7:魔王ちゃん、怒りの四天王派遣
今回はちょっと短めでお送りします。
ここは魔王城跡地郊外、北の森の隠れ家。
俺の名前はカンベエ。
影では転移パシりのカンベエと呼ばれている。
いい意味でな!
ちなみに犬は自宅でお留守番中である。
「……ボルドフォックがやられたぞ」
「彼は四天王でも最弱……だったのでしょうか」
「四天王の面汚しですね!ボクとは違って!」
俺の職場にはお約束の展開をするために死体蹴りする奴等がいる。
まずは上司。
「そもそも、奴はただの数合わせに過ぎん。
勇者達にはこれから本当の恐怖が降りかかるだろう」
この上司。自分も大して強くない割りにビッグマウスだ。
その癖、強情で意地っ張りで自尊心が高いと三拍子揃っている。
もう手が付けられない。
こんな残念上司だが一応117歳らしい。
誰かもらってやってください。(切実)
次に上司直属のCさん。
「なんか見かけ倒しでしたね」
最近わかった事だが。この人ちょっと黒い!
環境に慣れてきたからだろうか。
言葉の節々からブラックなオーラを醸し出すようになった。
でもかわいいから許す。
そして最後。小生意気な最年少幹部のGだ。
「ははは、次はボクが出ますよ!おっと、手出しは無用ですよ?
勇者達にはちょっとした実験体になってもらう予定ですからね。
それにボクは一人でも勇者を瞬殺できる程に強い!ボルドと違ってね!
まー見ててくださいよ。天才であるボクは99%負けませんから!」
なんだろう。
こいつ、このまま行くと死ぬんじゃないか?
いや、別にGが弱いって事ではなく。
なんか雰囲気が……こう……死にそうな奴から出る独特な……
何って言うのかな?
小物臭?というか噛ませ臭?みたいな。
これはなんとかして止めた方がいいのでは?
いやいや、やる気出してるし奴に下手な事を言っても仕方ないよな。
俺の勘違いかもしれないし。
「うむ、ではガルガントリエよ!そなたに勇者一行の始末を任せる!」
「はは!」
恭しく頭を垂れるG。
上司の表情も満足そうだ。
「あはははは!このボクの灰色の脳細胞にかかれば、勇者なんて玩具同然さ!
なんてったって、ボクには対勇者用に準備した秘策がありますからね!」
こうして、勇者の滞在している街へ向かい、Gは旅立った。
「で、どうするんですか?魔王様」
「勿論、今回は後ろからこっそりついて行くぞ!」
この人も前回の猪男の一件で学習したのだろう。
あんな事があったばかりだ。
流石にガルガントリエを一人で送り出す訳にはいかないよな。
「我の四天王が勇者どもを蹂躙するのだ!
これを見ずしてどう余暇を潰すと言うのか!」
「ちょっとは自分達の勝利を疑えよ!?」
「我の四天王があんな奴らに負けるはずがない!」
「お前の四天王がつい先日落とし穴で死んだ事を忘れるなよ!」
「ちがうもん!あれは卑劣な罠から我を守るために散った名誉の死だもん!」
数合わせに連れて来た上に、
ベッドがないという理由で追い出した奴のセリフがこれだよ!
「というか、せっかく復活したのにまた死んだのはお前んちの結界のせいだぞ!」
「俺は家に入る前に『結界があるから無理だ』
ってちゃんと言いましたよ!それなのに、
『は?結界?しゃらくせーよ!我の四天王なら結界くらい問題ねーっしょ!』
とか言って無理矢理ボルドフォッグを突撃させたのは魔王様じゃないですか」
「え、え?あはははは。だっけ?」
笑ってごまかしても無駄である。
突撃命令されたボルドフォッグの「え、マジでやるの?」
みたいな表情がなかなか頭から離れない。
「うむ。間違いは誰にでもある!問題はそれを繰り返さない事!」
「あの、そろそろガルちゃんを追いかけた方がよいのでは?」
「おお!その通りだチャネルライトよ!ナイスアシスト!」
「はい?はぁ、ありがとうございます」
ちっ。チャネルライトさんに助けられたな。
本人にそのつもりがあるのかはわからないけれど。
「ガルガントリエの行き先はわかっています。転移で先回りしましょう」
「流石、知将カンベエ!頼りにしてるぞ!」
影で転移パシりって呼んでるの知ってるからな。
こうして俺達は、勇者の滞在している街の外れまで転移するのであった。
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〜街へと続く街道〜
「くくくくく。
ボクが出たからには勇者はもう終わりです。
ここらでお遊びはいいかげんにしろってとこを見せてやりますよ」
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・今日の魔王ちゃん 嵐の予感。
・魔王ちゃんの軌跡
最短戦闘時間:00分00秒(戦う前に城ごと爆破)
最長戦闘時間:08分59秒(ただし相手は人間の子供)
累計戦闘時間:16分01秒
せっかくなのでネット小説大賞のタグをつけてみました。
自分も目に留まった作品にコメントを残してみようかと思います。
なんかお祭りみたいでいいですよね。こーゆー企画。




