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アルフヘイムの怪物 第4章 序章

ミッドガルド評議国 西部平原


俺はゴブリン小隊隊長ののオンジ。

今回、このミッドガルド領に希少なアイテムが出現したという情報を受け、ゴブリン王”トール”の名でこの地に来た。

ゴブリンは、寿命が短い上に通常は知能も人間基準で5歳程度。俺の様な”ホブゴブリン”とよばれる上位種でなければ、基本的にバカの集まり。

何故人間が基準になっているか、何故ならこのユグドラシルにおいて最も繁栄している種族が人間だからだ。

個々の戦闘能力では、他の魔物、例えば天使や悪魔といった強力な種族の方が基本的には強い。

稀に現れる”上位者”とよばれる、俗に言う”超位魔法”の使い手達は、個人差こそあるもののかの上位存在に互する、あるいは上回る戦闘能力を有すると言う。

そのくせ、”高位魔法”程度であれば使えるものはゴロゴロいる。

そう、何故人間が一番強いか。数の暴力だ。

上位存在が人間より優れているとはいえ、それは微々たるもの。大した差はない。それで数が多いのだから、そりゃユグドラシル最強の種族になる訳だ。


だが、人間も一枚岩ではない。奴らはエルフやドワーフを含む交配可能な種のことを一律に人間種と呼んでいる。

正直、自分には違いがわからなかった。確かに耳の形や、背丈、何より寿命がハッキリとこの3種族は違う。

だが、俺たちにとってはどれも同じ事なのだ。


ゴブリンという種の特徴。それは、他の種族に比べ力も弱く頭も悪い。では、何がゴブリンの最たる特徴なのか。


性欲だ。


ゴブリンは、どれだけ長生きでも30年しか生きられない。故に何としてでも子孫を残し繁栄しなければいけないのだ。

当然ゴブリンにもメスがいるが、同胞を孕み袋にするのは忍びない。


故に彼らは人間種を犯す。そう、ゴブリンはこのユグドラシル全てのメスに種を植え付けることができる。

何故かは分からないが、とにかく出来るのだ。

では何故人間種なのか。美しいからに他ならない。

ゴブリンは本能的に同種に美しさを見出すことができない。

他種族からは、怪訝に思われるが、我らからすればそっちの方が非常識だ。

同種のゴブリンなど気持ち悪くてとても抱けたものではない。

では、亜人や魔物の類はどうなのか。

答えは、気持ち悪いだ。

稀に、ゴブリンの中から現れるド変態が人間種以外と交配をするが、結局産まれるのはゴブリンだ。


そう言えば、先代のゴブリン王はリザードマンが趣味だったな。

理解できん。


「オンジぃ!!平原平原!!」


名も無き部下が、自身に見ればわかる情報を嬉々として伝えてくる。


「そうだね、綺麗だね。今日の任務は分かってるかい?」


「うん!お宝探しでしょ!?僕たち頑張る!」


「そうか、よし俺と一緒に頑張ろうね。」


(俺は子守か!はぁ、何でゴブリンってのは5年で成長が精神肉体共に止まるんだか…。人間が羨ましいぜ。)


小隊が、その広大な平原へと足を踏み入れた時。


-竜狩りの雷針(ドラゴンライトニングマイン)-


足を踏み入れた、隊員の内30名以上がチリと化した。


(な、高位魔法!?それも、時限式か!何処だこの見晴らしの良い平原でこんな正確に魔法を放ってくるとは!)


「控えろ下郎!ここより先は人類の楽園、ミッドガルドである!」

「である!」


少々ハスキーがかった低音の声と、可愛らしい少女の声が響いた。

気づけば先ほどまでなかった筈の、およそ10mはあろうかという高さの崖が現れた。

まるで、とってつけたかの様な不自然な崖にオンジはより一層警戒心を強める。


その、崖の上にいた存在は。


左右の異なる瞳を持った、長い耳を持つ片足で長身の男。

片や、ゴブリンと同等かそれ以下とも思わしき背丈の彼と同じ瞳の色を持つ少女だった。

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