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  作者: 紀ノ川
第3部 耳かき男
26/37

第4章 耳かきの女神と綿棒男

カリカリカリ

カリカリカリ

カリカリカリ

耳かき男が耳かきをしています


カリカリカリ

カリカリカリ

カリカリカリ

耳の奥の壁をかいています






 耳かき男が大学1年生の時です。

 耳かき男は耳かきを煮沸消毒しました。

 それは耳かき男の家に先祖代々受け継がれている、家族共有の耳かきでした。

 見た目はどす黒く、触るとベタベタしました。

 不潔な耳かきでした。


 耳かき男は大きな鍋にたっぷり水を張ると、グラグラ沸騰させました。

 そこに不潔な耳かきを放り込むと、フタをして5分間ジックリ煮込みました。

 耳かき男は湯上りの耳かきをタオルでふいてやると、元の場所に戻しました。

 次の日、見ると新品同様の清潔な耳かきになっていました。

 耳かきがお湯を吸い込んで膨張し使い物にならなくなるのでは?という耳かき男の心配は無用でした。


 すると耳かきの女神が現れました。


 耳かきの女神は清潔にしてくれたお礼に何でも願いを叶えてやると言いました。

 耳かき男は、

「ダイアー・ストレイツのCD「悲しきサルタン」を下さい!」

 とお願いしました。

 耳かき男はダイアー・ストレイツのギタリストであるマーク・ノップラーのファンでした。

 耳かきの女神は気持ち良く願いを叶えてくれました。

 ダイアー・ストレイツのCD「悲しきサルタン」を手に入れた耳かき男は大喜びです!

 けれども耳かき男にはそのCDがよく聴こえませんでした。

 耳かきをしながらCDを聴くせいです。


 耳かき男はヘッドホンやイヤホンが苦手でした。

 耳かき男の耳垢は乾燥タイプでしたが、ヘッドホンやイヤホンをすると、耳の中が汗をかいたように蒸れ蒸れになります。

 耳垢が湿ったタイプになります。

 鼓膜が呼吸をしているのではないかと思いました。

 皮膚呼吸ならぬ鼓膜呼吸です。

 鼓膜が常に新鮮な空気を求めています。


 閑話休題。

 耳かきの女神は用が済んだので、家へ帰ろうと電車に乗りました。

 そこに運悪く綿棒男が居合わせました。


「耳かきは綿棒で!」


 これが綿棒男のスローガンです。

 綿棒男は耳かきの女神を見付けると、次の駅で電車から引きずり降ろし、便所に連れ込みました。

 綿棒男は耳かきの女神をレイプすると、首をチョン切って殺してしまいました。

 綿棒男は急に怖くなり便所から慌てて逃げ出しました。

 それを不審に思った駅員が便所をのぞきました。

 すると便所の中には真ん中でポッキリ折れた耳かきが1本落ちていました。


 綿棒男は海外に逃亡しました。

 海外で綿棒の普及活動をする為です。


「耳かきは綿棒で!」


 綿棒男は一日の終わりにホテルでシャワーを浴びます。

 綿棒男はシャワーで耳を洗うのが好きでした。シャワーで耳の奥の壁まで刺激するのです。シャワーの水圧で鼓膜を圧迫するのです。

 そして湯上りにベットに腰掛け、冷たい缶ビールを飲みながら、綿棒で耳の中の水を拭き取ります。

 綿棒男の至福の時です。


「耳かきは綿棒で!」


 ある時、右耳の一番奥まで入った水が取れなくなりました。綿棒をどんなに奥まで突っ込んでかき回しても取れません。

 綿棒男はついに右耳の一番奥まで入った水が腐って死んでしまいました。

 綿棒男を担当した海外のお医者さんは、この不可思議な現象に首をひねりつぶやきました。

「まるで呪いだ・・・・・・」 


 ともあれ、耳かきの女神の死は、耳かき男にとんだ不運を持ち込む事になるのでした。






ツンツンツンツン

トントントントン

ツンツンツンツン

トントントントン

耳かき男が耳かきをしています


ツンツンツンツン

トントントントン

ツンツンツンツン

トントントントン

耳の奥の壁を耳かきで刺激しています


(つづく 最終更新日22年05月23日)

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