放課後
「はぁ〜」
俺はまた溜め息をつく。
全く今日で何回目だよ。
先輩達に用事があったからあれから少ししてくらぶは終わった。
今は、サッカー部を見学に行ったハズなのに、先輩達と混じって練習をしているカズを待っている。
ちなみにカズは中学でもサッカーをやっていた。
県大会でも優勝したり、キャプテンだった事もありカズは推薦入学だ。
噂によると二年の時ぐらいからここ(高校)はカズを狙っていたとかなんとか。
=その時から進路決定みたいな?
それでも、ここは県内でも一、二を争うサッカーの強豪校。
だからカズも頑張っている。
カズが頑張ってサッカーをやってるのは知ってるけど、俺は勉強で頑張って入学した組だからちょっと悔しいかも。
まぁカズの事はいいとしてだな。
俺、なんてくらぶにはいっちゃったんだろう。
初恋の人は男だし、なんか先輩は変わり者ばっかだし。
一癖も二癖もありそう。
『明日もくらぶはあるからね。
放課後、授業が終わってから15分以内にこの教室に来ること。
わかった?』
『あと制服着て来てよね。
くらぶの約束だから』
アーサー先輩とマチ先輩の言葉がよみがえる。
くらぶは制服って一体何をやるんだろう。
俺が来た時になんかやってた様子もなかったし…自由に何かするとか?
でも、それなら別にくらぶに入ならくてもいいよな。
うーむ、よくわからない。
「おいユウ!
どうしたんだ? 」
気が付くとカズの心配そうな顔が目の前にあった。
「うわっ!!」
俺は思わず一歩ひく。
カズは悔しいぐらいに顔が整っていて美形なのだが、だからといってアップはびっくりする。
「むっ!
なんだよ失礼だな。
何度声をかけても返事をしないから心配してやったってのに」
傷ついたぞーなんて言いながら頬を膨らませる。
ったく。
コイツちょっと子供っぽいんだよな。
見た目とは違ってさ。
俺のが中身大人なんじゃないか?
悲しい事だが、俺の顔は童顔でカズとは正反対なんだけど。
流石に身長が身長だから小学生に間違われたりしないものの、中一くらいに間違われるのはしょっちゅうだ。
自分で言っててマジ悲しいし。
「ごめんごめん。
ちょっと考え事をさ」
「ふーん。
どんな事?」
「それがさ…」
俺は帰り道、放課後にあった事を全部カズに話した。
俺は家まで歩きで十分ぐらいだけど、カズはチャリで二十分ぐらいかかる。
中学と正反対の位置に高校があるから毎日大変っぽい。
中学はカズ家が近くて楽してたもん。
で、俺ん家はちょうど通学路にあたるから一緒に帰ってる。
中学の時はコイツの家が俺の通学路にあたってたんだけどなぁ。
「くくく。
お前やっぱ面白すぎ…」
話終えた途端、自転車をひきながらカズは笑い出す。
「笑うなよ」
「これが笑わずにいられるかっての。
普通どんなくらぶかわかんないのに入るか?
しかも入部理由が初恋の子と一緒にいたいから?
可愛らしいというかなんというか…」
俺は言い返す言葉が見つからない。
自分でも思い切った、馬鹿みたいな行動だと思っているから。
「しまいにはその人男だって?
あー、腹いて…」
「う゛…」
一番気にしていることを言いやがって。
初恋は叶わないって言うけど、こんなの悲しすぎる。&恥ずかしい。
穴があったら入りたかった。
「明日から大変だな」
カズは茶化すような笑みを浮かべながらそう言う。
人事だと思いやがって。
いや、人事なんだけどさ。
「…うん」
俺は力なく頷く。
「カズも頑張れよ。
練習きついみたいだし」
推薦だし、特待生だから練習は並のものではないだろう。
もし、気を抜いたりしたら大変なことになる。
「あぁ。
すぐにレギュラーとってやるよ」
流石カズ。
気合いもやる気もいっぱいだ。
先輩が聞いたら怒りそうだけど。
「さっすが〜。
でっかい男だねぇ」
「まあな。
っと、そういえば俺今日は茜を迎えに行かなきゃいけないんだった」
茜ちゃんはカズの10歳下の妹。
カズにどこか似てるけど、寂しがり屋で泣き虫。
まだまだ小さいから当たり前なんだけど。
「今日おばさん遅いんだ。
なら、早く行ってあげなきゃ。
茜ちゃん泣きそうになってるかもよ」
茜ちゃんはまだ保育園に馴れないのか、おばさんが迎えに来るととても喜ぶのだそうだ。
友達とかいないのかな?
俺は逆に迎えが来るのが嫌だった。
みんなで遊ぶのすごく楽しかったから。
「あぁ。
花見に行って泊まりなんだとよ。
ごめん。もう帰るな」
「うん、また明日」
「またな!」
カズは元気よくチャリをこぎ出す。
サッカー部の脚力のせいか、もうチャリは見えないくらい遠ざかっている。
早っ!
家がもう見えていたし、俺は憂鬱を隠してまた歩き出した。
憂鬱なのはくらぶはもちろん家にも原因がある。
ピロリン、ピロリン。
メールがきたのかケータイがなっている。
誰だ?
バカン。
ケータイを開ける。
090〇〇〇〇△△△△
ん?
マジで誰だよ。
『件名:一年生へ
一応ちょっとお金もってきてね。
あと、遅れたら許さないから(^-^)
マチ』
えぇ!!!
なんでマチ先輩から?!
なんで知ってるの?!
やばい。
先輩やっぱり怖い。




