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30話 お散歩アド

 ササッ ササッ ササッ ササッ

 アドが密林を抜けて階段に入ると、ムーン・フォックス達はおってこなかった。

 彼らの行動範囲はこの層だけなのかもしれない。

 少し階段を下ったところで。

「アド、OKだ。とまってくれ」

「はーい」

 俺はアドから降りる。


「アドも休んでいいよ」

「うんっ!くつろぐねー。アドはゴロゴロするよ~」

 アドはお腹を上に向けてゴロゴロし始めた。

 ダイナミックにモフモフ休憩中。

 俺は弾奏を込め直しながら今の戦闘を振り返る。


 ムーン・フォックスに効いたのはヒガン・バレッドか。

 血の弾丸と骨の弾丸は効かなかった。

 ムーン・ベアーもそうだが、この層には身体強化系が多いのかもしれないな。

 多分、ムーン・ベアーをやったのはムーン・フォックスの群れだろう。

 で、ベアーの死体で新たな獲物をおびき出し、まんまと俺達を誘い出したのかもしれない。

 毒も速攻では効いていなかったようだし。 

 動きが遅くなって姿はみえなくなったが、死んだかどうかは怪しい。

 多分、生きているような気もする。

 神の声の経験地が聞こえてこないので。


「ご主人しゃまー、お腹モフモフしてほしいの~」

 しょうがないなー。

 ちょうど俺も何かモフりたいと思っていたところだ。

 では、遠慮なく。


 モフモフ モフモフ

 やはり、なかなか良い毛並みだな。

 生暖かくも柔らかい手触り。

 アドの毛で習字の筆とかつくるといいかも。


「えへへっ。きもちいいー。ご主人しゃま、ナデナデ上手ー。おねむなの~」

「アド、こんなところで寝るなよ。魔物が折ってくるかもしれないからな」

「はーい・・・・ぐすん」

 スースースー

 アドは寝息をたて始めた。

 あらら。

 寝ちゃった。

 でも、俺も眠くなってきたな。

 アドの毛並みに触れていると、ついついウトウトしてくる。

 じゃあ少し横になろう。




 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz




 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz






 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz



 


 


 ペロペロ ペロペロ

 むむっ。

 ペロペロ ペロペロ

 くすぐったいなー。

 ペロペロ ペロペロ

「ご主人しゃまー、起きた?」


 お、おう。

 アドは俺をペロペロしてる。

「起きた、起きたからペロペロはもういいよ」

「よかったー。ご主人しゃまのためにご飯とってきたよ」

「そうかー。よくやったな。どれどれ」

 俺がアドの鼻先を見ると・・・

 そこには見たことがある魔物の姿・・

 あれ・・・あれはもしかして・・・

 つい最近みたあの魔物では・・・

 ・・・・

 鑑定さん、お願いします。


‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐

その他   :ムーン・フォックスの肉

備考  :脂身は少なく、固い肉。だが、それゆえ噛み応えが味わいぶかい。

     若干の身体能力強化作用有。

‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐


 やっぱりムーン・フォックスさんじゃないですかっ!

 しかも項目名が「その他」になって見事「肉」に・・・

 アドさん。

 一体どうやって狩ってきたんですか?

 この強敵を。 

 中々お強い魔物かと思ったんですけどね。


「アド、これは一体?」

「えへへ。ちょっと散歩してたら、ズバッてでてきたから、ガブってしたの。おいしいよー」

「そ、そうですか・・・」

 どうもアド的には楽勝だった模様。

 これなら逃げなくてもよかったかも。 

 それよりもまず、アドの強さを把握するのが先の気が。


「ご主人しゃま、どうしたのー。アドのこと見て」

「いやいや、なんでもないよ。では俺も食べようかな」

 ガブッ チューチュー

 牙を差し込んで肉をすする。

 これはまた・・・アースドッグやサイファーとは違う味。

 肉が引き締まっている分、味わい深いな。

 不思議と体に力がわいてくる気もする。

 備考に書いてある「身体機能強化作用」かな。

 あっ。

 それなら良い事できるかも。

 俺は肉にかぶりつくのをやめて、アイテムボックスから骨を取り出す。


「ご主人しゃまー。どうしたの?食べないの」

「いいや、違うよ。この肉で弾を作ろうと思ってね」

「そうなんだー」

 ガブッ

 アドは気にせず肉を食べている。

 俺は意識を集中して、いざ。

「血 骨 練 成!」

 ポワンッ

 出来た。

 身体強化の弾丸、ムーン・バレッド。

 これを打ち込めば身体強化がUPするはず・・・多分。


 それともう一つ。

「血 骨 練 成!」

 ポワンッ

 出来た。

 血の弾丸、ブラッドバレッドだ。

 ちょっと考えていたのだが。

 俺の仮説では、ブラッドバレッドの場合、血の相性が重要ではないのかと思う。

 同じ種族の血なら効果が大きいのではないかと。

 血液の拒絶反応とか、色々あるのではないのかと。


「たくさん弾できたねー」

「ああ、これをあの狐にぶちこんでやる。で、こっちの銀色の弾丸は自分に撃つんだ」

「えええー。あぶないよー」

「大丈夫、大丈夫。多分、これを打つと俺自身のスペックが上がるはずだから」

「へへー、そうなんだー。さすがご主人しゃま」

「じゃあ、やってみるな」


 俺はリボルバーを自分の額に向ける。

 イヤイヤイヤ。

 さすがに怖いから、足にしようかな。

 左足のモモにつけ・・・

 ふぅー。

 なんか緊張するな。

 これで普通に弾が出るだけだったらタダの自傷行為だからな。

 ふぅー。

 ええい。

 やっちゃえ。


 バンッ

 

 おおう。 

 痛みはない。

 だが、体に流れ込んでくるフワフワ感。

 肉を食べたときよりも強い感覚。

 こりゃー成功ですな。

 試しに走ってみよう。


 ササッ ササッ ササッ

 おおう。

 動きが1,5倍速っぽくなっとる。

 やりいいいいい。


「ご主人しゃまー、はやーい、パチパチパチ」

 アドが肉球で拍手してくれる。

「いやいや、どうもどうも。アドのおかげでもあるからね」

「アドにもバンってしてほしいな~。お願い~ご主人しゃまー」

「いいよ。じゃあいくよ」

「うんっ!」


 バンッ


「わわわわっ。なんだか力がみなぎってきた」

 ササッ ササッ ササッ ササッ

 アドが走り回る。

 というかメチャクチャ早いな。アドの動き。

 よく見えない。

 凄まじい。

 残像が見えるから。


「ご主人しゃまー、アド、お散歩いってくるね」

「おう、いってらっしゃい」


 ササッ ササッ ササッ ササッ

 アドは階段を上っていくと、すぐに姿が見えなくなった。

 って、散歩ってそっちかい!

 てっきり50層にいくもんだと思ったけど。

 49層に行くんかいっ!


 うーん。

 どうしようか? 

 後を追うのは大変だからな。

 アド、めっちゃ動き早かったし。

 それに散歩ならすぐもどってくるだろうから。

 ここで寝て待とうかな。

 うん。

 そうしよう。

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