36話 勇者の試練?
「ほこりがいっぱいだね~」
「あぁ、暫く誰も来ていないのかも知れないな。おっ、そこ崩れてる」
ヒョイ
アドが穴を飛び越える。
穴の先はかなり深いようで下が見えない。
一つ下の階層の50層にでも繋がってるのかもしれないな。
暫く進むと。
「ご主人しゃまー、分かれ道」
「ほんとだな」
道は右と左で二つに分かれていた。
どちらに進もうか?
右の道はややボロイ。
左の道は、かなりボロイ。
それぐらいの差しかない。
どっちにいっても変わらないだろう。
なら適当に決めようかと思ったけど・・・・思いとどまる。
待てよ。
俺には魔力があるんだった。
それなら、勘ではなく他の方法で決められるかもしれない。
「ちょい、降りる」
「どうしたの~?ご主人しゃま?」
「調べてみたい事があるんだ。魔力を通せばこの遺跡の構造が分かるかもしれない」
スタッ ぺタッ
両手を床につけて遺跡に魔力を流し込む。
まずは大まかに魔力を通していくと・・・・
おっ。
あったあった。
見つけたのは魔力回路。
やはりこの手の遺跡にはつき物のようだ。
鑑定の備考には使用していないと記載されていたが・・・
未だに魔力が流れている回路がある模様。
怪しいな・・・
隠しダンジョン的な場所なのかもしれない。
魔力を流し込んで回路の先を追っていくと。
ツーン ツーン ツーン
どうやら一つの部屋が魔力源になっていようだ。
奥の部屋から魔力が放出されている。
ならば・・・目的地は決まったな。
勿論その部屋だ。
何か宝物があるかもしれない。
「アド、左の道でいく。後、宝の部屋見つかったかもしれない」
「すごーい。さっすがご主人しゃま~。探偵しゃんだね~」
ヒョイ
俺はアドに再び乗る。
「分かれ道になったら俺が方向を指示するよ。大体の道順は覚えたから」
「わかっちゃ。それじゃ~、いくっよ~」
「おう」
ササッ ササッ ササッ ササッ
順調に進み、一つの部屋の前にたどり着く。
「ご主人しゃまー、このお部屋の中かな~?」
「ああ。この中から魔力をビンビン感じるぜ」
「開けるねー」
「頼む」
トテ トテ ギギーバタン
アドが前足でドアを開け、中に入る。
真っ暗の部屋だが、中はかなり広いようだ。
ほんやりとした空気を感じる事が出来る。
数歩進むと・・・
ボワッ ボワッ ボワッ
炎が徐々につき部屋が明るくなる。
ゲームのボスステージのような演出。
「ふははははー、よく来たな、勇者よ!さて、我に勝てるかな」
高笑いをして現れたのは・・・バカでかいドラゴンッ!
イヤイヤイヤ。
本当にすっごく大きいんですけど。
民家4軒分ぐらいの大きさがある。
トリケラタートルとためをはるぐらいだ。
「ご主人しゃま~、ドラゴンでしゅ~、ドラゴンでしゅ~」
アドは興奮している模様。
ドラゴンだもんね。
そりゃー、ワクワクしちゃいますよ。
でもね。
俺達勇者でもなんでもないんだけどね。
というか、間逆の存在だから。
俺はベビーヴァンパイアだし。
アドは獣人で古代種だし。
「ほほーう。勇者よ、どうした?我に怖気づいて声も出ないか?」
なんかすっごく満足げなドラゴン。
てかっ。
このドラゴン普通に話してるな。
やはり強い魔物になると会話スキルがあるのかもしれない。
なら、誤解をとかないと。
「あのー、すみません。俺達勇者でも何でもないんですけど」
「ぬ、なんじゃと・・・・そうやって我を騙す気か。その手には乗らんぞ」
「いえいえ、俺ヴァンパイアですし、こっちのアドは獣人です。二人とも魔物です」
「アドは、ヘルアースドッグ・ヒューマンなのでしゅ」
「ば、馬鹿な・・・だが、この神殿に来たという事は、魔物の勇者であるろう、そうであろう?」
なんだ?
魔物の勇者って無理やり感が・・・。
間の前のドラゴンさんは俺の事を勇者にしたいようだ。
「いやいや本当ですよ。
この神殿に寄ったのは偶々ですし、一個下の階層で生まれたんですよ。つい最近」
「そうなのです~ご主人様は勇者ではないのです」
「ぬ、どうやらその気配、本当に魔物のようじゃな」
「はい。分かってもらえてよかったです。それと、鑑定したところ・・・・
この遺跡、今は使用していないとでましたので、この先誰も来ないのでは。
上の階層の転移ゲートも壊れているようですし」
「ぬ、誠か?今の話は真の話か?嘘ではなかろうな?」
「はい。」
「だから我の元に全然人が来ないのか・・・。
ずっと待っていたのに誰も来ないので、色々考えていた。
こっちから勇者の下に出向いてやろうとも考えていたのだぞ」
「それはそれは・・・・大変ですね」
どうやら、ここは勇者の試練の間か何かだった模様。
でも、一体なんのためにこのドラゴンは勇者を待っていたのだろうか?
