第6話:お間違えにご注意ください
寝返りを打とうとすると、ぐわんとした痛みが後頭部から顎にかけて感じる。
(頭、打ったんだった……。)
頬にあたる枕のカバーがさらりとしていて気持ちいい。
きっとゼラがベッドに寝かせてくれたのだろう。
(ゼラには後でお礼を言わなくちゃ。)
ベッドに運んでくれたのは気を失った自分を支えてくれた腕の持ち主だろうがもとの原因はその人なわけで、お礼をいうつもりは毛頭ない。
後頭部に感じていた痛みがひき、うっすらと目を開ける。
部屋に差し込む光があまり変わっていないからそんなに気を失っていたわけではないようだ。
ただ一つ気になったことがあった。
このキラキラふさふさの物体なんですか?
何だろうとじっと凝視していると金色の物体Xはもぞもぞと動き始め、ひっくり返った。
「あ、おはよう。」
にっこりと言ったキラキラふさふさの物体Xは王子様だった。
「ひっ!!」
体をびくりと震わせ絶句する。
誰コレ、何コレどこの王子様ですか!!
「あはは、そんなに驚いた?」
金髪男は朗らかな笑顔をうかべ、頭、大丈夫?痛くない?と続ける。
「だ、大丈夫ですけど……どちら様でしょうか?」
見ず知らずの男と添い寝をしている状態にどぎまぎしながら聞く。
「あぁ、僕?僕は、この国の「王子!!なにをしてらっしゃいますの!!?」…。」
金髪男の自己紹介を遮って、かちゃりと扉を開けて入ってきたゼラが大声をあげる。
「あ、ゼラ!寝かしてくれてありが……」
ゼラの方を向き、体を起こしてお礼を言おうとするが途中でとまる。
……ん?今、王様のご子息の総称的なものが聞こえたんですけど……
「王子様!!??」
バッと体を起こし金髪男を見る。
「うん、そう。王子様。」
にこにこと自分を指差す金髪男…・もとい、王子様。
……なんですとーーーー!!?
確かに、キラキラ金髪ですしキラキラオーラ絶賛発生中ですけど!
なぜにここにいるんでしょうか!?
「いついらしたんですの?」
ゼラがベッド近寄りながら王子に尋ねる。
「さっきだよ。ゼラたちが廊下でじゃれあってたときに。」
ベッドから体を起こし、立ち上がりながら答える王子の顔は笑顔だった。
「申し訳ありません。」
とうつむくゼラにもうなずける。
だってそのときの王子様の笑顔は―――
……あなた本当に王子様ですか?
魔王様のものだった。
「ま、君たちに限ってそんなことは起きないと思うけどね。」
一応ね、と王子が朗らかに言えば肩に重くのしかかっていた真っ黒なオーラが、一瞬にして消え去る。
なんなのでしょうか、今の魔王様オーラは……
唖然としてゼラと王子様をみくらべてると
「あぁ、ちゃんと説明するからね。で、シュゼは生きてる?」
心配しないでといった顔で私を見る王子様にこくりと頷くが、またしても気になる言葉が…
……生きてる?なんですかそれ!?シュゼさんに何があったんですか私が倒れてた間に!
そろりとゼラをみると、えぇまぁ。と苦笑。
ゼラさん?……なんで残念そうなんですかぁ!?
「生きてる。トラブルがあってレオの部屋まで連れて行けなかったんだ。悪い。」
よたよたと部屋に入ってきたシュゼが生存宣言をする。
「ん、別にいいよ。僕の部屋でもここでもたいして変わらないし。
それより僕は、なんでこの子がシュゼを見て顔を赤くしてるのかしりたいな。」
そう言われ、頬に手をあてれば熱をもっているのが感じられる。
(ひゃ~、だって、あんな事されればだれだってこうなるよ!!)
三人の視線に耐えられず下を向く。
「い、いや別にあいさつをしただけで……。」
何でもないんだとわたわたするシュゼに沸々と怒りがこみ上げる。
(「別に」って何!あれは重大事件でしょ!!乙女の純情をからかうなよ!!)
シュゼをベッドから見上げた瞬間、再び空気が変わる。
あれ?なんだろうこの感じさっきも……
身に覚えのある感覚に首を回転させ王子様を見ると
「とりあえず、朝ごはんでも食べながらお話しようか。」
魔王様が再降臨していた。
活動報告の方も見ていただければ幸いです。
*追記*
すみません、話を追加しました。