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3:魔王ちゃん、為す術もなく散る

何も考えずにどれだけでも書けるぞ!

 ここは魔王城最上階、魔王の間。

 俺は幹部A。名前は未だにない!


「我、思うんだけど」


 玉座に腰を下ろし語りかけてくる童女。

 この人が俺の主、魔王ちゃんだ。


「流石にこの前のアレは、自分でもちょっとなかったんじゃないかって思う」


「アレ?」


「ほら、勇者の後の」


「ああ、アレですか」


 猿顔のガキに泣かされた事件ですね。

 とか言ったらまた五月蝿くなるので黙っておく。


「我ってさ。強いじゃん?」


 うん、まずその認識から改める必要があるよね。

 が、とりあえずここは言わせてやろう。


「絶対的強者じゃん?」


 いいから早く要点を言えよ。

 とは、もちろん口にしない。

 つっこんだら負けである。



「だからかな?

 相手の全力を真正面から受けようとしてしまう。我が強過ぎる故に……ね」


「うん!  ? 」



 おっと、あまりにイラっとしたから、思わず態度に出てしまった。

 魔王ちゃんの心はナイーブだ。

 泣かせないように細心の注意と寛大な心で接する事が重要だ。



「強者故の余裕から生まれる慢心による油断そして窮地!

 これこそが我の!強者故・・・の!最大の弱点!!」


「自信がないからって強者強者・・・・と連呼するのはどうかと思う」


「つまりしっかりと作戦を立てて待ち受けていれば勇者なんて怖くない!」


「作戦以前にまずは自分の弱さを受け入れろよ!ってかスルーするな!」


「差し当たって、お前にも無い知恵を絞ってもらおうと思う」


 いろいろ納得いかないが、まぁいい。

 不足している力を知恵で補う事自体は悪い案ではない。

 俺自身、頭のキレる方ではないが、何もアイデアがないわけじゃない。


「そうですね。勇者は4人でパーティーを組んでいます。

 4人はそれぞれ役割を分担している訳ですから、

 そこをどうにか分断するのが勝利への近道なんじゃないですか?」


「なるほど、一理ある」



〜1分後〜



「というわけで、作戦を考えた!」


 はやっ!

 本当にそんなで大丈夫なのか?


 と、言うか魔王ちゃんの後ろにある大きいパネルはなんだ?

 ○と×が書かれた二つのパネル。幅と高さは3mくらいある。

 これが作戦とやらに関わって来るのだとしたら……。

 うん、不安しかない。


「なんですか、それは」


「魔王城チキチキ○×クイズだ!」


「チキチキって何ですか?」


「ググれ下郎!」


 ググル、という呪文がある。

 どこかの世界の辞書にアクセスし、そこから知識を引き出す呪文だ。

 発案者は昔の勇者だが、便利なので魔王陣営でも使っている。

 ちなみにチキチキだが、ググってもまともな意味はわからなかった。


 魔王ちゃんは俺がググってる時間すら待ちきれなかったようだ。

 そそくさと作戦の説明を始めた。

 ならググれとか言わないでほしい。


「えー最強の魔王である我が、勇者に対して問題を出題します。

 そしてシンキングタイム!勇者は○か×かで答えを予想します。

 答えが決まったら○、もしくは×のパネルの前に移動してください!

 この時注意すべき点がひとつ!

 回答の際は必ず、挑戦者が半々に別れるようにしてください!

 正解すれば上のフロアへジャンプ!

 ただし失敗した挑戦者は下のフロアに落とされます」


「なるほど、そうやって1人ずつ分断して各個撃破を狙う訳ですね」


 魔王ちゃんにしてはよく考えられたルールだ。

 転移先を閉鎖空間にしてやれば簡単には脱出できないだろう。

 準備する問題も3つで済むし、俺としては気が楽だ。


「で、クイズの内容だけどね!実はもう考えてあるのだよ!」


「ほう」


「第一問、世界最強の魔王はシャムノア・シャンメリーである。

 第二問A、世界一美しい魔王はシャムノア・シャンメリーである。

 第二問B、世界で最も知的な魔王はシャムノア・シャンメリーである。

 全て○か×かで答えよ!超簡単だな!」


「ああ!」


 ×一択じゃねぇーか!!

