訓練
翌日から茜への特訓は始まった。猫パンチに足蹴りだ。茜は手の爪の出し方もわからないようだ。どうするべきか……。俺はしばし考え、茜に手を出すように言った。茜は可愛らしい真っ白な手を出してきた。肉球もピンクで可愛い。いや、そんなことを考えてる時じゃない。
俺は茜の手を取ると、肉球を押した。すると肉球から爪が出てきた。
「要領はわかったか?」
「爪が出るのはわかった」
「それで横っ面を張り倒すんだぞ」
「……どうやって?」
「まずは素振りだ」
俺が手本を見せてやったが、茜のは猫パンチには程遠いものだった。仕方なく毎日の素振り50回をさせることにした。
「茜、それじゃあ猫パンチになってねえよ。とりあえずはさっきの俺みたいにならないとな。だから素振り50回だ」
「えっ?そんなに!?」
「少ない方だ。皆強くなるために日々の鍛練はしてるんだぞ」
何故か茜は目を見開き、驚いているようだ。俺たちだって日々色々な連中に狙われる。だからこそ鍛練が必要だ。しかし茜は、「スポコン」などと訳のわからない言葉を言っていた。人間には人間の何かがあるんだろうな。
そして次は足蹴りだ。俺たち猫は相手を押さえつけることが多い。だからこそそんなときに足蹴りが必要となる。これには茜も同意を示してくれた。
しかし、やはり足蹴りも全く出来ないようだった。これも毎日50回させることにした。茜は不満そうだったが。
そして最後は体力作りだ。公園の中を走らせることにした。茜はすでにぐったりしていた。