一話 宿命
あなたは運命の出会いを信じますか?
これは一目惚れされやすい男性警官と恋愛に興味ががない女性の話。
「ねぇー、あの人ちょーカッコよくない?」
「ほんとだ!声かけちゃう?」
黄色い歓声のなかを歩くのは交番勤務の警察官
氷室湊。彼はとんでもないイケメンだった。
湊は人生に悲哀を感じていた。
「はぁー、今日も連絡先の交換を20回ぐらい迫られたな。でも今日は昨日より少ない方か…」
「おい、またお誘い断ったのかよ。モテモテだなー羨ましいぜ」
「なんだお前か亮」
風のように現れたこいつは加藤亮。俺の警察学校からの同期だ。人の気も知らずに羨ましいとかほざきやがって。
「羨ましいってお前この前逆ナンされてたろ」
「お前みたいに四六時中モテたいんだよ」
こいつも俺に及ばずとも逆ナンされるぐらいにはイケメンでモテる。
「まともな出会いが欲しいぜ」
「話してきた女の子じゃダメなのか?」
「いいんだよ、所詮は顔だけで選ぶ女だ。はぁー、本当に良い出会いが欲しいぜ」
「出会いは求めてるのに、話しかけてくる女の子がダメって変なやつだな」
確かに変かもしれないが俺にだって...。
「...?まーいいや、メシ食おうぜ」
「お前もしかしてまたあの店の大食いチャレンジやるのか
「あたりまえだろ!」
亮は何故か大食いチャレンジにハマってるらしい。
今月でもう4回目だ。
「どうせ食えないんだからやめとけよ」
「俺は諦めないぜ、never give upだぜ。」
実際、こいつがいいやつだからずっとつるんでるわけだし、俺もこいつといると気が楽になる。
「キャーひったくりよ」
とても甲高い声が遠くから聞こえてくる。
2人は一度目と目を合わせて、現役陸上部に負けないほどのスピードで走り出す。
「どけー」
咆哮をあげながら走る中年の男性を若い警官2人が追う。
「亮、お前は左に行け。挟みうちにするぞ」
「ちゃんと誘いこめよ」
亮と別れて中年男性を全力で追う。ぽっちゃりとした中年の男性は意外にも脚が速く湊はなかなか追いつけない
「おい、いい加減止まれ」
「くそ、なんであの警官はあんなに脚が速いんだ」
「はーい、ストーップ」
亮が曲がり角から出てきて、中年の男性は警官に囲まれた。
数秒の沈黙が続き、中年の男性はまた咆哮をあげ亮の方に向かって走り出す。女性から奪い取ったカバンを亮に投げつける。
「ちょ、急に投げんな」
「亮!!」
亮がひっくり返り中年男性はまた走り出した。その瞬間
「おい、止まれ!」
トラックのクラクション音が鳴り響く。
そんな中湊が反射的に男を突き飛ばした
俺はいったい何をしているのだろう。人のものを奪う野郎を助けて、あーやばい走馬灯ってやつが見えてきたかも。いい出会いはなかったけどモテてまぁまぁな人生だったな
「危ない!」
後ろから女性の声が聞こえドンッと押された。
頭を少し強く打って若干頭がぼやける。
「湊ーー!!」
亮が即座に中年の男性に手錠をつけて、2人に近づき安否を確認する。
「お嬢さん大丈夫?って湊!血が出てるぞ」
「亮うるさい、頭痛いから騒ぐな。
お嬢さんすいませんお怪我はありませんか?」
「大丈夫です。当然のことをしたまでです。」
その瞬間、男に稲妻が走る。
勇者が魔王に戦いを挑むのは当たり前のことで、それくらいに必然的な出会いだった、そして必然的に男は恋した。
ヤバいヤバい!せせらぎのような凛とした声、整った顔、綺麗な黒髪、スラッとしたボディこれが運命!!
読んでいただきありがとうございます。
初めて小説というものを書きましたがいかがでしたか?二話もそのうち書こうと思います。どうかお手柔らかに