戦場の侍
一陣の風が吹き、目を覚ます。
おや、いつの間にか寝ていた様だ。
辺りを見回すと、何やら見慣れぬ光景が広がっておる。
はて、ここはどこぞ?
?「危ない!
ダダダダダッ!!
突然鳴り出した、鉄砲の音
某は突然掴まれ、細長い穴に引っ張り込まれた。
なんじゃ、この溝の様な通りは?
他にも若人が溝の壁にへばりついておる。
それにこの若人、奇怪な格好だな。
?「何であんな所で寝とったんだ!?
敵の弾に当たるでねぇか!
はて、敵、弾?
何を申しておるのだ?
?「ともかく、ここに待っとれ!
若人は某を置いて、穴から這い出ようとした。
『待たれよ、まだ聞きたい事がある!
?「わあっ!
若人を引きづり落とす。
?「何するだ!
『お主、名は何と申す?
若人は尻を摩りながら答える。
田中「田中 義雄だろも。
おめぇさんは?
佐久間「某は佐久間 十蔵と申す。
田中「なんだって、そんな侍みてぇな格好でいる?
軍服はどうしたね?
佐久間「ぐんぷく…はて、その様な物は持ち合わせておらぬが、
お主の着ている着物がぐんぷくという物なのか?
田中「あったりめぇよ、
今は戦争中、これしか着るもん無いで
田中は塹壕から飛び出し、
木の陰に隠れた。佐久間も続く
ドゴーン!ダダダダダッ!
「全軍突撃ーー!
「わぁーーーー!!
少し離れた所では、指揮官が号令をかけ、
敵と交戦していた。
佐久間「今は戦の最中か?
ドッカーン!
田中「おめぇさん、本当に何にも知らねぇんだな。
しょうがねぇ、話してやるよ。
ここは日本じゃ無い、今は敵地に上陸し、
内陸部の敵と交戦中だ。
しかし、敵はでっけぇ機関銃や、大砲なんかを持ってて、
思う様に侵攻がはかどってねぇんだ。
ダンダンダン!
木の陰から敵を撃つ田中
敵「うわぁー!
佐久間「なんと!ここは日本では無いと!?
参ったのう、寝ていたら、いつも間にか南蛮に来ておったとは、
田中「南蛮?ここは南蛮じゃねぇで…
佐久間「!!
ドッカーン!
飛来した砲弾が隠れていた木に降ってきた。
間一髪、佐久間は田中を抱えて避けた。
田中「おったまげたぁ
佐久間「危なかった、怪我は無いか?
田中「ああ、でぇじょぶだ。
「撤退!撤退だーー!!
敵の攻撃は激しく、侵攻戦は失敗に終わった。
田中「くそっ!今日もやらてたか、お侍さん、退くぜ!
ポンと肩を叩かれ、訳も分からず、田中に続いた。
夜 塹壕
田中「炊けたぜ、ほら食いな
飯盒で炊いた粥を佐久間に差し出す。
佐久間「かたじけない。
田中もまた、漬物をおかずに粥を食べる。
佐久間「うむ、これは美味いな。
田中「そいつは良かった。
しかし、おったまげたで、
ほんもんのお侍さんが、いるたぁ。
おめぇさんがたの時代は米はなかったんですかい?
佐久間「某の時代にもあったぞ。
しかし、これほど美味い粥は食った事はない。
田中「へへっ
田中は褒められて嬉しくなった。
佐久間「お主達は何の為に戦っておるのだ?
田中「おら達はお国の為に戦ってんだ。
この戦争で勝ったら、不況であげぐ国は豊かになって、
みんな幸せになれる。そう聞いてるだ。
佐久間「なるほど、豊かになる為に、相手に戦を仕掛けてるというのだな。
佐久間は顔をしかめた。
田中「そんな顔をしねぇで下せぇや、
おら達も好きでやってんじゃねぇだ。
田中は慌てて取り繕う。
田中「おらは村に家族がいるだ。
おっとうも、おっかあも年で働けねぇ、
戦争に勝ったら、金をもらっておっとう達に
楽な暮らしをさせてやりてぇんだ。
田中は飯盒の飯を見つめながら言った。
佐久間「お主自身は家族の為に鉄砲を持っているのか。
佐久間は顎に手を当て、考える。
佐久間「決めた、この戦、お主に助太刀いたそう。
田中「いいんですかい、命を落とすかもしれねぇのに?
佐久間「飯を馳走になったのでな。
礼はさせてもらう。
佐久間はニイと笑った。
朝 塹壕
「全軍突撃ー!
「わぁーーーー!!
昨日と同じく、突撃を開始する。
田中「いよいよ、おっぱじまった
行くで!
塹壕から飛び出す田中と佐久間
ダダダダダッ!うわぁー!
敵の固定機銃を前に次々と倒れて行く仲間達
田中「くそぉ、あれさえなんとか出来れば!
壁の陰から恨めしそうに機銃を見る。
佐久間「某に任せよ!
壁の陰から飛び出す佐久間
一陣の風が吹く。
田中「あっ、お侍さん!あぶねぇ!!
ダダダダダッ!
容赦無く佐久間に銃弾が浴びせられる。
ダダダダダッ!サッ!!
ダダダダダッ!サッ!!
佐久間は素早く銃弾を避け、固定機銃に近づく
敵「なんだこいつは!
ズダッ!地を蹴り、固定機銃に一気に間合いを詰める。
ザザァー!!
敵「うわぁ!!目が!
手に持った砂を撒き、敵の目をくらませると、
鞘で敵の顎に一撃を食らわせる。
ドガッ、ドガッ!バターン!