 スフィンクスまでとは言わないが、せめてもう少し捻れよ!


「ちなみに、×で答えた者から順番に排除します」


 もはやただの私怨だよ!


「既に準備はできておる!あとは勇者を待つだけだな!」


 負けるのと同じくらい、無駄に準備が早いな。

 いや、準備が早いのは悪い事じゃない。

 最近、魔王城の周りを勇者の手勢がチョロチョロ嗅ぎ回っているみたいだし。

 近いうちに何か仕掛けてくるかもしれない。

 しかし罠を準備しているのであれば、幾分か気が楽になるというものだ。


「ふっふっふ!次に相見える時こそ、やつらの最後よ!

 はーーーーーーっはっはっは!はーーーーはっはっはーーー!!」


 だが、何故だろうか。

 すごく、すごく嫌な予感が拭えないのは。




////////////////////////////////////




「はーっはっは!

 よくぞ参ったな!勇ましき者よ!

 我が名はシャムノア・シャンメリー!

 この魔王自らが貴様らに引導を渡してやろう!

 そして貴様らの墓標を礎として、混沌たる世界を統べようぞ!」


 魔王城チキチキ○×クイズの立案から、3日が過ぎた。

 勇者の手勢は相も変わらず魔王城の周囲を嗅ぎ回っているが、

 勇者自体は未だに姿を見せてはいない。


「うむ、最初の高笑いにもう少し張りがほしいところかな。

 ひーっひっひ!……違うな。これでは魔女だ。

 へーっへっへ!ってこれじゃただの変人じゃないか」


「魔王様。登場シーンの練習よりも戦闘訓練をした方が良いのでは?」


「な、何を言うか!?

 最初にガツンッ!と我の威厳を見せてやれば、

 相手も萎縮して普段の実力を発揮できないかもしれないだろ!

 むしろまだまだ派手さが足りないくらいだ!

 爆発と共に登場する位の演出は欲しいよな!こう、ドオォーーーーンと」




 ドオオオオオオオオオオオォォォォォオオオォーーーーーーーンン!!!




////////////////////////////////////




 ここは魔王城跡地・・郊外、北の森の隠れ家。

 俺は幹部A。名前はまだない。


 勇者あいつら、魔王城ごと爆破しやがった。

 城の周りにいたのは工作兵で、随分前から爆薬を仕掛けていた訳だ。

 もう勇者本人すら出向かないとか、どれだけ哀れなんだろう、この魔王。



「しくしく……うぇっ、しくしく……」



 俺の転移魔法のおかげで崩壊寸前に逃げ出す事が出来た。

 しかし魔王ちゃんはもう駄目かもしれない。

 あれからずっと……今もベッドの上でふとんに包まりながら泣いている。

 潮時か。

 そろそろ俺も転職を考えてもいい時期なのではないだろうか。


「爆薬とか、そうゆうことしていいなら……ぐすん

 わたしだってぇ……すぐ勝てるもん……しくしく」


 でも今の魔王ちゃんを見ていると辞めますって言いづらい。

 今夜も俺は、安らかに眠れそうにないのであった。




////////////////////////////////////




・今日の魔王ちゃん

    戦闘時間:00分00秒



・魔王ちゃんの軌跡

  最短戦闘時間:00分00秒(戦う前に城ごと爆破)

  最長戦闘時間:08分59秒(ただし相手は人間の子供)

  累計戦闘時間:16分01秒


・本日の必殺技

 【魔王城チキチキ○×クイズ】

 ・事実は一先ず隅に置き、魔王ちゃんが満足する回答をしてあげよう!

  魔王ちゃんが黒と言えば、それが白でも黒なんだぞ!

  

ノリと勢いで書いてます。

誤字脱字がありましたら教えていただけるとありがたいです。

評価ぽちーしてくれたら狂喜乱舞します。

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