3話 美味しい~卵の殻
吸血鬼さんですが、何か?
いやいや、誰に言ってるんだと自分で思うけど。
こうでもして確かめないと現状を把握できないのですよ。
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種族 :ヴァンパイアエッグ
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ほら、鑑定さんも俺のことヴァンパイアっていってるしね。
まだ卵を被ってるけど、手とか足とか、所々見える顔とか。
どうも人間離れして奇麗なのですよ。
よくみると宝石みたいにキラキラしてるから。
ついつい見とれてしまう。
うーん。
どうやら、認めるしかないようですね。
そうですね。
俺、本当に吸血鬼さんに転生したようです。
こうやって冷静になれるのも、無事修羅場から逃げて来れたからなんだけど。
デカイ卵をデカイ野良犬?が食べる猟奇現場から。
はいはい、連続殺人犯も真っ青の血みどろの現場でしたね。
グロかった。
夢中でハイハイしていたけど、横でデカイ野良犬?が食事中だったから。
モロに血がかかったからね。
ドバっと。
俺、気づくと血まみれ。
ドロドロでした。
さっき近くの水溜りで血はぬぐったんだけど。
当分スプラッター成分はいいかな・・・
いやー、よく生還できたと思いますわ。
あんなピンチ、生前では経験無いと思う。
そもそも記憶を思い出せないから、何もいえないんだけどね。
いや、でも、トイレに行きたいのを授業中に40分間我慢した経験と似ているのかもしれない。
そんな気がする。
うん、多分そうだ。
まぁ、野良犬に追われていたら多分死んでたと思うから運がよかった。
犠牲になった卵たちに感謝。
よかったよかった。
急死一生です。
ふぅー、一安心。
で、今俺は、デカイ木の中に開いた穴に隠れてる。
巨大野良犬はヤバイそうなので、身を隠す事は必須。
あの巨体なら、この穴の中には入ってこれないはず。
ということで、まずは現状を確認しよう。
どさくさに紛れて鑑定がレベル2に上がっていた。
俺、全然平静に見られなかったから。
もう一度自分を鑑定しよう。
じっくりと。
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種族 :ヴァンパイアエッグ
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うむ。
やはり『ヴァンパイアエッグ』、吸血鬼の卵らしい。
種族名以外の名前は表示されないようだ。
何度か試しているけど、これ以上の情報が出てこないだろう。
むむ?
待てよ。
10回ぐらい鑑定すれば、ボーナスポイントとかあるのかも。
鑑定なんてゲーム要素があれば、あってもおかしくないかも。
とりあえずやってみるか。
『鑑定1』
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種族 :ヴァンパイアエッグ
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『鑑定2』
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種族 :ヴァンパイアエッグ
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『鑑定3』
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種族 :ヴァンパイアエッグ
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『鑑定4』
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種族 :ヴァンパイアエッグ
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『鑑定5』
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種族 :ヴァンパイアエッグ
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『鑑定6』
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種族 :ヴァンパイアエッグ
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『鑑定7』
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種族 :ヴァンパイアエッグ
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『鑑定8』
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種族 :ヴァンパイアエッグ
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『鑑定9』
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種族 :ヴァンパイアエッグ
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『鑑定10』
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種族 :ヴァンパイアエッグ
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『鑑定11』
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種族 :ヴァンパイアエッグ
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ふぅー。
疲れたぜ。
でも変わらないなー。
やっぱり、あまり意味はなかったみたい。
でも、鑑定LVがあがるために必須だろう、熟練度の足しにはなっただろうから、いいとしよう。
で、自分の正体が吸血鬼さんだと分かったところで。
当面の目標は自分のレベルアップかな。
ここがもし、鑑定LVがあるようなゲーム世界なら、基本的なレベルアップもあるだろうし。
ここがどこだか分からないけど、簡単には死なないスペックに上げないと。
あの野良犬には勝てるぐらいに。
そういえばあの犬、鑑定するとどんな名前が出るのだろう?
「ぐぅううう~」
あっ、お腹がなった。
なんの音かと思ったけど、発信源は自分のお腹。
ははー。
なんか恥ずかしいですね。
だれにも見られていないけど。
多分、全力でハイハイしたからお腹が減ったんだと思う。
ええっと・・・
何か・・・食べるもの、食べるもの・・・食べ物は・・・・
クンクン クンクン
あれ?この卵の殻・・・俺が着ているエッグ殻、ちょっといい匂い。
少し甘いにおいがする。
もしかしたら、食べられるのかも。
確か、鳥か何かの中にも、殻を食べるヒナとかいたはず。
幼少期は貴重なご飯だった気がする。
よし!
挑戦してみよう。
ほんのちょっと食べてみよう。
ヤバそうだったら吐き出せばいいんだから。
ボシュ
殻をちょっと割ってから。
パクッ
食べる。
モシャモシャ モシャモシャ
うーん。
どうだろう・・・
食べられない事はないけど・・・
あまり美味しくはないかも。
普通・・・せんべいみたいな味。
カリカリして渋い味ですな
まぁ、お腹は満たせるからこれでいいのかも。
モシャモシャ モシャモシャ
吸血鬼さんは、お食事中です。