SS1:魔王ちゃん、ハロウィンじゃん?
本日2回目の更新。
ハロウィン前のちょっとしたおまけ話です。
「知っているか?カンベエよ!」
「はぁ、なんですか?」
「はるぉ〜うぃ〜ん、というイベントについてだ!」
「勿論知っています。俺の住んでいた燐界を起源とするイベントですからね」
「おぉ!そうか!すごいよな!はるぉ〜うぃ〜ん!」
「まぁ、この時期の定番イベントですよね」
「魔族が人の街を堂々と闊歩し、合法的に不幸を撒き散らす事が出来る日!!」
「ただの仮装祭だよ!!」
「凶器執行か狂気施しか!」
「悪戯か御馳走するか、な!」
〜正しいハロウィンの説明中〜
「ハロウィンでは街中の人間がお化けに仮装する。
魔族が人の街を歩いてもいい日、ではなく、
魔族が人の街を歩いても違和感のない日、が正しい解釈だ」
「ふーん、お菓子を貰ってしまったら人間に不幸を与えられないのかぁ。
小癪な防衛手段ではあるが、お菓子を貰えるのだから我も文句は言えんなぁ」
「わかったか?」
「ああ!つまりお菓子を持っていなさそうな奴に喧嘩を吹っかければいいのだな!」
「そこまでして悪戯したいの!?」
「何を言うか!仮に失敗してもお菓子を貰えるのだぞ!?
我にとっては得しかない、正に魔王のためのイベントではないか!!」
「あのなぁ、俺達は一応おたずね者のようなものだろ?
祭りとは言え、わざわざ人の多い場所に出向く必要は無いじゃないか」
「いやいや、そんな事はないぞ!
よく考えてみろ、カンベエよ。これはチャンスだ!」
「意味が分かりません」
「知将カンベエともあろう者が、こんな簡単な事にも気がつかんとはな!」
「嫌な予感しかしませんが」
「まず勇者共に喧嘩を吹っかけるだろ?」
「 」
「もしも奴らが菓子を持っていなければ……
勇者共は我の悪戯を甘んじて受けなければならないのだよ!」
「 」
「我の初勝利も夢ではない!失敗しても菓子をぶんどれる!
どちらにしても奴らには損失しかないという寸法よ!!」
「お前ある意味天才だな!!」
「さぁーそうと決まれば実行だ!いざ行かん、ノースライバックの地へ!」
〜移動中〜
「ついたぞ!勇者共は教会で子供達を相手に菓子を配っているそうだ!」
「情報早いですね、早速向かいますか?」
「近くまでは行く。だが突入するのは時間を置いてからだ!」
「その心は?」
「勇者共のお菓子がなくなるのを待つ!」
「わー。ハロウィンでこんな歪んだ楽しみ方をする奴、初めて見たわー」
〜2時間後〜
「勇者めぇ〜〜なかなかストックが無くならないな」
「この街は広いですからね、たくさん準備していたんでしょう」
「とか言ってる内にどうやらお菓子が底を尽いたようだぞ!
教会に集っていた人間共が散って行きよるわ!」
「お菓子のブースも片付け始めたみたいですね」
「今が好機!!我は行くぞおおおおぉぉぉ!!!」
「いってら〜。あ、やば!」
「はーっはっは!
久しいな!勇ましき者達よ!
我が名は大魔王シャムノア・シャンメリーだ!
貴様らには二つの選択肢がある!
大人しく菓子を渡すか!それともここで死ぬかだ!
ま、菓子がないのはわかっているけどね!ぷぷぷぷ〜♪
という訳でこの大魔王自らが貴様らに引導を渡してやろう!
おっと菓子もないのに抵抗するなよ?
なんてったって今日は、はるぉ〜うぃ〜n」
「(魔王様〜!大変で〜す!!)」
「(な、なんだ!?今いいところなのに!!)」
「(ひ、日付!変わってます!)」
「は?」
ドオオオオオオオオオオオォォォォォオオオォーーーーーーーンン!!!
「いやぁ〜まいった!まさか日付が変わってしまうとは!
勇者一行は、今回も容赦がありませんでしたねぇ、魔王様!」
「カンベエよ、そういう事は、もっと早く言え……」
「はははは、すいません。俺、お菓子もらってなかったもので」
「な、なんじゃそりゃ……バタンキュ〜」
「ま、これに懲りたら、次のハロウィンは普通に楽しみましょう。という事で!」
おしまい