瞬く間に、敵2人を倒す。
田中「おお、すげぇや
続いて、隣にある固定機銃に近づく
ダダダダダッ!うわぁー!
敵は攻撃に集中していて、気がつかない。
佐久間「隙有り!
ゴチーン!
刀の峰で敵のヘルメットを殴り気絶させる。
将校「おお、なんだあの侍は!?
我が軍に加勢するというのか?
敵「やろう!
ダダダダダッ!
3機目の固定機銃が佐久間に向かって銃弾を浴びせる。
ダダダダダッ!サッ!
佐久間は横に飛び、弾を避けると刀を投げた。
ブンッ!
刀は一直線に敵に向かう。
グドッ!
敵「ううぅ!!
敵の喉に刺さり、敵は絶命した。
敵に近づき、手を合わせる。
佐久間「すまぬな
刀を抜き、懐から出した紙で拭い、鞘に収めた。
佐久間「無益な殺生は好まぬ、
倒した敵は捕らえよ。
佐久間は振り向き言うが、、、
将校「ハハハッ!大義であったぞ!
憎き固定機銃は無力化した!
進軍せよ!
ダダダダダッ!うわぁ!
固定機銃の所で伸びていた敵は始末され、
大軍は固定機銃を奪い、大砲を破壊し、
瞬く間に戦地を制圧。
その奥にあった村へ向かった。
佐久間は悲しい表情になる。
田中「お侍さんよ、やったな!
田中は笑いながら佐久間の肩を叩くが、
佐久間の表情を見て、
どうしたのかと思う。
佐久間「いつの世も、人は争うのう。
敵の守っていた村は軍が押し入り、
略奪、暴行、家には火を放たれ、
地獄絵図と化していた。
田中もまた悲しい気持ちになった。
田中「やらなきゃやられる。
今はそういう時代だ。敵がおらの村に押入れば、
おんなじ事になる。
佐久間「某のいた所も戦乱の世であった。
この時代の様に狼藉や略奪は日常茶飯事。
某は戦いに疲れ、諸侯を旅していた途中だった。
それが辿り着いた先もまた、戦の世であったとはなんたる皮肉か…。
田中は佐久間の悲しげな顔を見て、一念発起した。
田中「戦争が終わったら、おらが平和な世を作ったる!
佐久間「お主がか?
田中「ああ、おらに何が出来るかわからねぇが!
やったるで!お侍さんみたいに悲しい顔をする事のねぇ、
平和な時代をよ!
佐久間は力強く語る若人の目に、希望の光を見た。
佐久間「侍と言う字は、人を待つと書く。
某は田中殿の作る泰平の世を待っておるよ。
一陣の風が吹いた。
田中「ああ!必ず作ったる!
田中は佐久間に熱く語るが、佐久間の姿は何処にも無かった。
田中は驚いて、辺りを見渡すが、影も形も消えていた。
田中「お侍さん、一体何処へ?
田中は狐につままれた様な気分になった。
田中家 書斎 60年後
「戦争中に現れた侍。これ本当かな?
「さぁね、昔の事は昔の人にしか分からないからね。
おじいちゃん、結構夢見がちだったから、
夢でも見てたんじゃない?
「そっか、そうかもしれないね。
遺品を整理していた、田中の孫は日記を見つけ、読んでいた。
「さ、遺品整理もこれくらいにして、会場の方へ行きましょ。
政府の偉い人沢山来るから、大変よね。
田中は戦後、政治家になり、国の再建に尽力した。
国は多くの人の努力によって、立て直され。
争いの無い、平和な世を築きあげたのであった。
一陣の風が吹く。
パラパラと風に煽られ、日記のページがめくれる。
田中の若き日の姿を写した写真が現れる。
いつの間にか一人の侍が日記を見ていた。
田中(お侍さん、約束通り平和な国を作りましたぞ。
侍は微笑むと風と共に姿を消した。
この物語はフィクションです。
登場する人物は架空の人物です。
適当に思いついた名前をつけました。
気分転換に書いた小説です。
構想20分、製作3時間
田中さんや、佐久間さんの口調がおかしいのは突貫工事で作った為です。
最近、短時間で絵を描いたり、小説を書く風潮が流行ってるようなのでry
しかし、時間がかかり過ぎた模様
やってみましたが、粗がかなり目立つもんですね。
日頃から作りなれてないとうまくいくもんじゃないですわ。
作った当初は、なかなかいいんじゃない?って思っても、
後で読み返すと、敵スッカスカじゃね?
田中どこの方言使ってんのよ?
とか、変なところはいくつかあります。
まぁ、その場のノリでサラサラっと、読んでもらうもんとして考えてるので、
難しい事や、おかしな事は流して貰うという事でお願いします。
昔話で普通に動物と話してたり、
変な戦術で敵を倒す事に、突っ込まず適当に流すアレです。
どうも、戦争物だとサラサラと書けるんですね。
多分、今の脳みそがそういう事になってるからだと思われます。
侍は、個人的に時代劇とかが好きだから出しました。
もっとも、PS2の侍というゲームが俺を侍好きにしたきっかけですけどね。
同シリーズは侍、侍道2、サムライウェスタン、侍道3とやりました。
2が一番面白かったです。
大学時代に1、2ヶ月昼夜を問わずやりまくったのはいい思い出。
やりすぎて気持ち悪くなった事も何度もありました;
話はそれましたが、
何だかんだで平和はいいなとか思ってくれたら嬉しいです。
艦これやって、太平洋戦争の事調べて、
そう思った俺の想いがこいつには込められています。