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水の都の乙女  作者: 姫青
第1章
2/22

第1話:生活リズムは崩せない

やや下品ネタです。ご注意ください。


11月の水は冷たい。

冷たいというより小さい針で刺されているかのような痛さだ。

中学生のとき水泳部に所属していたのですでに体験済み。

プール掃除のときに、緑色のプールに突き落とされるなどは毎年恒例の儀式ともいえる。

あれは春先だったけど、気温的には変わらないと思う。

目の前を錦鯉が通り過ぎる。

ゆらりとゆれる尾びれと共に泡がキラキラ光って……





「ぶっわっはーーー!!」



勢いよく水から顔を出す。



死ぬ、死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ!!


必死に灰に酸素を送り込むのと同時に顔についた水をはらう。

池の水なんてどんな微生物がいたものかわかったものじゃない。


「ふー、ふー」


ザバっと池からあがる際に、水を吸って重くなった服が体に絡みつく。



(寒い・・・。)


あまりにも冷たかったので、外の気温が暖かく感じる。

指先がもう氷のように冷たい。膝を折り地面に座り込む。

体を大量の水滴がつたって地面に落ちる感覚が気持ち悪い。

腕を池のへりにあずけまぶたを閉じる。



(つかれた………)




ふいに、タオルで体を包まれる。

きっとお姉ちゃんが気づいてきてくれたのだろう。

柔らかい感触にほっとする。

全身を包まれると力強い腕に持ち上げられた。

やがて聞こえてきた規則正しい鼓動の音を聞きながら、眠りに落ちた。










***********************************





「…………ここ、どこですか?…」






目を覚ました私の前に飛び込んできたのは、天蓋付きベッド。

そして、なんとも愛らしい家具たち




……たしかに、私の部屋にはベッドがおいてあるし、可愛いものも少しはある。

しかし!だ、我が家は築120年の日本家屋でございますよ!!

こんなレースとフリルとリボンをふんだんに使ったお部屋なんて歴史の教科書の

写真でしかみたことありません!!




明らかに自分の部屋ではない光景に頭の中が混乱する。




(…夢……?)




手の甲でぐいぐいと目元をこする。

ついでに伸びもして、眠っていた神経たちを呼び起こす。




(…………変わらない…)




何度、目をまたたいても、景色は一向に変わらない。

むしろ、クリアに広がる景色が「現実」なのだと呼び起こした神経にうったえかけている。





手に触れるシーツの感触が実際のものだと理解すると、体の奥がなぜかむずむずする。




「……どうしよう…。」






むずむず感に堪えられず、ベッドからおりる。

辺りをみまわすと扉が三つあり、明らかに装飾の少ない二つに近寄る。

近いほうのドアノブをまわし、扉を開ける。










中には洗面台とお風呂があった。

そしてその隅のガラス板の向こうには、洋式トイレが佇んでいた。




「よしっ!」


思わず声をあげる。












異世界トリップ1日目の朝の出来事。






希ちゃんは、朝起きたらすぐトイレ派です。

こんなに図太くなるはずじゃなかったんですが・・・


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