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悪役令嬢モノ書きさん向けに言い訳を用意したので、書いてるけど矛盾になやんでるかた、書いたことないけど書いてみたいかたも読んでみてください




 素朴な疑問があるのです。




 『目が覚めたら乙女ゲーの悪役令嬢に転生していた。

 ヒロインも転生者だったら自分の立場が危ういから逃げよう。


 ゲーム知識で攻略対象にきらわれるように動いたのに、ゲームとは反応が違って何故かなかよくなっちゃった。

 主人公も転生者みたいだけど攻略対象に好かれようとしてことごとく失敗……そりゃゲームみたいにうまくいかないよね……わたしもそうだったもん……』


 みたいな話は納得できます。「ゲームの世界っぽいけどそうじゃなかった」ということですよね。このあと転生者同士で対立しようがなかよくなろうが結局道が交わらなかろうが、設定として矛盾がないという点でなにも気になりません。

 しかし、下記のようなものはいまいち納得できません。


 『目が覚めたら乙女ゲーの悪役令嬢に転生していた。

 ヒロインも転生者だったら自分の立場が危ういから、今のうちに攻略対象を味方につけよう。


 ゲーム知識で攻略対象に好かれることに成功。ヒロインは転生者っぽいけど、あとから来たからもうこわくない。攻略対象はわたしの味方になってる。


 ヒロインがゲームのストーリーと違うと騒ぎ出した。これはゲームじゃないのよ!』


 これは大いなる矛盾では??????

 ゲーム知識で攻略対象と親しくなって味方につけたのに、あとから来たヒロインがそれをしようとすると「ゲームじゃない」って、おかしくないですか。都合がいいというか。


 というわけで、いいわけを用意したので、悪役令嬢モノ書きさんでこの矛盾になやんでいるかた、書きたいけど矛盾があるように思えて書けていないかたは、是非ご一読を。




 ※以下、ややこしくないように、攻略対象対プレイヤーキャラクター(主人公及びライバル)の関係性をあらわす数値は「好感度」で統一します(作品によって「親愛度」「親密度」「愛情度」などと表現が多岐にわたる為)。

 ライバルは「悪役令嬢」、主人公は「ヒロイン」と読みかえればわかりやすいかもしれません。


 実際にある近いシステム、悪役令嬢モノに落とし込むならこうすればいいのではの例、の順で書いていきます。











 1.「攻略対象と主人公(orライバル)の好感度がある一定ライン以上になったら、もう片方は並大抵の頑張りでは動かせない」


 要するに、「先に好きにさせたらほかのひとは見ない」システムですね。なろう悪役令嬢モノに親和性が高いのではないかと思います。


 これに近い実際にあるゲームがアンジェリーク。九人+αの攻略対象それぞれにMAXが200の好感度があるのですが、会話やお仕事、デート、プレゼント、イベントなどで地道にあげていきます。好感度の最低は0、最高は200です。


 このゲームにおいてややこしいのが、攻略対象同士の関係性。

 Aさんと親しくしていて好感度をどんどんあげていても、Aさんと仲が悪いBさんともなかよくしていた為に、ちょっと放っておいたら好感度が減少している、なんてことも……(その為に、コストはかかりますが「○○さんとなかよくして!」とお願いすることもできます)。

 また、これといった「理由」がなくとも、好感度は日数の経過ごとに自然減少していきます。


 ですがこの好感度には、「段階」というものが存在します。攻略対象ごとに段階を移行する数値に差異はあるものの、MAXの第六段階までを上げると、自然減少の率ががくっと低くなるのです。

 その状態になれば少しくらいなら放っておいても大丈夫ですし、段階が下がったかな? と思ったらお話に行ったり、デートや贈りものをすればすぐにMAX段階まで戻せます。ライバルがこの攻略対象に猛アタックしても、切り崩される心配はそこまでではありません。

 これは、主人公の立場でも同じことがいえます。ライバルに先手を打たれ、確保されたら、好感度で競り負け続ける厳しい状況になります。このゲームにおいて好感度は、行動コストを得る為の試験でものをいうかもしれない要素。ゆるがせにはできません。


 悪役令嬢モノに落とし込むなら、「好感度MAXになったらさがらない」システムである、としてしまうのが楽かもしれません。好感度MAXになった状態で特定のイベントをこなす、特定の贈りものをする、それによって「好感度がロックされる」という設定です。




 2.「攻略対象の好きな相手が決まったら、ふりむいてくれない」

 3.「攻略対象とライバルがイベントを起こしたら、主人公はもう手を出せず、ライバルにその攻略対象を確保された状態になる」


 これらもアンジェリークに近いですが、実際の乙女ゲームではあまり見かけない情況。ただし条件を充たせば、似たような状態になることはありえます。


 「主人公がその攻略対象とのイベントを起こせない状態になっている」が条件です。


 多くの乙女ゲームは、攻略対象と恋愛関係になるのが最終目標です。ゲームやキャラクターごとに違いはありますが、最後には「告白イベント」、もしくはエンディング後に相手から思いを告げられるシーンがあることが多い。

 ということは、その前段階で失敗していたら、それは起こらないのです。


 アンジェリーク、遙かなる時空の中で、金色のコルダ、アルバレアの乙女など多くのゲームで陥る可能性のある、イベントで選択肢に失敗し、攻略対象から恋愛の相手として見られなくなる状態です。

 ただし、この場合でも好感度自体をあげることはできます。

 恋愛エンディングを迎えたくない、恋愛イベントに日数を費やしたくないプレイヤーが、序盤でイベントを封じる手段として、わざとつかうことがあるテクニックのひとつでもあるのです。


