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42話 ムーン・リバー草

「ぬ、あの亀。まだウロウロしておるぞ。我と決着をつけたいのかもしれんな。受けてたつぞ」

「ご主人しゃま~いくさ?いくさする?ほふる?」

 49層の入り口付近にいるトリケラタートルを見て、戦意満タンのエンさんとアド。

 戦闘狂のお二人です。

 まったく、かわいい顔して血なまぐさいぜ。

「あれ、トリケラタートルなのです。無理ですよ、倒せっこないですよ。

 最強であるあたしの魔力が満タンでないと無理です」

 プルプル震えているマリリン。

 それが普通の反応だと思う。

 あんな大きくて山みたいな敵とは戦おうとは思わない。


「アド、エンさん。回避しよう。そっと見つからないように草だけとってこよう」

「ぬ、何故我がこそこそとせねばならん。こそこそするのはあの亀の方だ」

「アドも~アドも~こそこそはんた~い」

 エンさんとアドは不満げだ。

 アドはなんとなくのっかている感があるが。

「エンさんの方が強いのは分かってるけど、地形破壊はよくないよ。

 ムーン・フォックス達がまきこまれるかもしれないし。

 エンさんもアドも、皆のためを思って行動する優しい魔物だろ」

「ぬっ、そうだな。大きすぎる力はこまったものだ」

「アドも~こそこそでいいよ~」

「あたしも~最強なのですが、ここはこそこそこでいいですよ」

 

よしっ!

 なんとなくエンさんとアドへの対応の仕方が分かってきたかもしれない。

 ってか。

 マリリンも流れに入ってきた。

 一緒にアドに乗っているんだけど。

 興味深そうにアドの毛並みをなでている。

 犬好きなのかもしれないな~マリリンは。


「では、そうと決まれば行きますか」

「いくでしゅ~」

「ぬ、我もだ」

「なのです~」

 ササッ ササッ ササッ ササッ


 俺達は移動した。

 

 




 


 エンさんについていった場所にあったのは・・・崩れた地面。

 隕石でも落ちてきた様な場所だ。

 木々も草もボロボロで、まともに生きている植物はないと思われる。

「エンさん、ここがムーンリバー草の場所?」

「ぬっ、そのはずじゃが・・・一本もないぞ」

「ご主人しゃま~ぺっちゃんこでしゅ~」

「不思議なのですね。こので戦争でもあったのでしょうか」


 マリリンの言葉でピンとくる。

 この場所、エンさんが亀さんをふっとばした場所だと思う。

 そのちょうど着地地点。

 甲羅の後の様な地形にも発見できるし・・・


「ぬっ、きっと天変地異でもあったのであろう。それか魔物同士の争いかもしれんな」

「でしゅね~。ぺちゃんこでしゅ」

「なのですか~49層の魔物は凄いです」

 エンさんに誘導される会話。

 まぁ、あの時はしょうがなかったから仕方ないよね。

 エンさんのせいじゃないよ。

「エンさん、他の場所はどこか知っている?」

「ぬっ・・・・我は知らんぞ。あの花は珍しいからな。ここになければないかもしれん」


 ・・・・


 ・・・・


 えええ?

 てっきり色んな場所に生えているのかと思った。

「無い無いなのですか・・・・・」

 マリリンが落ち込んでる。

「ご主人しゃま~ご主人しゃま~」

「なんだ、アド?」

「アドね~知ってるよ。クサクサの有る場所知ってるでしゅ~」


 「「「?」」」

 なんだってアドさん。

 以外と物知りなアドに俺はビックリだよ。

 ご主人しゃまを驚かせてくれる子だ。

「ぬ、それは本当か?」

「アド、どこにあるんだ?」

「なのです」

 アドさんはホクホク顔だ。

 皆に聞かれて嬉しそうだ。

 かわいい奴め。

「お爺ちゃんの家にあったよ」

 お爺ちゃん・・・・

 爺ちゃん・・・・

 あっ。

 もしかして・・・

「アド、エル爺さんの家の事か?」

「うんっ。そうだよ~。お部屋で一杯生えてたよ」

 ほ~う。

 確かにあの賢者の家にはありえない程たくさんの部屋があった気が・・・

 その一つの部屋かな。

 エル爺さんは魔物研究をしているようだから。

 不思議な草が家にあっても変ではないか。


「アド、でかした」

 ワサッ ワサッ

 アドの喜びポイントである犬耳裏をモフってやる。

 アドの大好きな部分だ。

「ご、ご主人しゃま~、ワフワフワフ~」

 うんうん。

 嬉しそうで何よりだ。

 アドの笑顔は俺の力の源。

「主よ、エル爺さんの家とはなんだ?」

「そうなのです。ダンジョンの外の事ですか?」

 おっ。

 そうだそうだ。

 エンさんとマリリンはエル爺さんの事を知らないだろうからな。


「ダンジョンの中に住んでるエルフのお爺ちゃん。50層に家があるから直ぐに会えるよ」

「ぬっ。エルフがダンジョンの中におるのか。珍しいのう」

「そうなのです。エルフは普通、エルフの里か街に済むものなのです。

 ダンジョンの中に住んでいるのは聞いたことがないのです。しかも50層なんて高層に」

 二人とも驚いているようだ。

 やはりダンジョンに家まで作って住むのは普通ではないようだ。

 元勇者パーティーの賢者だから出来る技なのかもしれない。

 

「じゃあ、皆でエル爺さんの家に行こうか」

「いくでしゅ~」

「ぬっ、我が一番乗りぞ」

「なのです~」


 アドが元気よく駆け出した。

 ササッ ササッ ササッ ササッ


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