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12話 犬に貢がれているようです

「グルルルルルルルルルル」


 木の穴の外が騒がしい。

 声からして、アースドッグの叫び声だろうか。

 というか、毎回この声で起きてるような気も・・・

 最早目覚まし代わりだな。

 テクテク テクテク

 俺が真紅の銃を持って外にでると・・・

 やはりアースドッグが3匹程終結していた。


「グルルルルルルルル」

「クォーン、クォーン」

「グルアアアアア」


 俺に向って何か吼えている。

 あいたたた。

 寝起きの頭に高い声。

 頭にガンガンと声が響くけど・・・・朝食にするかな。

 わざわざ食料からおいでなすってくれた事は嬉しい。

 保存食はたくさんあるけど、なるべく多くとっておいた方がいいだろう。

 木の穴の奥にいれとけば腐らないようだし。


 俺は真紅の銃をアースドッグに向けると。


「キャン、キャン」

「キャン、キャン」

「キャン、キャン」


 全ての犬が地面にひれ伏す。

 まるで俺に頭を垂れているようだ。

 口の中からイチゴみたいな物を取り出し、俺の前に出す。

 「どうぞ、どうぞ」って感じで、頭でクイクイっとイチゴもどきを押す。


 あれ?

 あれれれれ?

 まさかこれは・・・

 あれではないでしょうか?

 どうやら俺、犬達に貢がれているらしい。

 すっごく尻尾を振ってるし、彼ら。


 だが一応確認だな。

 もしかしたらアースドッグの策略かもしれない。

 木の実に毒があって、毒殺を狙っているのかも。

 まぁ、毒耐性がある俺には効かないだろうけど。

 胃を守るエッグ殻も残ってるし。

 心強い味方もいるからね。

 では、出番ですよ鑑定さん。


‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐

その他 :アース・ベリー

備考  :食用の果物。芳醇な香りで甘い。

     アースドッグが栽培しているとも言われ、彼らは忠誠の証にこの果物を上位者に送る。

‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐


 はい。

 分かりました。

 ありがとうございます、鑑定さん。

 貢がれていますね、俺。

 多分奴らのボス、アースドッグ・リーダーを倒したからかもしれない。

 強い奴が群れのボスになるのが魔物社会なのか?

 弱肉強肉っぽいけど。

 

 じゃあ、とりあえず受け取っておこうかな。

 食料は十分にあるし、無用な戦闘は避けたいから。


 アースドッグ達がさしだした、「アース・ベリー」を手に取る。

 まじかで見ると、やっぱりイチゴに似てる。


「クォーン、クォーン」

「クォーン、クォーン」

「クォーン、クォーン」


 ドッグ達が、早く食べろと急かしてくる。

 分かりましたって。

 そんなに悲しい声で鳴かなくても食べますよ。

 それじゃー、いきますか。

 パクッ

 ふむふむ。

 鑑定どおり甘い味だ。

 口の中に広がるフルーティーな味わい。

 いいね。


「クォーン、クォーン」

「クォーン、クォーン」

「クォーン、クォーン」


 しっぽをふって大喜びのアースドッグ達。

 頭を垂れている。

 俺が美味しそうに食べる姿が嬉しいのかもしれない。


「よきにはからえ」


 俺ははしゃぐ彼らにそう告げ、木の穴の中に戻って朝食をとった。

 ガブッ チューチュー

 アース・ドッグの肉を牙で吸う。











 朝食が済んで外に出ると、まだアースドッグが一匹残っていた。

 しっぽをふって舌を出し、「はぁーはぁー」している。

 すっかり飼いならされた犬状態。

 覇気を感じられない、ふわっふわっ感。


「クォーン、クォーン」


 頭をさげて首をクイクイ動かしている。

 どうやら、『上に乗って』と言っているのかもしれない。 

 それならお言葉に甘えて。

 サクッ

 俺はアースドッグの背中に乗った。

 

「クォーン、クォーン」


 嬉しそうに吼えるアースドッグ。

 中々乗り心地はいいな。


「クォン、クォン」


 ユサユサ ユサユサ

 頭を揺らして、俺に行き先を尋ねてくるドッグ。


 そうだなー。

 どうしようか。

 うーむ。

 とりあえずこの辺りを駆け抜けようかな。

 ベビーヴァンパイアな俺は、実は周りを索敵できていないので。

 地理には疎いのです。 


 クイクイ クイクイ

 指で円を描いてドッグに指示する。

 『この一体を走り回ってくれ』という意味なのだが、通じただろうか・・・


「ワン、ワン」


 どうやら了解したようだ。

 ってか、初めて『ワンワン』って叫んだ。

 本格的になついてきたのかも。


「ワォーン!」


 ドッグが吼えると駆け出した。

 ササッ ササッ ササッ ササッ

 ダンジョン内を駆けめぐる。

 周りの景色がゆっくりと流れていく。

 肌に当たる風が心地よい。

 自分で歩かなくてもいいのは楽だ。


 ササッ ササッ ササッ ササッ

 辺りを見ると、どこも同じような景色だ。

 洞窟の中にポツポツと木や植物が生えており、草原が続く。

 一番目立つのは赤い花、ヒガン・フラワーか。


 あっ。

 そういえば・・・

 アニマ神殿で会ったエルフ爺さんが何かいってたな。

 確か・・・『会いたければ、ヒガン・フラワーの生い茂る方に』って感じだったかな。

 なら、行ってみますか。


 ナデナデ ポイッ

 俺はドッグの頭をなで、指を伸ばして方向を指示する。


「ワォーン」

 

 どうやら上手く意思疎通できたようで、ドッグは走り出す。

 ササッ ササッ ササッ ササッ

 赤い花の咲き乱れる方向へと向った。

 風が気持ちいい。


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