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101話 手がかり

 ドーム上の部屋の中央。

 台座に座るヴァルゴ。

 スー スー スー

 順調にマナを補給していると・・・


 ピョン ピョン ピョン

 視界をウロちょろする何か。

 よく見ると、それはピンク色の物体で・・・・ウサギだった。

 

 ウサギと目線が合う。

 見つめ合うヴァルゴとうさぎ。

 

(あん?このうさぎ・・・一体どこから?それに・・・・不思議と気配が違う。ただの動物、魔物ではないかもしれない)


 コテンっと首をかしげるうさぎ。

 ピョン ピョン ピョン

 うさぎは室内を動き回り・・・

 壁にぶつかるかと思いきや・・・すーっと壁の中に消えていった。

 

(なんだあのウサギ?壁の中に・・・消えた)


 ピョン

 

(あっ。壁から出てきた)


 ピョン ピョン

 ウサギは室内を元気に動き回る。

 ヴァルゴのことなど気にかけていないように、壁の中を入ったり出たりを繰り返す。

 そんな中、ヴァルゴはうさぎを観察しつつも、マナ補給に勤めるのだった。


 スースースー

 ヴァルゴ自身、ヴァルゴの武器にマナが補給されていく。







 ザザッ ザザッ ザザッ

 ヴァルゴがいるだろう空間に、一番近い場所に到着。

 俺はアドから降りる。

「ぬっ、ヴァルゴの気配は、この下、地面の下方向ぞい」

「俺もそう思う」

 樹液の流れを探索した時に、俺も同じ場所を感じた。

「でしゅかー」

「ほーう」

 俺達は地面をまじまじとみる。

「パンチするでしゅー」

 バコンッ ドゴンッ

 アドが地面をパンチすると・・・特に何も起こらない。

 地面は揺れたが、破壊されることは無い。

「だめでしゅー」

「我もやるぞい」


 バコッ ドゴンッ

 エンさんもパンチするが・・・同じように何も起こらない。

 かなりの威力。

 地面は揺れるが、同じように破壊されることはない。

「ぬっ、やはり特殊な材質よの」

「だね」

「そのようですね」

 俺とアイシャは床をさする。

 普通の床と変わりなさそうだが・・・ここ床は異様に固いようだ。

 その証拠に・・・

 

「でしゅ」

「ぞい」

 バコッ ドゴッ ズシャンっ! 

 アドとエンさんが他の場所の地面を殴ると、普通に地面が破壊される。

 地面を破壊して満足げな二人。

「脆い地面よのう」

「でしゅー」

 二人をよそに、俺は考える。

 前にうさぎさんの部屋を訪れた時、うさぎさんについていった時は、自分から部屋に入ったわけでもない。

 何故かそれまでなかった場所に道が出来ていたのだ。

 つまり、自分の力でたどり着いたわけではない。

 そうなると・・・今回も部屋にたどり着けないかもしれないのだ。

 ということは・・・チャンスが来るのを待つしかないのか・・・

 待っていれば、時期にヴァルゴが出てくることもありえるだろうし、うさぎさんが現れて道が出来るのかもしれない。

 そう。

 ヴァルゴだって、ずっと部屋に篭っているわけじゃないだろうから。

 今のところ、それしか手がない気がする。

「暫く、この辺で待機しようか。何かのきっかけで部屋にいけるかもしれない」

「ぬっ、そうじゃの」

「でしゅねー」

「そうしましょうか」

 俺達はこの場で待機することにした。


 




 パクッ パクッ パクッ

 アイテムボックスから食事を取り出し、食べる。

 魔物の肉を焼き、スキル『ネット通販』で買った焼肉ソースをかける。

「美味しいでしゅ。やっぱり焼肉ソースでしゅ」

「ぬっ。コクが違うぞい」

「私も、初めて食べましたが素晴らしいです」

 今日も大人気の焼肉ソース。

 やっぱりこれが一番だ。

 だがしかし。

 今日はいつもと違い、もうひとつ液体がある。

 そう、時々巨大樹の樹液を舐めて口直し。

 甘くまろやかな味はアクセントになる。

「甘いでしゅー」

「この樹液、持ち帰ろうかのう」

「私も収集してアイテムボックスにいれます」

「俺もそうしよう」

 空き瓶がいくつかあるので、俺は樹液を採取することにした。

 この巨大樹には樹液が大量にあるが、ここ以外、巨大樹の外にはほぼないだろうから。

 ある時に保存しておくことが大事だろう。




 食事を済ませた俺達は、樹液採取に移行。

 スタスタ サッサ スタスタ サッサ  ポンッ

 スタスタ サッサ スタスタ サッサ  ポンッ

 皆でビンに樹液をつめていく。

 アイテムボックスにしまっていく。

「よし、これでいいな」

「我も十分」

「私もです」

「アドは、アドはー・・・アイテムボックスがないでしゅ・・・・グスン」

「大丈夫、アドの分は俺のアイテムボックスにいれたから」

「ありがとでしゅー」


 


 そろそろ日暮れだ。

 時々、俺はマナの気配をさぐり、ヴァルゴの様子を探る。

 エンさんも奴の魔力の気配をさぐっているが・・・・動きがないようだ。

「それじゃ、仮眠をとろうか。交代ごうたいで寝ようか。初めは・・・・」

「我に任せよ」

「じゃあ、エンさんよろしく。2時間交代で、俺、アド、アイシャでいいかな」

「いいでしゅよー」

「私もかまわないです」

「よし、ではっっと、宿を作りましょうか。アド、壁に穴を開けてもらえるかな」

「でしゅー」

 ボシュ

 アドがパンチすると、壁に穴が開く。

 ちょうど4人・・・・

 いや、ぐったりと寝ているチコを含めると、5人が過ごせる大きさだ。


 そういえば・・・

 チコはずっとエンさんにおぶわれている。

 ヴァルゴの槍、電撃を食らってからずっと伸びていたが・・・・。

 大丈夫だろうか?

 息はしているし、外傷もそれほどひどくないので・・・・多分、大丈夫かな。

 エンさんの見立てでも問題無し反応だし。

 心地よさそうな寝顔だ。



 さてさて。

 俺は壁にあいた穴の中に入り、アイテムボックスから血と骨を取り出す。 

 心を集中してスキルを発動する。

『血骨錬金術』

 ボワンッ ボワンッ ボワンッ ボワンッ ボワンッ

 俺はすぐさま5人分のベッドをつくった。

 そして、アイテムボックスから布団を取り出してベッドの上にひいた。

 いっちょ簡易宿泊所のできあがり。

「皆、出来たよー」

 ササッ ササッ

 穴の中に一番に入ってくるアド。

 ベッドにダイブし、ゴロゴロと布団の上で転がる。

 とっても気持ちのよさそうな顔で、尻尾も盛大に揺れている。

「でしゅー、柔らかお布団でしゅー」

 トコトコトコ スタッ

 アイシャはゆっくりとベッドに座る。

「私も、この布団は好きですね」

 ドサッ

 エンさんがチコをベッドにのせる。

「チコを置いておくぞい」

 ということでー。

 俺もベッドの上でゴロンする。

 やわらかい布団が気持ちいいー。

 すぐにでも寝てしまいそうだ。


 こうして。

 俺達はまったりと休憩しながらも、眠りに落ちていくのだった。

 目が閉じながらも、エンさんが部屋の入り口に座り、辺りを警戒している姿が見えた。



 zzzzzzzzz


 zzzzzzzzzz


 zzzzzzzzzzzz


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