パトロール
俺は公園内の縄張りをパトロールする。茜が俺の所に来る前は、一日に一度だった。しかし茜が襲われたことからもパトロールを二回に増やした。広い公園内をパトロールするのは骨が折れる。だが茜のためと思えば、それも苦ではなかった。
ブチたちに気づかれないように、俺はパトロールの時間を毎日変えていた。そうすればブチたちには牽制になるはずだ。
そして今日も昨日とは時間をずらしてパトロールに出た。
静かな夜だな。静か過ぎる。
俺は胸騒ぎがして、家に急いで帰った。すると、ブチの子分たちが逃げ出すところだった。俺は急いで家に飛び込んだ。
「茜!」
「虎!やったよ!追い返した!」
「お前一匹でか……。すげえな」
本当にすげえ。俺が特訓させていたとはいえ、実戦はないはずだ。普通の猫ならすくんで何も出来ないことも多い。茜は戦いの素質があるのかもしれねえな。ますます惚れ直したぜ。だが俺が惚れていても茜は違うヤツを想ってるんだよな……。
そしてまた寄り合いの日。仲間は茜の勇姿を知っていた。
みんなから称賛を浴びる茜。
「姉御!」
みんなが茜をそう呼ぶ。しかし茜は戸惑っているように見える。茜が本当に俺の横に並んでくれたら、どんなに嬉しいだろう。
俺は意を決して茜に話しかけた。
「茜、人間に戻れなかったら、本当に俺の女にならねえか?」
「虎……。気持ちは嬉しいけど、今は考えられない」
そりゃそうだよな。俺は茜の気持ちが変わらないか願ってしまった。ちっ、柄でもねえ。