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マジカルミライもどき

一時期ミクの記念日であげてたやつです。ネタバレは無い。

とあるボカロ好き

 明日はマジックミライの開催日でもある。そして後援に朝田が参加する初の年である。あの、世界一の技術を持つ朝田が後援なのである。当然期待は爆上げである。どのくらいかというと、朝田が本気で作った実物大フィギュアが出てくるのではないかとか、演出とかを朝田の技術で化け物にするのではないかとか、初音ミクがホログラムで出てくるのではないかとか、ホログラムで実際に演奏するのではないかとか、朝田本人も初音ミク好きなので、期待が高まっている。というか高まりすぎである。出演者や、開催スタッフのSNSを見ると、騒いでいるのかと思い、チェックしてみると、みんな静かというか、静かすぎるのである。明日が本番だということで告知はするのだが、絶対に見た方がいいという情報以外、最低限といえる情報しかない状態なのである。いや、朝田が本気で後援に立っているということはしつこいほど強調されているが。

 もちろん俺はその辺のミク好きではないので、予約の1時間前から画面前で待機して、予約に必要なメールアドレス、振り込むためのクレジットカード番号、パスワードまでメモ帳に記録し、回線も朝田回線と呼ばれる、朝田が運営している通信回線を用いて予約する。ちなみに朝田回線は通信料金は他のキャリアと比べて3〜5倍の価格設定となっており、その代わりに契約は少々時間がかかるが、解約がし易く、おまけに開設からほぼ通信障害を起こした事がないという、非常に安定した回線で、金があるなら取り敢えずこれにしろと言われている。それを用いてどんなページでも最速で購入できるように予行演習まで行って、万全の状態で行った。そして最高といえる席を何とかとった。そして迎えた当日。会場に入ると、例年通りのようなステージがセットされている。そしていくつかの楽器やイスも一緒にセットされている。のだが、背景の前に置かれており、まるで真ん中だけが空いたバンドのような形になっている。・・・期待が高まる。大体予想ができてきた。そして時間になると、例年通り、オープニングムービーが流れた。そしてそれが終わると、舞台の袖から、奏者がエレクトーンと、シンセサイザーの前に座り、そして、照明が一瞬完全にブラックアウトした。そして次の瞬間、照明がつくと同時に、ミクが現れた。そして、メロディーが流れた。曲は「かがくーのーげんかいをーこえて、あたしーはーきたんだーよ」から始まる、『みっくみっくにしてあげる』だった。そして、いきなり我々は衝撃を受けた。なんと、実物大のミクが、実写で、実際に歌って、笑って、踊っているのである。しかも、コスプレなどではなく、本気で二次元の初音ミクに寄せてである。目の大きさや、髪の毛のバランスやまとまり方、実際に浮いているように見える髪飾りなど、初音ミクそのものが、我々の前で歌いながら踊っていた。おそらくロボットなのだが、ただ踊るだけでなく、その踊りの最中でも、細かい表情の変化や、時々盛り上げるようなしぐさ、そして、本当にライブを楽しんでいるような弾けるような笑顔。それらに会場の人々は完全に魅了されてしまった。かくいう俺もである。というか、本当に手が届きそうな距離、スクリーン越しではなく、実際に手の届きそうなほど近くにいるという実際の体験が、俺を魅了してしまった。そして一曲目が終わった。曲終わった後、ミクが笑顔で手を振ると、同時に奏者も一礼した。そして、ミクはとことこと、ステージの袖に走り去って行ってしまった。次の曲はバンドによる演奏のようだ。そしてさっきと同じように奏者の準備が終わると、一瞬ブラックアウトした。そして次の瞬間、特徴的な音が響いた。少々長めの前奏から始まり、「お別れしたことはもっと、まーえのことだったような」から始まる、『ray』だった。そしてミクは先ほどとは違う意匠のミクで、先ほどのミクはかわいさを残しつつも少々ツリ目の、勝気な印象の受けるミクだった。しかし今度は、先ほどよりも穏やかな印象を受けるミクになっていた。つまりミクは複数人用意されているようだ。そして一番の違いは、先ほどと違い、演奏している人と、まるでタイミングを合わせるかのようにアイコンタクトをとったりと、周りと協調するような歌い方をしていた。先ほどの時は、ミクが主役という印象が強かったが、今回はいつもなら脇役のバンドの方も際立っている。人と、2次元の、二人三脚でひとつの曲を創り上げていた。先ほどの曲は、観客達は驚きと困惑に終始包まれていたが、いまは慣れたようで、会場の熱気も盛り上がってきた。

 そんなこんなで、リアルにミクが来たということに、会場の観客達が慣れて、曲も次々と移り変わって行った。そして最後の曲の今年のマジミラの曲が終わり、ライブ会場を出ると、入ったときにはなかった展示があった。そこには、朝田の技術陣がこのロボットを作るのにどれだけ時間がかかったとか、この踊らせるときの制御用AIなどの説明などが書かれていた。その中には、朝田さんへのQ&Aが書かれていた。このロボットを作るときの苦労だけで無く、どのようなか考えで作り上げたかなど、さまざまなことが書かれていた。その中で1番驚いたのは、ミクの制御AIである。ただ踊らせるだけで無く、ファンサや、奏者との協調の為に、擬似的に感情を再現する仕組みまで取り入れ、さらにはそれを表現するために1番前でも気が付かなかったが、ほおや表情筋などまで多岐にわたる感情表現のための機構を盛りだくさんにしていた。外部の関わったエンジニアによると、「そこまでやるのかと思って、正直着いていけなかった。しかし、ある程度完成して、朝田さんが『よし、一旦動かしてみようか』と言って動かしたとき、感動しました。しかしそれでも朝田さんは『まだまだだな』と言って、メモを取り続け、周りにいるエンジニアに、改善点と、その改善する方針や、そのやり方、考え方を全員に配っていったんです。そのストイックで、妥協なく上を目指している姿に、全員が一致団結した気がしました。そして完成したミクを見たとき、達成感と、誇りになるとてもいい仕事だったと今では思います」


 今年のマジックミライは大成功と言えた。閉幕してすでに2日経ったが、朝田の会社の、こぼれ落ちる水には技術提携の申し入れが相次いでいるという。しかし朝田はこの技術の特許権をほぼ全て公開してしまった。特許だけで巨額の富を得ることができると言われたのだが、インタビューに対しては、「確かに巨額と言える富を得ることはできましょう。しかし、私は誰よりもこの技術に詳しいので、この技術が普及するその過程で私共が介入する方が富を得ることができますし、正直お金に困っている訳ではないので、公開してしまった方が得策であると考えました」という風にコメントした。

 後年になると、初音ミクなどの2次元のキャラを現実に飛び出させるだけに留まらず、義肢や全身義体の基礎技術になったり、ロボットに擬似的な感情を表現するための基礎になったりと、さまざまな場所で使われました。そして朝田の「こぼれ落ちる水」は、その技術の先頭を引っ張る企業として、後世に名を馳せた。

一応、書いておきます・・・

VOCALOIDボーカロイド」および「ボカロ」はヤマハ株式会社の登録商標です。

VOCALOID and VOCALO are trademarks of Yamaha Corporation.


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