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ゆきあそび

 その日は前の晩から寒くて、これまでの雨の日や暖かな晴れの日が訪れるのは、また少し先の未来になるような気がしていた。



 人里離れた森の道をさらに外れた先に、ひっそりと佇むこの小さな家にも、その気配はしっかりと伝わっていた。


「今夜は冷えそうだ」


 白い長髪を後ろで束ねた若い男、白生(びゃくせい)が白い息をはき出しながらそう呟いた。


「今日はあったかくして寝ようね」


 居間にある半魔動式の暖炉に薪をくべると、白生は布団に体をすべりこませた。


白空(はくう)、寒くない?」


 白空と呼ばれた三、四歳の子どもは、布団の中でとがったケモノの耳と顔だけを覗かせて大人しく待っている。白空は大きな目を眠そうと開いて、ううんと首を横に振った。


「そう、では、おやすみなさい」


 白生は白空の小さな頭をそっとなでて、灯りを消した。



 あくる朝。布団から出した顔がいっそう寒さを感じながら、白生は目を覚ました。白空を起こさないようにそっと布団から出て、暖炉の火にあたりながら身支度を整える。


「うわ……冷たい」


 足の裏から体温が奪われていくみたいだ。だからといってどうすることもできないので、そのまま隣の台所へ向かった。それから朝食の支度をしている間に、白空が目を覚ますまでがいつもの流れ。


「ん……」

「白空、おはよう。今日は寒いね」

「う?」


 白空は寝ぼけ眼で、布団に包まったまま出てこようとしない。


「もうごはんだよ」


 食卓に並べられたごはんの上には、白い湯気が立っていた。



 朝食を片づけているときだった。

 白生はふと顔を上げて窓の外を見ると、空から白い綿のようなものがふわふわと舞い降りていた。


「ああ、どおりで寒いわけだ」


 白生は独り言ちた。


「白空、ごらん。雪が降っているよ」


 白空にとって、雪は初めてだろうか。白空と出会って一年が経とうとしていたが、そのときは春だったから。


「えっ……あっ……!」


 白空を抱き上げて外を見せたら、驚いたのか嬉しそうに指を差して声をあげた。つられて白生も笑い返す。


「あとで外に遊びに行こうか」

「っ……たぁっ!」



 家の仕事がひと段落ついたので、白生は白空に寒くないように、靴も上着も暖かいものを着させて、手袋も帽子もマフラーも付けさせた。


「よーし、では出発」


 支度をしている少しの間に、家の外の世界は魔法でもかかったのか、扉を開けると、目の前は一面白に覆われていた。


「あ~~」


 ずぶずぶと歩く度に足跡が残るのが面白いらしく、白空は何度も振り返っては笑っていた。

 それから雪原で転がったり、雪玉を作ったりして、昼まで遊んだ。


「白空、私は家に帰ってお昼の用意をするけど、白空はまだ遊んでいる?」

「う~? あっ!」


 白空は地面に座り込んで、移動しようとはしなかった。

 まだ遊んでいたいということかな。


「じゃあ、用意ができたら迎えにくるからね。あまりここから動くんじゃないよ」


 雪がないときに、いつも一人ででも遊んでいる場所だ。準備をする間くらいは、一人にしても大丈夫だろう。



 白生が一旦家に戻ってからも、白空は構わず一人で遊んでいた。あっちの雪を舞い上げてみたり、こっちの雪を固めてみたり。

 しばらく遊んだころ、白空は首元がスースーと冷たいことに気が付いた。遊んでいるうちに、マフラーが緩んでしまったらしい。緩んだマフラーを巻き直そうとしたまさにそのとき、ビュオッっと音を立てて突風が吹き、マフラーを高く舞い上げた。


 白空は一瞬目を強く瞑ったが、マフラーのありかに気づくと、それを追って夢中で駆け出した。


キャラ紹介だと思って読んで下されば、損はありません。

続きは今書いております…


1/12追記

間隔あけて読みやすくするの忘れてました!

ごめんなさい!直しました!!

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