「ドラゴンさん、何故勇者を待っていたのですか?」
「ぬ、それは我の使命だからだ。ここで最高の戦士を到来を待ち、力を確かめるのが我の運命ぞ」
「そうですか、では、俺達は関係なかったようですので。では、これにて失礼」
スタスタ スタスタ
部屋を後にしようとすると。
「ちょっと待たれい」
「なんですか?」
「貴様らはどこにいく?」
「俺達は、40層の転移ゲートを目指しています」
「ダンジョンの外に出るという事か?」
「まぁ、そうなるかもしれません」
「よろしい。では、我もついていく」
「えっ」
何故に?
というか・・・・
こんなバカデカイ巨体じゃ、ピラミッドからもでれないと思うけど。
「少々目立ちすぎると思いますよ」
「ぬ、安心せい。我は変化できるぞ」
ボシュ チョコン
大きなドラゴンが消えて現れたのは・・・
緑の小さなドラゴン。
尻尾がヒョコヒョコ動いているべビードラゴン風。
あら、かわいい。
ちょっと鑑定してみましょうか。
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
種族 :エンシェントグリーンドラゴン
レベル :67
備考 :1000年生きたドラゴン。古代種。
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ひょええええ。
うっは・・・
凄すぎて変な息が出てきた。
レベル67って。
これまで見た中で段違いに高いんだもん。
しかも、又古代種ですか・・・
アドはレベル1でかなり強かったからな。
目の前のドラゴンはむちゃくちゃ強いのかも。
「ぬ、我の事を鑑定しておるな」
やばっ。
鑑定がばれている模様。
レベルが高くなると分かるのかも。
とっさに鑑定を閉じる。
「別に構わぬぞ。多くの勇者たちもしてきたからのう。
だが貴様、魔物で鑑定もちとは珍しいのう。名はなんという?」
「徳川です」
「ぬ、トクガワかー。これまた聞いた事がないぞ」
「ご主人しゃまは、ご主人しゃまなんだよー」
ありがとね、アド。
俺がアドの頭をポンポンとさすってやると。
嬉しそうに頭を動かすアド。
「我と同じ古代種を従魔にしておるのか・・・中々興味深いぞ」
「はい、成り行きで」
「ご主人しゃまー、ご主人しゃまー」
「どうした?」
「お腹ペコペコ」
イヤイヤイヤ、アドさん。
ドラゴンさんと話しているので、少し我慢してほしかったぜ。
「ご主人しゃまーお腹ペコペコ」
しかし、尻尾を垂れさげているアドはほっておけないな。
ウルウル瞳で見つめられると心がくすぐられる。
「しょうがないなー。すみません、ドラゴンさん」
「ぬ、大丈夫じゃ。我は何十年も待っておったからのう。数分など誤差ぞ」
ドラゴンさんの許しも出た事で。
俺はアイテムボックスからアユユの塩焼きを出してアドにあげる。
「やったー。これ大好き。香ばしいの~」
パクッ
ムシャムシャ ムシャムシャ
ゴクリ
「あっつあつで美味しいな~」
嬉しそうなアドだ。
アユユの塩焼きは好物のようだから、エル爺さんの家で何個か作ってアイテムボックスの中に保存してある。
ボックス内では温度も鮮度も保てるので、いつでも熱々が食べられる。
因みに、エル爺さんにも「是非、アユユの塩焼きを置いていってくれ」と頼まれたので、何個か置いていった。
「ぬ、貴様、美味そうな匂いだな。我にもよこせ。さすれば我も従魔契約をしてやろう」
ええええ!
ウエエエエエイ!
マジですか。
ドラゴンさん。
こんなに強い魔物が従ってくれるの。
「いいんですか?」
「何、ここで暇をしておったところよ。外に出るのも悪くない。その代わり、飯には期待しておるぞ」
どうやら、料理につられたようだ。
ドラゴンさんも食欲には勝てない模様。
「勿論です」
「ぬ、では契約するぞ」
【エンシェントグリーンドラゴンを従魔にしますか?】
おっ、神の声だ。
アドの時は聞こえなかったけど、今回は違うようだ。
答えは勿論OK。
相手の気がかわらない内にささっと。
【従魔にしました。】
【名前がないので設定してください。】
またか・・・
魔物には基本名前がないのかもしれないな。
「ええっと、ドラゴンさん、名前はあったりしますか?」
「特にないぞ。好きに決めめればよい」
「それじゃ・・・エンシェントグリーンドラゴンさん」
「ぬ、それは種族名ではないか。我を馬鹿にしておるのか」
やばっ。
ドラゴンさんに睨まれた。
「いえいえとんでもない。それでは・・・エンでどうでしょうか?」
「ぬ、いいだろう。エン、いいぞ、良い名前だ」
ドラゴンさんは気に入ってくれたようだ。
ほっと一安心。
では、神の声さん。
エンでお願いします。
ドラゴンさんも納得してくれましたので。
【名前を設定しました。】
ふぅーよかった。
無事に従魔契約できたようだ。
こうして、エンシェントグリーンドラゴンが仲間に加わった。