 実際のシステムをそのまま悪役令嬢モノに落とし込むとすれば、「主人公がイベントを起こしたがすべて失敗した」ならありでしょう。

 それが「攻略対象がゲームとは違う性格や志向だった為」なら、「ここはゲームの世界ではない」というせりふにも違和感が少なくなります。

 「わざと失敗して攻略対象から逃げていった主人公」である、として、主人公とライバルの友情モノも書けるかもしれません。




 4.「特定条件を充たしていないとそもそも攻略できない」


 こちらも実際の乙女ゲームではあまり見ない情況。「進行情況によってイベントがかわる」ことはありますが……「特定条件を充たさないと出てこない人物」「別のキャラを攻略してイベントを起こさないと攻略できない人物」「一度クリアしておかないと攻略できない人物」というのが近いでしょうか。


 前ふたつは、なやまされたことがあります。

 主人公のパラメータや成績、物語の進行度、起こしているイベントの種類や数で攻略できる・できないがかわる訳ですね。こういった攻略対象は、ひと作品にひとり居るか居ないか、或いは攻略対象十人に一人程度、と考えると実際に近いかと思います。なかには、そういった条件を整えないと誰も攻略できない、というような作品もあるらしいですが。


 「攻略条件を充たすのが難しい攻略対象ばかりというのが売りのゲーム」なら、違和感は少ないでしょう。




 後者に関してはアルバレアの乙女が思い出されますが、その世界に転生した状態で「一度クリアする」という条件をどうパスするのか、うまいいいわけはぱっとは出てきません。


 悪役令嬢モノに落とし込むとすれば、「あまりにも出現条件が厳しい為に、よほどやりこんでいるプレイヤーでないと登場条件を知らない攻略対象である」が明快かもしれません。主人公は知らなかったが、ライバルは知っていた。これで解決ですよね。






 或いはアンジェリーク2のように、「主人公の性格によってイベントがかわる」が近いのでしょうか。

 攻略できない訳ではないですが、最初の選択肢によって決定する主人公の性格によって、イベント内容がかわります。お相手の好みの性格であれば、特別なイベントになるのです。


 これは簡単ですね。「ゲームではイベントがかわるだけだったが、実際には好みの性格でないと攻略すらできなかった」。これです。




 5.「そもそもルート分岐があり、特定の段階で攻略相手をひとりに絞らないといけない」


 あるあるです。ぱっとでてくるのは、遙かなる時空の中で3。人生ではじめてプレイした乙女ゲーだったのですが、不意にルート分岐して訳もわからずエンディングまでつっぱしった思い出が……。


 悪役令嬢モノに落とし込むならば、あれもこれもとよくばって全員にいい顔をした為に、反対に特定の攻略対象のルートにはいれていない主人公、ならばいけるかもしれません。

 しかしそうなると、ライバルもうまく立ち回らないと厳しそうです。

 前々項と同じく「主人公が失敗している」が結局は一番わかりやすく、書きやすいでしょうか。

 八方美人的な主人公に辟易した攻略対象達が、ライバルに流れる。

 しかしこうなると、愛情的なものではなく友情的なものになりそうです。悪役令嬢モノで恋愛が主題ではなく、友情や領地経営を描きたいのなら、この設定がいいかもしれません。




 6.「主人公のパラメータが高くないと攻略できない」


 意外かもしれませんが、実際の乙女ゲームではあまり見かけないもの。

 実際によくあるのは、「攻略対象ごとの条件を充たすパラメータにしないと起こらないイベントがある」ですね。

 金色のコルダでは、演奏の技術と表現力のパラメータ、曲の完成度、相手との好感度とライバル度、BP、演奏会での成績などがあり、それらの組み合わせで起こるイベントがかわります。

 ある程度ライバルと認識されていないと起こらないイベントもあれば、まったくライバル視されていないと起こらないイベントも。また、「低い技術を磨くように叱責されるイベント」「技術の高さに驚かれるイベント」「指導してもらうイベント」「ライバル宣言されるイベント」などなど、パラメータごとに起こるイベントが細かく違います。


 悪役令嬢モノにするなら、「特定のパラメータにしないと攻略できない」が簡潔でしょうか。




 また、イベントをきっちりこなしていても「エンディング直前のパラメータが条件を充たすものではない為に失敗する」というアルバレアの乙女やマイネリーベのような例もあります。パラメータが高ければなんでもいいかといえば、そうではないのです。


 「攻略はできるが、主人公はパラメータの調整に失敗していて、最後の最後で落としきれていなかった」これならどうでしょうか。











 これらのいいわけをつかえば、「攻略対象がゲームの通りに好きになってくれるし、あとからヒロインがやってきてももう手遅れ」な悪役令嬢モノの矛盾をなくすことができるかも?






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― 新着の感想 ―
[一言] 私の知ってるパターンで、前世ヒロインはこのゲームを他人にプレイさせていたから攻略知識が足りないというのがありました。どの作品か特定されない程度にぼかしますと、 前世ヒロイン「わし、これから…
[一言] 単純に、登場人物たちをどう見ているかの違いではないでしょうか。 主人公(悪役令嬢)とヒロインが共に転生者という作品の場合、主人公は「ゲーム知識」があるとはいえ「ゲーム世界とは違う」と考えて…
[良い点] 「悪役令嬢物」が一つのジャンルになっちゃってるので、そのへん雑な作品もまぁまぁあるよね…と、あるある!あるある!となりながら拝見しました。 ところで、私は転生物全般があまり好きではなくて、…
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