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水の都の乙女  作者: 姫青
第1章
9/22

第8話:感謝の気持ちをもって

基本設定です。


「それで、あの、私この世界になんでいるんでしょうか?」

しっかりと王子様の方を向き、一番聞きたかった事を聞く。



「うーん。ごめん、わかんないだよね。」



……わかんない?


わかんないってなんですかそれ!?異世界トリップですよ!?もっといろいろあるでしょうが普通!!



私の眉間にしわがよるのを見た王子様はまぁまぁと話しだす。

「水の都って知ってる?」


何それ?とふるふると首を横にふる。


「そっか……。

あのね、この世界には精霊というものがいて、いろいろな加護を僕たちに分け与えてくれているんだ。 気候やその地になる食べ物の量もこの精霊の種類や数によって変わるんだ。

そしてなぜか大陸の中心に位置するこのクイスピス国にはたくさんの精霊がいてね、とても豊かな国なんだよ。だからこの国を手に入れたい国は多いんだ。

それでも、この国は近隣の国との小競り合いから世界を巻き込む戦争までありとあらゆる争いをしては勝っていたんだ。圧倒的な武力を誇る国だったんだよ、この国は。」


王子様が水が入ったグラスに手を伸ばしぐいっと仰ぐ。



(だった……?)

いぶかしむ私に王子様が話を続ける。


「死滅しはじめたんだ、精霊が。あるとき、急にね。

この世界の魔法は、精霊の力を借りて使うものだから、みんなが慌てた。そのときも大きな争いの最中だったからものすごい混乱だったらしい。それでも、争いは終わらなかった。むしろクイスピス国が精霊を独占していると、この国に各国の兵が押し寄せてきた。

血に酔っていたんだよ。だれにも止められなかった。そしてその間にも精霊は数を減らしていた。

天候は荒れ、川の水は汚れ、木は枯れる。大地は人々の血で真っ赤に染まった。そのときになってやっと人々は自分たちの罪深さが分かったんだ。悪夢の時代だよ。

そんなとき、世界に強い精気が流れたんだ。瞬間、わずかだけれど精霊の数が増えた。

精気を感じることのできる魔術師たちは探した、希望の光を。でも、誰も見つけられなかった。

ただ、不定期に精気は流れ、すこしづつ、確実に精霊の数を増やしていった。争いが終わって世界はひとまず平和になった。それでも治安はなかなか良くならなくて、いまでもスラムが残っているよ。

この国では治安の取り締まりに、闇の光イージスという軍団ができてあっという間に国家が再建したんだ。そしてそのころ、見つかったんだ。」



気づけば、目の前には暖かい紅茶が用意されていた。

一口すする。



「国家が再建して3年程経ったころ、王の即位式が行われたんだけれど、そこに一人の歌い手が来たんだ。町で評判の異国の歌を歌う黒髪黒目の乙女だった。

女の口から紡ぎだされたのは水の都に住む末姫が地上の王子に恋をし、魔女と契約をかわし地上へ王子に会いにくるという恋物語だった。人々は女の歌に酔いしれた。世界に精気がながれているのを知らずにね。ただ、幸か不幸かその歌を一人の魔術師が聞いていたから、ようやく精気の源を見つけることができたんだ。

その後女は城に上がり、歌を歌っては精霊の数を増やしていったんだ。」



そこで王子様が一息つく。

「なるほど、それでこの国は平和になったんですね。」

すごいなその乙女、と感心する。


「それで終わればよかったのにね。」

と意味深発言を残し王子様はまた話しはじめる。



「君の言うとおり、精霊が増えて世界は平和になったんだ。けれど、この国は違った。ひずみができてしまったんだ。

闇の光イージスのトップである夜の王ルノが水の都を歌った乙女を殺したから。皮肉なことに、そのときの夜の王ルノは王の弟だったんだ。

夜の王ルノは生まれながらにして決まっていて、類まれな能力をもつ人が必然的になるようになっているんだ。初代夜の王ルノがこの国の闇を消し去るために有能な人材を、という世界にかけさせた願い……いや、呪いだったんだろうね。乙女を殺した夜の王ルノにとっては。

王家という身分に生まれながら、その手で闇を消している自分。なのにこの国は、世界は乙女を必要としているというやるせなさ。

乙女が倒れていたのは外の噴水の傍だよ。そしてこれは知っている人は少ないけれど、初めて精気が流れたときの発信源はその噴水なんだ。だから、その乙女は水の都から来たとされてるんだよ。」


ふぅ、と息をつく王子様。


(なんか……すごく壮大な話……。)

しんみりとこの国の昔話にひたっていると、ふと、思い当たる節があった。

(乙女の歌った歌って人魚姫に似てるなぁ……それに噴水ってあれだよね。)

出窓から見えた噴水を思い浮かべる。






………ちょっとまて!?


「あの、私って最初どこにいましたか?」

恐る恐る尋ねる。

「噴水の所だけど?」

覚えてるでしょ?という王子様。



その辺りの記憶は曖昧なんですよ王子様。

あぁ、嫌な予感がする……。



「もしかして、私って……?」

返事を促す聞き方をする。

「乙女なんでしょ?」

あっさりと答える王子様。


でしょ?じゃないって!!

そんなの今はじめて聞きましたよ!


(……でも、なんで私がここにいるのか分かんないって言うのは、その当時の乙女が精霊を増やしたから

私にする事はないって事だよね…。それなら、まぁ乙女でも…。)


こういうのはいつか帰れるから、と楽観的な思考になりかけたとき、ある事を思い出した。



(当時の乙女は夜の王ルノに殺されたんだった!!)




「あの、闇の光イージスってまだあるんですか?」

あせって尋ねる私に王子様は困ったように頷く。


「うん。でも、今の夜の王ルノはそんなことしないだろうし、君が現れた事を知っているのはこの部屋にいる者だけだから安心して。それにほら、さっきの魔よけには結界を張る役目が備わってるから中から開けないかぎり三人以外が部屋に入る事はできないよ。」


そう安心する情報を教えてくれた王子様に「ありがとうございます。」と感謝を伝え




(結界ナイス!!さっき、メッチャいらない!!とか思ってないからね?命を守ってくれてありがとう、アントニオ○木!!)



と魔よけにも感謝する。


王子の話、長くてすみません。


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