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  作者: 紀ノ川
第4部 禁煙男
31/37

第1章 夢

 禁煙男は夢を見ました。


 排泄物がありました。

 排泄物がそこにありました。


 怪物はお腹が空きました。

 怪物は空腹のあまり死にそうになりました。

 怪物は仕方なく排泄物を食べました。

 排泄物は意外と美味しかったです。

 怪物はお腹一杯になり満足しました。

 怪物はしばらくすると排泄欲に襲われました。

 怪物は排泄しました。


 怪物はのどが渇きました。

 怪物はのどの渇きのあまり死にそうになりました。

 怪物は仕方なく排泄物を飲みました。

 排泄物は意外と美味しかったです。

 怪物はのどの渇きを癒され満足しました。

 怪物はしばらくすると排泄欲に襲われました。

 怪物は排泄しました。


 この繰り返しが、どこからスタートしたのか、どこがゴールなのか、全く思い出せなくなるまでの長い時間繰り返されました。

 自給自足の永久運動が完成されたのです。

 排泄物は段々大きくなってゆきました。

 それは怪物にはわからない、ゆっくりとしたスピードでした。

 それは雪だるまが坂を転がり落ちながら段々と巨大になってゆく姿に似ていました。


 怪物に寿司が出されました。

 寿司は怪物の大好物でした。

 怪物は「もうこれで排泄物を食べなくて済む!」と大喜びで寿司を食べました。

 けれども寿司は不味くて不味くて食べられませんでした。

 しかも寿司を少しでも食べると、怪物の全身に激痛が走るのです。

 怪物には排泄物が最高のご馳走になっていました。


 怪物に珈琲が出されました。

 珈琲は怪物の大好物でした。

 怪物は「もうこれで排泄物を飲まなくて済む!」と大喜びで珈琲を飲みました。

 けれども珈琲は不味くて不味くて飲めませんでした。

 しかも珈琲を少しでも飲むと、怪物の全身に激痛が走るのです。

 怪物には排泄物が最高のご馳走になっていました。


 怪物は排泄物を飲食するのは止めて、寿司や珈琲を飲食しようとしました。

 怪物は一生懸命努力しました。

 けれども一生懸命努力すればするほど怪物には排泄物が最高のご馳走になっていきました。


 怪物は鏡の前に立ちました。

 鏡には煙草を口にくわえた禁煙男の姿がうつっていました。


(つづく 最終更新日13年01月02日)

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