04「連絡の取れないエスタシオン」
ここから・・・「ネットゲーム」の話に突入していきますw
04「連絡の取れないエスタシオン」
『家は親父が魚好きだから・・・朝昼晩、焼くか煮るかの魚料理なんだ』
と、愚痴る透矢に付き合って・・・明人は
駅近くにある「ソーセージと目玉焼き」の朝定食がある牛丼屋ではなく
「ハムエッグ」の朝定がある、駅から少し離れた牛丼屋に立ち寄った。
明人は「焼き鮭」の・・・透矢は「ハムエッグ」の・・・
牛小鉢付きの値段の高い方の定食を突きながら、携帯をチェックする
自分達の年代や、その下の年代が普通に自殺する昨今・・・
今朝のエスタシオンからのメールには気になるモノがあったからだ
だが、2人がそれぞれで返信したメールに・・・
エスタシオンからの返信メールが来る事は無かった
『考え過ぎなら、それはそれで良いんだがな・・・』
透矢の言葉に明人は頷き
スマホの画面のニュースで流れる、自殺した子供の話を眺めていた。
面白い事も興味を抱く事も無い、ツマラナイ日常
昼休みを越え・・・
目に余る程、携帯をチェックする明人に・・・業を煮やした透矢が
『小中学生かもしれない相手からのメールを待つな!』と
『その年代は学校に携帯を持っていけないのだ』と、明人の携帯を没収した
『一旦忘れろ・・・午後も授業があるし、放課後はバイトだ!
相手は、いつも同じ時間にネトゲで集合するから
その時に話すつもりで、メールの返信をしてこないのかもしれないだろうが』
透矢に色々、説得されてやっと・・・
明人はいつもの日常をいつも通り送れるようになった。
放課後の2人の行き先は・・・無機質なビルの立ち並ぶビジネス街
ビル陰に隠れた、立ち並ぶビルの一階に位置する
シックで独特の雰囲気のある英国風カフェレストラン「Usignolo(ウジニョーロ)」
ただし、英国風と言いながらメニューはイタリアンがメインで
日本人客、誰にも突っ込み入れられた事がないが・・・店名がイタリア語
そして、オーナー兼メインバリスタは「イタリア系日本人」な明人の祖父だった・・・
正直、店名の上に貼り付けられた英国風は何処にあるのか誰も知らない。
2人はいつも通り、そこでの仕事をやり遂げ賄いを食べて家路に着く
帰りの電車・・・透矢から携帯を返して貰い一瞬喜び、明人はガッカリした
『メールの返信が無い・・・』
『エスタシオンからは無いが・・・明人にもグリースからメール来てるだろ?』
他のギルドメンバーからの一斉メールを開き透矢が明人に見せる。
『あぁ・・・』
そこには、特に明人が心配していたエスタシオンの事が書かれていた
『エスタシオンが今日、学校サボってネットゲームに入りびたってたみたいです
明日は学校に来るように言ってやってもらえないでしょうか?』
女の子らしいデコメールの御願い文章に、明人が脱力したようだ
『メールの返事はネトゲでってのが、確定したみたいだな』
軽く笑う透矢を余所に・・・明人は若干、怒っていた
『家に居るなら、メールの返事くらいして来てくれよ!』
明人の嘆きは・・・
自分の大声による電車内の冷たい視線で、ちょっぴり鎮火する事となる。
駅から自宅の扉の前までの道程、明人は1人愚痴りながら歩く
透矢は聞き役に徹し適当に相槌を打ってくれた
『俺がお前の愚痴を聞いてやるから、俺の言う事だけはちゃんと聴けよ』
って、言うのが・・・
熱しやすく爆発しやすい明人と、それを止める役割を担う透矢の暗黙のルール
透矢は明人を止める事で自分を冷静に保つ事が出来ると気付き、認識し・・・
その役を自ら買って出ていた。
同じマンションの同じ階、互いの玄関先・・・
『風呂に入ってから、21時にはいつもの場所で・・・』と
いつのも会話を交わす頃には、明人の機嫌は直っていた。
PM21時・・・ログインしてファイターの「ビヤンコ」を選択し
ゲームをスタートさせる
降り立つは自分の星、透矢の「インヴェルノ」は既にINしていた
PCに負担を掛けない為にPSPで繋いだスカイプからは
繋がるや否や・・・『フライングしてINするかと思って待ってたんだぞ』
と、透矢が話し掛けてくる
俺はビヤンコをインヴェルノの星に移動させた。
『あれ?エスタシオンは?』
他のギルドメンバーに文章を打ち込んで挨拶しながら
俺はエスタシオンを探すが・・・
待ち合わせ場所であるインヴェルノの星には来ていなかった。
『グリース曰く、リアでは引籠り・・・ここでは逃走中らしいよ』
透矢の声が「もう、面倒臭くなった」と意思表示をしている
画面の下部には、グリースが打ち込んだ文章が次々と流れていく
それに時々・・・
「晴季(はるき)さん」が打ち込む「大人な意見」が追加され
俺は文章を読みながら事態の把握に努めなければならなくなっていた。