エピローグ
茜がいなくなってから一ヶ月が経った。あれからブチたちは大人しい。女にやられたことがショックだったらしい。
俺は相変わらずの生活を送っていた。毎日のパトロール。そんなときだった。白猫の女が俺の前に現れた。
茜!?
「あなたが虎ね?」
女が俺に話しかけてきた。当然ながら茜ではなかった。しかし中々の美人だ。
「俺に何の用だい?」
「押し掛け女房に来たのよ」
俺はポカンとした。何を言ってるんだ?
「……お前、正気か?」
「もちろんよ。あなたの噂は隣町まで聞こえてきたわ。隣町では好きな男がいないから、ここに来たのよ」
女は堂々といい放った。確かにこれほどの美人なら相手が見つからねえかもしれねえな。だが、そう簡単に俺の女には出来ねえし。試してみるか。
「お前、猫パンチは出来るか?」
「当然でしょ」
「やってみろ」
女はヒュンッと鋭い猫パンチを繰り出した。
中々やるな。
「足蹴りは出来るか?」
「もちろんよ」
これまた見事な足蹴りだ。だが、俺が好きな女は茜だ。
「悪いが引き取ってくれ。当分嫁を迎える気はねえ」
「じゃあまた来るわ。あ、私、静よ」
全然静かじゃねえな。
それから静は毎日俺の所へ通ってきた。その度に俺を口説く。普通は逆じゃねえか?
そんなときだった。静がカラスに襲われた。俺の縄張り内だ。
「静!」
俺は猫パンチを繰り出し、カラスを追い払った。静は足を負傷したようだ。仕方なく俺の家に連れ帰った。そして静は足の怪我が直っても、俺の家に居着いてしまった。しかも意外にも世話好きだった。外見のツンとした印象とは違う。なんだか静が家族にみえてきたな。しかも俺は静に情が移っていたようだ。
「静、俺の嫁になるか?」
俺が静に伝えると、静は嬉しそうに笑った。
「もちろんよ!」
こうして静は俺の嫁となった。静は恥ずかしそうに微笑んだ。意外と可愛いじゃねえか。
それからしばらく経ったある日、外から声がした。
「虎、茜だよ」
茜の声だ!俺はすぐに家を飛び出した。茜は人間の男と一緒だった。上手くいってるんだな。俺もだぜ。よし、茜に静を紹介するか。
「茜、来いよ」
茜は俺に着いてきた。俺は静と生まれたばかりの俺の子供を紹介した。
「虎、虎と過ごしたこと忘れないよ」
俺には茜の言葉がわかった。
俺もだぜ。茜、お互いに幸せになろうぜ。
<おわり>




