10話 狩りの日々
目が覚めると。
痛みに襲われる。
血骨錬金術で直した左腕がジンジンする。
それにメチャクチャお腹が減る。
何でもいいから食べたい。
今必要なのは血と栄養だ。
弱った体力と、練成途中の左腕がエネルギーを求めているのだろう。
ガブッ
俺は横にあるアースドッグの肉に噛み付く。
チューチュー
牙で栄養を吸い取る。
今は牙が生えている事に感謝だ。
これのお陰で口を動かさなくて済むんだから。
最初の動作で栄養がとれて楽チン。
牙で肉を吸えばすう程、再生した左腕に栄養が流れていくのが分かる。
血液が送られている感。
ヴァンパイアだからか、血液関係には繊細なのかも。
【熟練度が一定に達しました。スキル『食中毒耐性LV1』が『食中毒耐性LV2』になりました。】
おうぅ。
何か声が聞こえる。
でも、いまはそれより食事だ。
とにかく栄養をとらなければ・・・
万全の体調に戻さないと。
俺は肉を牙で吸いながら、気づくと寝ていた。
起きる。
まだ、左腕がジンジンする。
腹が減った。
体が肉を求めているのだ。
ガブッ チューチュー
俺はアースドッグの肉に噛み付き、牙で栄養を吸い取る。
エエネルギーに満たされていく体。
【熟練度が一定に達しました。スキル『食中毒耐性LV2』が『食中毒耐性LV3』になりました。】
声が聞こえるが・・・
まだだ。
まだ足りない。
もっと食べなければ、俺の左腕が求めている。
血を求めている。
肉を求めている。
もっと。
もっと、よこせと。
ガブッ チューチュー
俺は再びアースドッグの肉をすすった。
起きる。
まだまだだ。
全然足りない。
左腕が肉を求めているのだ。
だが、アースドッグの肉は全て食べた。
なら次は、アースドッグ・リーダーの肉だ。
大事にとっておいたのだ。
美味しいものは最後に食べる派なのだ。
では、いただきます。
ガブッ チューチュー
俺は肉を食らった。
起きる。
もっとだ。
もっと血と肉がいる。
体と左腕が求めている。
だが、アースドッグ・リーダーの肉も食べつくした。
もう、肉の保存はない。
なら外に狩りに行くしかない。
テクテク テクテク
俺はフラフラと木の穴の外に出る。
右手には錬金術で作った真紅の銃。
リボルバーマグナム。
通りがかりのアースドッグをみつけた。
反射的に銃を向け、引き金を引く。
血の弾丸、ブラッド・バレッドをお見舞いする。
バン バン バン
「キュン」
アースドッグは爆発して倒れた。
【経験値を12得ました。】
俺はアースドッグの死体を集め、引きずって木の穴に帰った。
ガブッ チューチュー
そして、肉を食らった。
木の穴の外。
バン バン バン
慣れた手つきでアースドッグを銃撃する。
血流を暴走させた奴らは、内部で爆発を起こし倒れる。
【経験値を12得ました。】
何度目かになる神の声を聞いても、今の俺にとっては感情は動かない。
激しい飢餓感に襲われている俺は、とにかく肉が欲しいのだ。
すぐにでも肉にかぶりつきたい。
ガブってチューチューしたい。
牙がうずくのだ。
だが、ここでやるほど自制が出来ないわけでもない。
いいや、木の穴の中で食べるのが癖になっているのかもしれない。
俺はしとめた獲物を穴に引きずって帰る。
ガブッ チューチュー
いつものように肉を食らった。