流星雨宿り
大西洋のカリブ海に面したベネズエラの東部にある港町クマナ(クマナーやクマーナの表記あり)はヨーロッパ人が新大陸に建設した都市の中で最古の部類に入る。その歴史は破壊と再生の連続だった。破壊の原因は二つある。一つは自然現象だ。カリブ海プレートと南アメリカ大陸プレートが接する境界に近いため、この一帯は世界有数の地震多発地帯となっている。地震や津波そして近くにある小アンティル諸島の火山噴火はクマナに度重なる損害を与えた。
二つ目は人為的な破壊である。南アメリカ大陸に最も早く造られた植民都市は先住民との抗争の場となった。植民者たちが優勢となり軍事衝突の最前線が内陸部へ移動するまで、幾度となく繰り返される原住民の攻撃で壊れた街並みは、そのつど再建された。次にクマナが破壊されたのは宗主国スペインからの独立戦争時代である。今回クマナに被害をもたらしたのは独立阻止のためヨーロッパから送り込まれたスペインの軍隊だった。
クマナは天文の分野においても知られている。一七九九年、この町に滞在していた科学者フンボルト――その名はフンボルト海流やフンボルトペンギンに残る――は「全天が流星で埋め尽くされ、月の直径の三倍以上の流星がない隙間はどこにもなかった」と記した。一時間に百万個以上の流れ星が観測されたと伝えられている一七九九年の流星雨は、しし座流星群だと考えられている。
フンボルトに同行していたクマナ出身のガイドは「雨宿りの場所を探したくらいの流星雨だった」と往時を回顧している。




