表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/28

05「エスタシオンとおいかけっこ」

05「エスタシオンとおいかけっこ」


多分グリースは、感情的になって文字を打ち込んでいるのだろう

グリースの誤字ごじ脱字だつじ混じりの長い、長い文章は・・・

頭を抱えるほど難解なんかいな文章になっていて明人を苦しめた


先に到着とうちゃくしていた透矢も・・・

『半分くらいしか理解できていない』と、スカイプしに明人に自白した

2人はスカイプで話しながら文章の解析かいせきをし・・・

文章を打ち込んで確認かくにんを取りながら、事の次第しだいを理解していった。


相変あいかわらず・・・

グリースの文章には、言いたい事がめ込まれ過ぎていて理解に苦しんたが

それをすでに理解しているらしい

晴季さんの補足ほそく文章には、本当に助けられる事となった


『今度、グリースには内緒ないしょで・・・晴季さんにもスカイプに参加してもらおう』

脱力だつりょくかんつたわって来る程、疲れている透矢の言葉に・・・

明人は賛成さんせいするほかなかった。


明人達が理解に苦しんだ「グリースの言い分」を要訳ようやくすると・・・


グリースは・・・

通算5時間程、「エスタシオンとおいかけっこ」をしているらしい

同じ星に辿たどり着き、近付いたと思えば・・・見失う

次に見付けた時には、自分が直ぐに行けないくらい遠くに行ってしまっているか

他の星へ移動してしまっていて・・・


と、移動いどうアイテムと課金しないと使えない乗り物を駆使くし

エスタシオンが、故意こいにグリースをけているらしい・・・との事だった。


一つだけ考えられる事は・・・

エスタシオンは「本気で逃げてはいない」と言う事だけ

同じゲームがしたくて・・・でも、会いたくない人がそこに居れば・・・

使用するキャラを変更したり、サーバーを変更すれば気付かれなくて済むのだから


2人は、これが2人に対し前日に語られたエスタシオンの悩みと関係ない

「エスタシオンとグリースの痴話ちわ喧嘩げんか」でない事を本気で願った。


「とりあえず・・・ここで連絡取れる手段は全部ぜんぶためしたんだよな?」

明人の文章にグリースは・・・

また、長い文章で・・・やった事を全部書いて返してくる

『これじゃ、逃げたくなるかも』

気付くと、2人は同時に同じ言葉を発していた。


ふと目線を移すと、時計は23時・・・INしてから無駄むだに2時間も過ぎている

明日はまだ平日・・・明日の天気も思わしくない

早く起きねばならない明人と透矢は

「会えるかどうか、1時間だけ追掛おいかけてみる」と「別行動」をもうし入れた


グリースには悪いが・・・「会いたくないのがグリースだけ」なら

「明人と透矢だけで追掛ければ会えるのではないか?」と考えたのだ。


が、しかし・・・グリースが言う事をわけもなく

「エスタシオンはここだけじゃなく、リアルでも私の友達なの!

イキナリ無視するだなんてゆるさない、その理由をきく権利けんりが私にはあるの!」

と・・・反論はんろんの文章を打ち込んで、明人と透矢の後をついてきた


晴季さんの助け船を待ったが・・・

意思いし疎通そつうの願いはかなわなく、助け船は来なかった。


結局、4人全員でエスタシオンを追う事となったのだった・・・

役割やくわり分担ぶんたんは、しょ事情じじょうから・・・透矢が見張みはり役になる


その理由は・・・課金している三人を余所よそに、透矢が

『「課金して購入した物」が「期限付きで使えなくなる」なんて言う

毎日INできないユーザーを切り捨てた環境かんきょう設定せっていの「ネットゲーム」に、課金は不要!

「基本無料」なら・・・俺はその「基本」でしか遊んでやらない。』

と、このゲーム会社の経営側からみると・・・

困った主義主張を自負しているなんて事は、公然こうぜん秘密ひみつです。


計画はグリースがたてた・・・

課金してなくて移動の遅い透矢が、星を移動する為の船着き場にじん

他の星への移動を阻止そしし・・・

他のメンバーがエスタシオンをはさちにするらしい・・・


ただし、この時・・・

グリース以外の三人は、この計画について手をく事を決めていた。


決めてはいたが・・・エスタシオンがアイコンに無い表情を見せ

いくつか不思議な現象が起きている事にも気付き


それで、少し本気で追掛けた

その時、俊敏しゅんびんに動きまわるエスタシオンから受け取ったメッセージ・・・


次の瞬間には、エスタシオンは移動アイテムでも使ったのか姿を消していた

透矢も・・・多分同じモノを見聞きしたらしい。


見失い、星を移動され・・・遠くに逃げられた時点でグリースに・・・

会えても捕獲ほかくできる機能がないから捕まえられないのではないか?と言い

納得なっとくしてもらおうとしたのだが・・・勿論もちろん、世の中そんなにうまく行く事がない

なんで・・・・どうして・・・と、グリースは怒るばかりであった。


日付が変わる24時・・・

明人と透矢は「学校」を理由に、晴季さんは「仕事」を理由にログアウトした

グリースは・・・

「さけられる理由が気になるから」と徹夜てつや覚悟かくご頑張がんばるらしい。


半時はんとき・・・AM1時

明人と透矢のPSPのスカイプ画面には3人目のメンバーが加わっていた

『それでは、明日「Usignoloウジニョーロ」で・・・』

約束を残し、このアプリケーションは終了された。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