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06「リアルの晴季さんに会ってみる」

06「リアルの晴季さんに会ってみる」


目覚まし時計がり・・・ベットの横の壁が軽くノックされた

明人はノックを返しベットから起き上がる

今日はもうすでに、目を覚まし着替えも終えていた・・・

明人は更に壁をノックして、ベランダに出る

透矢も・・・着替えを済ませた状態でベランダに出てきた。


『なぁ~んだ、起きてたんだ・・・もっと早い時間に俺が壁をたたけばよかった』

軽く笑う明人

『そっちもねむれなかったみたいだな』

透矢は苦笑くしょうしていた


2人は昨晩の事について思い出す

『透矢はどう思う?』

『そうだな・・・20代後半から30前半くらいの女性だと思った』

『ん?それ何の話?』

しずんだ表情で透矢に話し掛けた明人は、ビックリして表情を変えた


『スカイプで話をした晴季さんの印象いんしょうの話だよ』

透矢は・・・

携帯メールで連絡を取り合い、スカイプにまねいた晴季さんの事を考えていた

『その年代の女性が冗談じょうだんでファンタジーな事を

「現実に起こった」と普通に言うかいなか・・・アレは多分、本当の事だよな』


『そうだな・・・俺は、俺と透矢がそれぞれ見聞きした

エスタシオンの表情や、PCのスピーカら聞こえた声の事の方を考えてたよ・・・』

2人は同じ事だが、少しづつ違う事を考えていた。


『所で明人・・・私服の準備はしたか?』

透矢の言葉に明人は呆気あっけにとられ、透矢は溜息ためいきじりに言葉を続けた

『お前なぁ・・・夕方、社会人に会うのに高校の制服では不味まずいだろ?

見たまんま高校生の二人を連れて歩く事になる晴季さんの事を考えろよ・・・』


『気にしぎじゃないか?』

明人の言葉に透矢は反論はんろんした

『世の中、卑猥ひわいな方向で見るやつのがうわさを作るんだよ・・・

例えば、夕方にサラリーマンが制服着た女子高生二人を連れて歩いてたらどう思う?』

明人は少し考えて『あぁ・・・なんか駄目だめな気がする』とつぶや


『お前が物分りがいい人間で良かったよ・・・』

明人の返答に透矢は満足げな笑顔を見せ

2人は学校が終わってから一時帰宅し、着替えて出掛ける事に決めた。


そして今日も、平凡へいぼんな変わりえしない日常が始まる

学校での明人の楽しみは・・・透矢の弁当だけしかなかった


『透矢は贅沢ぜいたくだよ・・・魚って肉より高いんだぞ』

昼休み・・・明人は透矢の弁当を食べ、透矢は明人の弁当を食べていた

『値段が高くても毎食、和食で・・・魚料理だと嫌気いやけがさすぞ?

それに、暑い日に魚臭い弁当を俺は食いたくない・・・』

2人はいつも通りの日常を過ごす


暑苦しい日差し・・・

こよみの上では初秋しょしゅうだと言うのに・・・海水浴に行ける程、無駄むだに暑かった。


放課後、家に帰って着替えて向かったUsignoloでは・・・

「今日は、家のお手伝い」って、事で・・・明人が1人こき使われる事となる


店内はりょうを求める客で意外と混雑こんざつしていた

透矢は・・・時計が見やすいカウンターの一部を内側からキープし

『今日は俺、ここ休みで別の用事で来てるんですよ・・・

でも、おごってくれるなら・・・びとが来るまで御相手しようかな?』と

OLのお姉さん達をはべらせ、軽食とエスプレッソコーヒーを味わっていた。


『あの一角だけ、ガールズバーならぬボーイズバーみたいね』

厨房ちゅうぼうから顔を出した明人の母親がポロリとこぼ

馴染なじみの女性客のリクエストを受け、彼女等の目の前でラテアートを披露ひろうする透矢は

何処どこで何している時よりも、生き生きしている様に見える

明人は半眼はんがんで『そうだねぇ~・・・』と、同意し透矢をながめた・・・


『これは貴女あなただけのために』と

OLのお姉さんの名前を呼び、至近しきん距離きょりで目を見て接客せっきゃくする姿は・・・

同伴どうはん出勤しゅっきんまえ指名しめいきゃくとコノ店に来店してくださるホストの兄さん達みたいだった。


そうこうしている内にむかえた約束の待ち合わせ時間

「人との待ち合わせ」を理由に明人はバリスタの制服を


透矢は・・・聞き分け悪いお姉様をそでにし

聞き分けの良いお姉様にはうやうやしく『打ち合わせがあるので』と

うそでも真実しんじつすべてでもない事をげて店の奥・・・

明人の両親が切り盛りしているレストランスペースへと移動した。


今日も夕方の時間になると、こちらの店内は恋人達でにぎわっている

2人は入り口を確認しやすい「予約席」ポップを置いた一番奥の席に着く

そして、それぞれとなりから持参したコーヒーを飲み一息ひといきついた


しばらくすると『すみません、予約してた「晴季」ですけど』と

カフェスペースから入って来る人影を見つけ透矢が迅速じんそくに動くのを・・・

明人は生温なまあたたか眼差まなざしで見詰みつめる


あらわれたのは透矢好みの・・・

うれいをめた感じがする、意志の強そうな年上女性だった。


ここまで来て初めて・・・2人は後悔こうかいする事となる

透矢は・・・「インヴェルノ」だと自分で名乗なのるのがずかしくて

明人は・・・「ビヤンコ」だと透矢に紹介されるのが恥ずかしくて

それぞれ、赤面してしまう事態じたいおちいるだなんて・・・

ゲームで使うキャラクターに名前を付ける時には考えもしなかった事である


「次、ゲームで使うキャラに名前を付ける時には絶対・・・

リアルで名乗る時に、恥ずかしくない名前を付ける事にしよう」

目の前の晴季さんには内緒ないしょで・・・

明人と透矢は、心の中でそうちかった。

ネットでの自分の名前に後悔した事ある人って

どのくらいいるのでしょうか?

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