豪華ごはん
茜は久しぶりに体を動かしたのか、疲れきっているようだ。これは旨いものを食わせてやらねえとな。俺は狩りに出掛けた。公園の中は、色々なものがあるから暮らしやすいんだ。さて、今日の獲物はと……。あ、旨そうなのがいるぞ。よし、あれにしよう!
俺は狩りから帰り、獲物を置いた。茜は疲れてうたた寝していたらしい。
「茜、メシだぞ」
「う……ん、ありがとう、虎」
「いや、好きなだけ食え」
しかし、茜が獲物を見た瞬間だった。
「きゃあああ!」
「茜!?どうしたんだ!?」
「いやあああ!」
「何が嫌なんだ!?」
「か、か、カエル……!」
「今日は豪勢だろ?」
「……気持ち悪い……」
「カエルは嫌いなのか?じゃあ何がいいんだ?」
「せ、せめて魚とか……」
「うーん、じゃあばあさんのところへ行ってみるか。今日は手土産もあるしな」
「……うん、ありがとう」
茜はカエルが嫌いなのか。俺たちにとってはごちそうだけどな。まあ、仕方ねえな。茜が食べないんじゃとってきた意味もねえし。
虎と茜はまた『ばあさん』のところへやって来た。
「ばあさん、今日は豪勢なもん持ってきたぜ」
「おや、虎とお嬢さん。まあ、カエルじゃないか。こんな豪勢なものをもらってもいいのかい?」
「ああ、その代わり、茜に魚を食わせてやってくれよ」
「そんなのお安いごようさ。お嬢さん、どれがいいか見ておいで。どれでも好きなものをお食べ」
「ありがとうございます」
茜はばあさんの家の奥へ入っていった。
「虎、あのお嬢さんはカエルはダメなのかい?」
「ああ、嫌いらしい」
「こんなに旨いのにね」
茜が小さな魚をくわえてきた。
「これをいただいてもよろしいですか?」
「ああ、持って帰りな」
「ありがとうございます」
茜はほっとしたように魚をくわえ直した。