プロローグ
どうも皆さん、久しぶりです。
今日から新シリーズ、「空の冒険者」、開幕です。
実はこの物語、3月くらいから構想を練りつつ、ちょっとずつ書き進めていました。
「ねえ母さん、あの空の向こうには何があるの?」
ある時、星が瞬く夜空を指さしながら、小さな男の子が隣の母に尋ねた。
母は少し困ったような顔をしながらも答えた。
「それはね、レン。あの向こうには大きな大きなドームがあってね、そこにお星様がたくさんあるのよ。それがぐるぐる回って、昼と夜を分けているの」
この世界の人々は自分たちが暮らす大地以外の星を知らない。技術もまだまだ発展途上の段階であり、
生活やその他の大部分を「魔術」に頼っている。そのため、このような迷信じみたことが普通に信じられているのだ。だが、レンと呼ばれたその少年はさらに母に尋ねた。
「へえー、そうなんだ。じゃあ、そのドームってのは誰が回しているの?」
「それは・・・、分からないわ。神様が回しているのかな」
「神様?神様ってどんな存在なの?」
立て続けの質問に母は流石に答えに詰まったようだった。
しばらく何かを考え込む様子だったが、絞り出した答えは答えになっているようなものでもなかった。
「神様のことをそのように詮索するものではありません。神様は私達が想像もできない存在なのよ」
「ふうーん。そういうものなの」
レンはひとまずうなずいたが、あまり納得はしていない。
幼いレン、本名スイレンにとって神という漠然としすぎた存在は理解しにくいものがあったのかもしれないが、ただドームで囲われたようなものではなく、あの星空の向こうになにかがある。スイレンは、そう信じていた。
***
気づけばスイレンは真っ暗な空間にいた。いや、真っ暗とも違う。周りには様々な大きさ、強さの光が瞬いている。よく夜の空に光る星々であることは間違いない。
スイレンはその光景に見とれた。
そして、その星々に手を伸ばそうとした。
しかし、そこでスイレンは現実に引き戻された。そう。今の光景は夢の中での出来事だったのだ。
本来夢は自分の記憶を整理する過程で見るものであり、スイレンの記憶には宇宙に浮かぶ記憶など存在しないし、無限の星空もまた然りだ。
だが、スイレンにとってそのようなことはどうでもよかった。
ただ、星空を見たという事実だけで、彼には十分だった。
「いつか、空を自由に飛び回って、この世界中を探検するんだ!」
幼きスイレンは、そう決意した。
幼いスイレンが見るのは満天の星空。
では、成長した彼が見据えるのは何なのでしょうか。彼は、その目に何を宿すのでしょうか。
彼やその大切な人たちがどのように成長していくのか、とくとご覧あれ!