第6章 牢屋
カリカリカリ
カリカリカリ
カリカリカリ
耳かき男が耳かきをしています
カリカリカリ
カリカリカリ
カリカリカリ
耳の奥の壁をかいています
耳かき男は牢屋で一日中、耳かきをしています。
一年
三年
五年
耳かき男は牢屋で一日中、耳かきをしています。
鼓膜に穴が開き、強烈な臭いの耳汁が出ます。
それがまたかゆくてかゆくて堪りません!
ガリガリ、ガリガリと耳かきをすると更に強烈な臭いの耳汁が出ます。
耳かき男は大きなバケツを渡されていました。排泄は全てそのバケツで済ませろと言われていました。
牢屋の番人は糞尿が溢れ出してもバケツを取り換えてくれません。
特濃厚な耳汁と大小便の入り混じった強烈な臭いは、耳かき男の牢を満たし酸鼻を極めました。
その耳かき男の牢は一年中陽が当たらず暗くジメジメしていました。どこからやって来るのかムカデがウヨウヨと這いずり回っていました。
ある真夜中、ドロリとした耳汁の強烈な臭いに惹き付けられたのか、眠っている耳かき男の右耳にムカデが這いずり込みました。
耳かき男はパニックを起こしました。鼓膜に開いた穴から頭の中へとムカデが這いずり込み、脳味噌を喰い荒らされる!と瞬時に思いました。
耳かき男は枕元の耳かきを右耳の奥の奥まで突っ込むと、無茶苦茶にかき回しました。
ムカデは右耳から逃げ出しましたが、その代償として耳かき男は右耳に激しい痛みを感じました。ムカデにかまれたか、耳かきで傷付けたか。
耳かき男は、
「痛い!医者を呼んで!痛い!」
と泣き叫びました。
牢屋の番人は真夜中に泣き叫ぶ囚人に腹を立て、竹槍で殴り、口汚く罵倒しました。
耳かき男はいつしか泣き濡れながら眠りに落ちました。
幸い目覚めると右耳の痛みは無くなっていましたが、ムカデは相変わらず牢屋の中を蠢いています。
耳かき男は強烈なストレスを感じました。
「また今夜……」
ストレスは耳にきました。
ストレスは耳のかゆみとなって現れました。
ガリガリ、ガリガリ。
耳かき男が耳かきをする姿は以前にも増して鬼気迫るものとなりました。
十年
十五年
二十年
耳かき男は牢屋で一日中、耳かきをしています。
ガリガリガリ
ガリガリガリ
ガリガリガリ
耳かき男が耳かきをしています
ガリガリガリ
ガリガリガリ
ガリガリガリ
耳の奥の壁をかいています
(つづく 最終更新日22年06月18日)




