もし朝田が身一つで転移したら
一番最初に、書き出しを決めるときに書いたものです。ネタバレは無いです。
「ここは、どこじゃ?」
(ん?なんだこの声?)
自分の声がやけに若い気がする。そして草原の上に寝ている。自分の体をペタペタ触ってみる。自分の体に張りが戻っている。まるでピチピチ10代のお肌だ。いや、野郎の肌をピチピチというのは些か変かもしれないが・・・そして体が軽い。衰え、窶れた肉体年齢●●●を超えたボロボロの体と比べて信じられないほど軽い。このままシャトルラン200回行けそうなほど軽い。心も踊る。そのまま意気揚々と歩き出しそうになる。が、
「待てよ、まずは持ち物確認をしようなぁ」
服は朝田のカゴの第一種制服で、腰には日本刀の彗星(この場合は二振り揃って彗星という名前がついている)、とレイピア(銘はヘルクラム)。そして特殊な不導体を二つの金属で挟んだ刀で、金属に高圧電流を流すことで、斬った時に斬ったもの例えばお肉に、電気が流れてステーキの出来上がりという素敵な…無名の刀と、
懐に入れやすいアサルトライフル一挺と拳銃三挺に拳銃形のスタンガン一挺に
アーミーナイフと催涙弾二個あと各種弾薬防刃チョッキ、止血帯、エマージェンシーバンテージ。
背中のバックパックの中にはバイオマシン
(ナノマシンを作ろうとして苦戦してふと閃いて作ってみたら大成功したやつ。SFでよく出てくるナノマシンは金属で出来ているけどこれは人工的に作られた細菌で、マイクロマシンよりも遥かに高性能。体の中で勝手に増えるし追加で金属を体内に取り込む必要はほぼ無いし、骨折も入れ直してから外から特定の薬剤を注入するとあっという間に治る因みにヒト免疫不全症候群も完治することができる。この功績が認められノーベル賞を受賞してたりする)
と、工具箱、マント等の布類
あと、…何で腕輪はいってんだ…これあったら…まぁ、色々。
あと両方の腕に時計形多目的端末(指揮官用と、パイロット又は整備士用のツータイプ。)各種一個と神時、
そしてなぜかピックとザイル600mくらい(登山用の杭と紐)とパラシュートコード。
さぁ。これで持ち物確認終了だ。そしたら次は……メシだ!!転移前はちょうど昼時だったので、腹が減ってしょうがない。とにかく、耳を澄ませて…風切り音、木が擦れる音、水が流れる音、鳥のさえずり、草が擦れる音、虫の声、……足音。四足と推定。…二足歩行と思われる音。…………これ以上は無理だな。ううーん少なくとも10キロ圏内には集落は居ないなぁ。まぁそれより、
左の方を見ると、不幸な蛇が一匹。噛みつこうとしてきたのでそいつにアーミーナイフをすばやく首元に投擲。
ドスッと音がして、蛇の首が落ちた。蛇にスキャナーを当てて、毒の有無を確認する。・・・残念ながら毒蛇であったようだ。
とにかく人里を目指すしかないか。だけど水がそもそもない。多次元ポーチに入っている水は飲用ではないし。タンパク質結晶は食べられなくはないけど・・・あの形にしないといけないし・・・あれを食いたいと思うやつは完全に頭が逝ってる。・・・触手を食べたくはないよなー
とある門番
俺はこの街の門番。ここはメリル領の領都。そのため、入都検問は非常に厳しく行う。といっても怪しい奴がいたら持ち物の検査をするだけだが。そして今非常に困っている。目の前の若者の対処に困っている。見たことのない意匠の衣服をまとい、しかし控えめに見てもその辺の旅人には見えず、非常に威厳のある佇まいであり、見た目の持ち物はしっかりと装飾された剣と曲刀を持っており、前から見た印象は貴族、しかし後ろから見ると背負っているバックパックがその印象をぶち壊す。しかも中身はまるで細工師のような道具や工具、さらには液体が入った謎の物体や宝石のような何か、使い方がわからないL字型の謎の道具もある。仕方がないので上の方に連絡をとり、どうするか責任を転嫁するしかない。見た目は完全にお貴族さまなのだが、所属の国や立場がはっきりしておらず、しかし身分や所属を表すようなものがないわけではないが、それが一種類しかなく、しかも少なくとも国内に存在するものではないため、入れていいのか判断しかねるというところである。そしてその紋章の中で、1番はっきりしているのは、制帽?についている紋章なのだが、真ん中に鳥籠に入った鳥が一羽おり、その左右に男が持っていた曲刀や細剣が浮かんでおり、さらにその周りを植物が覆っているという構造なのだが、その中の細剣と曲刀には見る角度によって変わる模様が掘り込まれており、さらにカゴの下にある湾曲した文字盤のような部分にも、文字のようなものが、これまた見る角度によって文字が変わるような細工がなされており、非常に繊細で緻密な金属加工がなされており、とても人が作れるものとは思えない代物を紋章としている。また、持ち物も危険物なのかどうかも判断できないため、やはり専門の人を呼ぶしかない。しかし本当にお貴族の方だった場合、こんなところで足止めをして後々しっぺ返しをされないか不安であるというのもある。しかし身分証を持たない人を通すわけにはいかない。