37話 新たな仲間~エンシェントグリーンドラゴン
エンシェントグリーンドラゴンことエンさんに、アユユの塩焼きをあげると。
パクッ
ムシャムシャ ムシャムシャ
ゴクリ
「うむうむ。素材本来の旨みと塩が絶妙にマッチしておる。アユユの肉感と塩っ辛さはたまらんぞ」
語りだすエンさん。
さすが、1000年生きているドラゴンは、食にもうるさいんのかもしれない。
頬を緩ませながらも、喜んで食べてくれた。
「主よ、他にはないのか?こういう変わったものは?」
あっ。
呼び名が変わった。
トクガワさんから主に・・・
主として認めてくれたのかもしれない。
「アイテムボックスには魔物の肉しかないかな」
「ぬ、それはいかんぞ。日々料理に精進するべし」
勇者の試練ではなく、料理人の試練みたいになっている。
だが、料理の質を上げるのは大事だな。
衣・食・住は満たさないと。
「気をつけておくよ。それよりエン。この部屋から魔力が溢れているようだけど、何か置いているのか?」
「ぬ、魔力となると・・アレだな」
テクテク テクテク
エンが歩いて祭壇に向うと、一つのコップ?を手に取る。
ふわふわと煙が出ているコップ?。
「エンさん、それはなんだ?」
「魔力のゴブレッド。我に勝った勇者に渡そうとしていたものだ」
へぇー。
何か凄そうなアイテムだ。
漂っている気配が違う。
「どんな効果があるんだい?」
「ほぼ無限に使える魔力の回復薬。ある程度使うとゴブレットの水がへるので、暫く間を置く必要があるがな」
便利アイテムだな。
魔法使いに必須のアイテム。
俺も一応賢者の弟子だし・・・
「ほしければやるぞ。我には必要ない。ここに勇者が来る事もなかろう」
「いいんですか?外で勇者に会った時に必要になるのでは?」
「ぬ、大丈夫。我は他にもいくつかアイテムは持っておる。この程度のもの惜しくはない」
パンパンっと腰のアイテムボックスをアピールするエン。
エンさんも持っていたんだ・・・アイテムボックス。
便利だからね。
「では、ありがたく頂戴します」
「ぬ、我を敬え」
「はい」
俺は魔力のゴブレッドをアイテムボックスに収納した。
俺はアドに乗りピラミッドを出る。
ドラゴンのエンさんはパタパタと近くを飛んでいる。
空を飛べるって便利やね。
「主、これからどうする?48層に直行するのか?」
エンさんとアドがいるので、それも可能かもしれない。
ダンジョン内の敵には少ししかあっていないが、この二人がいて負ける事は少ないと思う。
「そうしようか。エンさん、48層への道は分かるかい?」
「・・・・・・・・」
あれ?
無言の返答。
てっきり直ぐに返事が返ってくると思ったけど、そ知らぬ顔をしている。
「あの・・・エンさん。48層への道ですが、ご存知ですか?」
「我は知らん。ここには50層の転移ゲートを使用してきた」
マジで?
あれ、魔物も使えるの?
なんとなく人間専用のものだと思っていたけど。
でもよくよく考えれば・・・
俺は魔物で、40層の転移ゲートを使おうと思っているのだし。
魔物が使える事は良い事か・・・
というか待てよ。
考えてなかったけど・・・
俺がいきなり40層から転移してダンジョンの入り口かどこかに出たら・・・
転移先の人はめちゃくちゃビックリするのでは。
『魔物の襲撃ダー!』的な感じで。
もしかしたら人間に襲われるかもしれない。
・・・・
・・・・
まぁ、転移ゲートは40層にあるんだし・・・それまで長い。
ゆっくり考えればいいだろう。
今の問題は、どうやって一つ下の層にいくかだ。
手探りで入り口を探すしかないのかな・・・
「ご主人しゃまー、ご主人しゃまー」
「どうしたんだい、アド?」
「きつねさん達が呼んでるよー」
「ほーう。ムーン・フォックスも従えておるのか。主、やるではないか」
アドの視線の先には、確かにムーン・フォックスの群れ。
何かあったのだろうか?
皆ソワソワしている。
「アド、近くに寄ってみよう」
「うんっ、いっくよー」
「主、我をちゃんと紹介するのだぞ」
「エンさん、任せてください」
わりと細かい事を気にするエンさんだ。
引きこもり生活が長く、コミュニケーションが不安なのかもしれない。
ササッ ササッ ササッ ササッ
フォックス達の群れに近寄ると。
「トクガワさん、トクガワさん、大変です・・」
ボスフォックスの月太郎が慌てている。
どうしたのだろうか?
理由を聞こうと思ったが・・・
「後ろにいるのは・・・森の覇者様では・・・」
月太郎は俺の後ろに視線が釘付け。
どうやら、エンシェントグリーンドラゴンに気づいたようだ。
今は小さいベビードラゴンサイズなのだが・・・
気配でも察知したのかも。
「あぁ。仲間になったんだ。月太郎も仲良くしてほしい」
「めっそうもございません。覇者様の事はいつも敬っております」
「ぬ、いい心がけだ。我を敬え」
「ははー」
頭を下げる月太郎。
エンさんはこの森では影響力が大きいのかもしれない。
森の覇者様っていわれるぐらいだから。
「それで月太郎、何か問題があるという話だけど」
「はい。実は巣穴にトリケラタートルが来ました・・・」
トリケラ・・・
あのデカイ亀か・・・
木々を押し倒していたブルドーザー。
「まさか、襲ってきたのか?」
「いえいえ、巣穴の入り口を塞ぐ形で眠ってしまったのです。そのため中に入れず困っているのです」
「それは・・・・大変だな」
かなりの防御力を誇る亀だろうし。
何よりデカイ。
そして固い・・・多分。
「そのうちどくのではないか、待っていれば」
「主、それはないな。トリケラタートルの場合、眠ったとなると1年は動かんだろう」
「はい。覇者様のいうとおりです。巣穴にいる者が餓死してしまいます」
「ご主人しゃま~たいへんだぁ~」
確かにな。
アドのいう通り、大変だ。
折角眷属になった者をみすみす殺したくない。
だが、どうするべきか?
起こしてどかせればいいのだが・・・
できるだろうか?
「主、我に任せよ。我にかかれば容易なこと」
「本当かい?エンさん」
「ぬ、我を侮るな。力をみせてやろう」
やる気満々のエンさん。
ならここは、エンさんの力を見せてもらいますか。
なんたって、レベル67のエンシェントグリーンドラゴンですからね。
「エンさん、頼みます」
「任せるのだ。主は褒美の料理を頼む。アユユの塩焼きは美味かった」
「はい。では月太郎さん、向いましょうか」
「ははっ、こちらです」
俺達は巣穴に急いだ。




