにこの層・・・とっても平和そうなのです。赤い花畑もあるのです」
エンさんとマリリンは色々衝撃をうけているようだ。
だがちゃんと注意はしておかないとな。
マリリンが赤花に触れようとしているから。
「マリリン。赤い花はヒガン・フラワーっていって、毒性が高いから注意した方がいいよ」
「な、なのですか・・・ふぅ~、あやうく罠にかかるところでした・・・あぶない、あぶない」
「これ程のヒガン・フラワー・・・自然では難しかろう。我は推測する」
おっ。
エンさんは気づいたようだ。
鋭い。
「エル爺さんだよ。魔物を追い払ってこの花を埋めたらしいから」
「す、すごいのです・・・私と同等の魔法使いかもしれませんね。そのエルフは」
感銘を受けているマリリン。
すぐにでもエル爺さんに入信しそうだ。
「ご主人しゃま~ご主人しゃま~。早く家に入ろうよ~。ベッドでゴロンしたいでしゅ」
「そうだね。アド」
ほほずりしてくるアドをあやす。
トントン トントン
ドアをノックするが・・・・反応はない。
また、部屋の中で何やら実験しているのかもしれない。
それなら入りましょうか。
「エル爺さん?中にはいるよ」
ガチャッ
俺は家の中に入った。
応接間につくと・・
モワモワモワ
見覚えの有る白い煙が漂っていた。
「ガハッ、ガハッ、がハッ」
席をしながら応接間に入ってくるエル爺さん。
煙を掻き分けるようにドアを閉めると・・・
「お、トクガワさんではないか、久しいのう」
「お久しぶりです」
「で、後ろにいるのは誰じゃ。アドちゃんと、娘っ子と・・・・ドラゴン?」
エル爺さんがコテっと首をかしげる。
「なんじゃ?」という顔だ。
「はい。冒険者のマリリンと、エンシェントグリーンドラゴンのエンさんです」
「よろしくなのです」
「ぬ、我がエンさんだ」
「・・・・」
エル爺さんは固まっている。
数秒後。
「トクガワさん。どういう事じゃ、エンシェントグリーンドラゴンといえば、古代種ではないか。
幻の種族。アドちゃんの他にも会えるとは・・・なんたることじゃ」
感激のあまりか、エル爺さんの目はウルウルだ。
魔物研究家の爺さんにはくるものがあるのかもしれない。
「ご主人しゃま~、ご主人しゃま~、アドはオネムなの~」
まぶたが重そうなアド。
アドは今日頑張ったからね。
「部屋に帰って先に寝てていいよ」
「そうするでしゅ~」
テクテクテク
アドが部屋をでていった。
「ぬ、主、我も休みたいぞ」
「私もなのです~」
皆さんお疲れのようだ。
今日は色々あったからね。
移動距離もかなり長い。
「それなら、皆止まっていくと良いのじゃ。ワシの弟子のトクガワさんの友じゃ。ゆっくりしていくといい」
「それでは、お言葉に甘えて」
「なのです」
「ぬっ、我もベッドが楽しみじゃ」
俺達はお馴染みのドア番号3の部屋に入った。
部屋の中にはベッドが4つあり、一人一つ十分に使える。
既に一つのベッドでは、アドが「すーすー」といびきを立てて寝ている。
俺は前使っていたベッドに腰をかけると。
マリリンとエンさんもベッドを選んだようだ。
「ぬ、っとう」
「なのです~」
トウッ バシャ
二人ともベッドに飛び込んで弾力を確かめている。
ポヨヨーンと跳ね返っている姿が楽しそうだ。
キャッキャッしている。
「あまり、はしゃぐなよ。ベッドが壊れるかもしれない」
「何、我は大丈夫だ。絶妙の力加減でダイブしておるぞ」
「あたしもなのです。最強の魔法使いマリリンなのですよ」
二人ともベッドにご執心。
何度も飛び跳ねている。
そういえばー、エンさんの体重とかどうなっているのだろうか。
あれだけ大きいドラゴンの姿から、小さく変化しているけど・・・
重そうには思えない。
ベッドも壊れていない。
きっと体重も相応に変化しているのだろう。
では、俺も寝ようかな。
ベッドに腰掛けていると眠くなってきた。
ZZZZZZZZZZZZZZZZZ
ZZZZZZZZZZZZZZZZZ
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トクガワさん達の帰宅を受け。
エル爺さんは唸っていた。
(まさかの~。トクガワさんには驚かされてばかりだ。
まさか古代種。それもエンシェントグリーンドラゴンを連れてこようとは。
随分小さな姿をしておったが、変化しているのあろう。
ワシには隠し切れない魔力が伝わってきたのじゃ)
エル爺さんは、足踏みをしてウロウロする。
心のうちにある思いを抑えきれないのだ。
ついつい足を動かしてしまう。
(今にも古代種を調べたいのじゃ。アドちゃんは中々心を開いてくれないからのう。
エンシェントグリーンドラゴンは違うのかしれないのじゃ。
どうしようかの~こそっと、寝ている姿をみてこようかの~)
エル爺さんは自室を出ると、数歩進んで足をとめる。
(やめとこうかの。今は疲れておるのじゃ。ぐっすり眠るのが一番じゃろう。
あの雰囲気からすると、長距離を移動してきたようじゃからのう)
エル爺さんは部屋に戻った。




