表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
水の都の乙女  作者: 姫青
第1章
3/22

第2話:寝起きはボーっとしてるものです!

( )内は希ちゃんが意識して考えてる事です。

「ふー、落ち着いた~。」



顔も洗って、すっきり度100%で最初の部屋に戻る。

やっぱり、そこはお姫様チックなお部屋だったけれど

さっきよりは気分も落ち着いて、冷静に頭が働きそう。



もう一度しっかりと部屋をぐるりと見回すと大きな出窓があった。


(!!あれは!)


小走りで、窓に近づく。


(ああ、なんということでしょう……この出窓…

ピーターパンのウエンディのお部屋にそっくりです

この大きさといい、段になって腰掛けられるのといい、何よりもこのクッションのふかふか加減!!

私の想像そのまんまではありませんか!!)


ビィフォアー○フターのアナウンサーばりの解説で出窓をほめたたえる。

右手を伸ばしてクッションの感触を堪能するだけではたりなくなって、そっと薄いピンクのクッションで覆われた段に腰掛ける。

クッションの弾力が私の体重を軽く押し返しながらも、やさしく包み込んでくれる。



何コレ!?すごく心地いいです!

純日本家屋の我が家には、ソファなんてものなかったし、ましてや出窓なんておしゃれなものなかったもんなー。



我が姉様の「体が痛いからベッドがいい」発言により、数年前からベッドが導入されたけど、ニ○リのパイプベッドは軋むので寝返りを打つたびにキィキィと鳴った。

夜、廊下を歩いているときに、誰かの部屋からキィキィ音が漏れてきたときは心臓が止まるかと思った。


夜中の小さな音が怖い。これぞ日本家屋あるあるだ。





視線を窓の外に写すと広い庭園が見えた。

噴水を中心に迷路のように庭が広がっている。

緑の迷路には色鮮やかな花も咲いていて、パッと庭を明るく見せている。

心なしか小鳥のさえずりも聞こえてくる気がする。




(あの花、薔薇かな?薔薇だといいな。

やっぱりこんなに豪華なお庭には薔薇が似合うもんね。

…………ホント、すごいなぁ…なんかお城みたい…)



小さいころはお姫様とかが大好きで、よくお姉ちゃんに遊んでもらったなぁと幼き日を思い出すと笑みがこぼれた。




(まぁ、たいてい私が侍女役だったけどね……)

口元の笑みが苦笑にかわる。

視界にキラキラと光る取っ手を確認する。



(窓、開くかな…?)


目の前にある金具に手を伸ばす。

つまみをつまんで回すとカチャっと音がした。

取っ手を握ってぐっと押してみるがびくともしない。

たてつけでも悪いのかな。

さらに力をいれて押してみるが結果は同じ。



これは……「押してだめなら引いてみろ」ってやつ!?

だとしたら、ものすごく恥ずかしいんだけど…。

十回くらい押してたよ…。


ごくりとのどを鳴らし、勢いよく手前に引く。







パキッ




小さな音と同時に感じる浮遊感。


直後にどんっと背中に痛みを感じる。



「ぃっつ~~~」


背骨打った・・・。

背中をさすりながら、手の中のものをみて青ざめる。



(ぎゃーーーーーーー!!

壊した?壊れた?壊した!!!壊しちゃったよ!!

どーしよう!!やっぱりコレってあれですか。

高いですか?高いですよね!?いやにピカピカ光るものが装飾に使われてますからね!

しかも、こんなお城みたいなところのものなんて弁償できる額じゃな…ぃ…)


お城?――どこが?


弁償?――誰に?










…………あぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーー!!





(そうだよ、ここ何処ですか!そしてこの格好なんですか?)


思い出した現状に混乱しながら自分の着ている服を見下ろす。

―――リボンとフリルたっぷりの白のワンピースって!

手がじわじわと嫌な汗で湿ってくる。




(落ち着け!冷静に考えろ、自分!!)


さっとその場で正座をし自問自答をはじめる。


(ここはどこ?――――お城です……多分

何でここにいるの?――――わかるか!

日本だよね?―――……………。)



数十秒思案したのち信じられない結論に達したが、まだ決め付けるのは早い……よね?

物事はしっかり確認することが大事である。





(大丈夫、ここがどこかもうすぐわかるはず!!)

ぐっと右手を握り締める。










コンコン





ガチャ



ノックの音に続きドアノブが回される。













扉を開けて入ってきたのは、茶髪の男だった。









思わず目を見開く。


(どうしよう……。全然わっかんない!!)







――――希の考える日本ならば黒髪、王道なら金髪論は通用しなかった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