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2:魔王ちゃん、格下相手に散る

「はーっはっは!

 よくぞ参ったな!勇ましき者よ!

 我が名はシャムノア・シャンメリー!

 この魔王自らが貴様に引導を渡してやろう!

 そして貴様の墓標を礎として、混沌たる世界を統べようぞ!」



〜5分後〜



「はぁ、はぁ、少し戯れが過ぎたかな。

 だが貴様が調子に乗っていられるのも今だけだ!

 その攻撃はもう完全に見切っへぶしッ!!

 ぐ、うおおおお……い、いだぃぃいい……。

 は、ふはははは!びくともせんッ!!

 どうした、攻撃が止まって見えふべらッ!!

 ぐ、うおおおお……いだぃぃいいよぉ……」



〜2分後〜



「うぬぅ〜、ウォーミングアップはここまでだ!

 貴様程度の虫けらに見せるのは少々もったいないが、

 ここらで我の真なる姿を披露しようではないか!

 はあああああああ〜〜〜〜〜〜てやあああああ!

 ふぅ。どうダ!これガ私の真の姿ダ!

 どうした?あまりノ恐怖二動けなクなったのカ?

 え?あんまり変わってない?変わっとるし!角伸びたし!」



〜1分後〜



「ど、どうだ?そろそろ苦しくなって来たのではないか?

 くははは、やせ我慢もここまで来れば賞賛に値するな!

 いいだろう。そんな貴様に敬意を賞し、

 我が闇の秘術【輪廻砕消】にて魂諸とも消滅してくれようぞ!」



〜20秒後〜



「ムッキィィイィ~~~~~ッ!ゴォラァ、糞ガキ!

 詠唱中に石を投げるな!びっくりするだろうが!

 痛い!痛いて!なんでそんなに石持ってるの!?

 石でもイケそうな魔王とか思われてたら心外なんだけど!

 うがっ!は、はなにあたったぞ。

 くそ、今日はここまでだ!命拾いしたな!

 ええい!終わりだ!石はやめろ!!やめっ!やめい!!」




////////////////////////////////////




 ここは魔王城郊外、北の森の隠れ家。

 俺は幹部A。名前は未だにない。

 そしてベッドの上で不貞腐れているのが俺の主。

 魔王ちゃんだ。


 昨日、魔王城の戦いにて無様にもフルボッコにされた魔王ちゃんは、

 俺の転移魔法によって、辛くも勇者からの逃亡に成功する。


 勇者一行は近くの街に引き上げたようなので、俺達は魔王城へ帰る事にした。

 やはり慣れ親しんだ城は落ち着く。

 俺達は嬉々として魔王の間に歩を進めた。

 しかし、そこには知らない人間が居た。

 人間の、それも少年……猿顔であまり可愛くはない。

 どうやら俺達が留守にしている間に、近くの村の子供が迷い込んだらしい。


 「ほれ、ここは魔王の間。子供はさっさと帰らんかい」

 「は?まおう?おまえが?うけけけ、クソよわそーじゃんフヒヒヒ」


 少年のその一言から戦いは始まった。

 結果は……魔王ちゃんの名誉のために黙秘する。


 それにしてもあの少年。

 大人の俺が戦慄する程に煽り上手だった。

 回避と挑発を同時にこなす器用さは是非とも見習いたい。

 何より人を小馬鹿にしたようなあの表情。

 あれは確かに、強烈に、猛烈に、腹が立つ。

 後ろに控え、直接関与していない俺でも一瞬正気を失いかけた程だ。

 案の定、魔王ちゃんと猿顔少年の小競り合いはヒートアップ。

 気がつくと、途中からどっちが猿なのかわからない展開になっていた。



「うん、勝てる。勝てるよ、あれ」



 その後、俺は転移魔法で近くの村まで少年を送り届けた。

 しかし、俺が帰ってきてから魔王ちゃんはずっとこの調子である。



「今回は巡り合わせが悪かったけど。

 もう完璧に読みきったね、うん。次は無い」



 そこら辺にいる糞ガキに負けた魔王ちゃん。

 俺にはその屈辱をおし計ることが出来そうにない。

 とはいえ、何も言わず放置するのも可哀想だ。

 ここは一つ、俺から適当にエールを送ろう。



「昨日より粘りましたね、魔王様」


「うっさいわ!」



 ハハッ、どうやら失敗したようだ。


「あー、今朝寝違えてなければ瞬殺だったのになー」


 かと思ったが、いつもの調子が戻ってきた。

 なんだろう。

 そうなると逆にちょっとウザイ。


「寝違えた事によって生ずる視野の低下がなければなー。

 あれがなければ石くらい簡単に避けられたのになー。

 でもって秘術炸裂したのになー、のになあーーー!!」


 見苦しい!

 姿こそ愛くるしいのに、負けると見苦しい!!

 今の自分が如何に見苦しいか、どうにか理解してくれないものか。



「むしろ、我が寝違える事を見越して石を準備するとか?

 その少しの隙も見逃さないハングリー精神?

 そこは評価せざるを得ないよね。間違いない。

 あーゆーの見せられた逆に避けるとかできないわー。

 そんな無粋な事できないわー、我できないわー」


「魔王様、舐められてますよ」


「わかっとるわ!!」



 そうだよね。流石にわかるよね!

 だからわざわざ隠れ家まで来てベッドに顔を埋めて泣いてるんだもんね!

 わかったから。

 枕で、俺の、顔を、叩くな!


「私の中ではあれは負けにカウントされないの!

 逆に魔王である私が子供相手に『うおおおおおおぉおおお!!!!』

 とか声を上げて向かっていく絵面見たいと思う?

 なんかそれマヌケじゃない?マヌケだよね。むしろ悲しいでしょ!!

 魔王の半分って慈愛で出来てるからなー。子供に本気出すのはNGだよ」


「……真の姿」(ボソッ)


「ぐぬぬ」


 うん。

 何も言い返せない所を見ると、やはり本気だったようだ。

 どうしよう。

 本気で今後の身の振り方を考えた方がいいのだろうか。

 正直、不安しかない。


「いいの!本番は勇者!あいつらに負けなければ問題ないの!!!」


 近所のガキに負ける魔王が勇者に勝てると本気で思っているのだろうか。

 今夜も俺は、安らかに眠れそうにないのであった。




////////////////////////////////////




・今日の魔王ちゃん

    戦闘時間:08分59秒



・魔王ちゃんの軌跡

  最短戦闘時間:07分02秒

  最長戦闘時間:08分59秒(ただし相手は人間の子供)

  累計戦闘時間:16分01秒


・本日の必殺技

 【闇の秘術、輪廻砕消】

 ・当たれば即死!魂の根幹すら砕き消滅させる大技だ!

 ・ただし詠唱には3分の時間を要し、効果範囲はめちゃ狭いぞ!

 ・秘術だけど、使える人は世界中に結構たくさんいるぞ!



負けるもんか!

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