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龍族

読んでいただきありがとうございます!

 

 龍族の里は魔王城の北側に位置する山の頂上にある。

 結局魔王城に来たのはスラメのみで、わざわざ出向いて仲間を集めることになった。

 そしてフレンの助言通り、龍族の里まで来ているのだが…


 俺たちの目の前で複数の龍族が槍を突き出し入口を塞いでいる。

 全く歓迎されていないみたいだ。


「フレン…龍族は力を示せば味方になってくれるんじゃなかったのか?」


「レノン様、まだ力見せてないからですよ…その前に殺されそうですけど、ははっ」


 笑い事ではない。

 そもそもこいつら話を聞く気すらないじゃないか。

 訪ねてきた魔王に対していきなり槍を差し向けるとか、常識ある種族とは思えないのだが。


「フレン…貴様魔王軍を裏切るつもりか?」


とフレンに声がかけられた。

 声の方を振り返ると真っ赤な槍を携えた、いかにもリーダー格といった龍族が槍を向けていた龍族の間から出てきた。

 彼が魔王軍幹部のドゴラなのだろう。


「裏切る?違うよドゴラ。この方が新たな魔王様だよ。私は新たな魔王様に従っているだけ。むしろそんなお方に向かって槍を向けてるドゴラたちこそ魔王軍に仇をなそうとしてるんじゃないの?」


 フレンがそう言うと、ドゴラは俺の方を見てため息をついた。

 その意図は全くわからないが、明らかにバカにしてるなこいつ。


「確かに頭部右側に生えている角は魔王様のものだ。しかし、それだけではそいつを魔王と認める根拠にはならん。さらに言えば、魔王様の娘から魔王を名乗る偽物が現れたとの使いが来たからな……我ら龍族はこやつに従うつもりはない。分かったら帰れ。」


 そう言って部下たちとともに俺に対して槍を向けた。しかしこいつらフレンが口にした俺の名前を聞いたのに元勇者と気づいていないのだろうか。もしそうであれば都合が良いが。


「帰らせたければ力づくでかかってくれば?だけど魔王様に反逆するつもりなら…龍族は滅ぶよ?」


「ぬかせ!」


 ドゴラは槍を俺の喉元に向けて突き出した。

 赤い槍は乱れることなく確実に俺の首を取るために突き進んでくる。だが、


 バシッ!


 俺は突き出された槍の刃を右手の人差し指と中指の2本で掴んだ。


「なっ…!我の槍を二本の指で掴んだだと!?」


 あまりの光景にドゴラは目を丸くして驚いていた。

 おそらくは自分の槍捌き、力に自信があったのだろう。


「筋は悪くない。早いし狙いも正確だ。だがそれだけだ。その程度だと…ふんっ!」


 俺はドゴラが持つ槍を引っぱる。

 すると槍を握っていたドゴラは態勢を崩し俺の方に引っ張られた。その腹部に蹴りを入れる。


「ガハッ……!」


 ドゴラは吹っ飛び里を囲っている壁に激突し落下した。

 2メートルをこえる体がアーチを描くように吹っ飛ぶのはなかなかに面白い光景だ。


「「ドゴラ様!!」」


 ドゴラの部下達は慌てて駆け寄る。全員が全員、ドゴラが吹き飛ばされる姿など想像していないかのような驚いた顔をしている。


「まさかとは思うが龍族とはその程度か?この程度なら俺の作る魔王軍には必要ない。この地を俺に渡し、即刻魔王領から立ち去るといい」


「なめ…る…なっ!」


 膝をつき立ち上がる。

 少し顔つきが変わったように見える。

 おそらく俺を偽物と踏んで、力を抜いていたのだろうか。


「ドゴラ様!大丈夫ですか!?」


「あぁ、少し油断していただけだ。問題ない」


「おいおいそう言いながらフラフラだな。それじゃまともに戦えないだろう?諦めて即刻立ち去るんだな!」


「だまれ!お主が何者かしらぬが我らの里は龍族の誇りにかけて我が守る!」


『龍化!!』


 ドゴラがそう叫ぶと人型だったドゴラの体が巨大化し、龍の姿へと変化した。


『ギィヤアアアァァァァ!!!』


 力強い咆哮。


「はっ!いいじゃないか!最初からその状態でかかってこい!」


『どこまでもなめた野郎だ…だがそのナメくさった態度後悔しても遅いぞ……!』


 ドラゴは口元に炎を発生させ、俺に向けて放出する。


「その程度か!!」


 俺は右手を突き出し炎を真っ二つに割る。

 熱さは感じだが、それも大したものではない。

 しかし真っ二つに割られ、背後で地面にぶつかった炎は地面を真っ黒に焦がしていた。


『我が炎を拳で受けるだと!?ありえん…ありえんぞ!!』


 そう言いながら何度も炎を飛ばしてくるが全て拳で相殺する。


「ワンパターンだよな…正直飽きた」


『貴様!!舐めおって!!もう容赦はせん!』


 ドゴラの口の炎の色が変わった。


『食らえ!!』


 炎が放たれた。俺は拳を突き出した。

 ただ炎の色が変わっただけで今までと全く何も変わらない攻撃だったからだ。

 しかしそれを見たドゴラがニヤッと笑った。


「むっ」


「魔王様!!」


 レノンが拳を突き出した格好で凍ってしまった。


『ガハハッ!我は龍族でも珍しい2つの属性を持つツインドラゴンなのだよ!熱炎しか使えぬと思うたか!!我の氷はそう簡単には溶けぬ。それこそ平地を一瞬で焼け野原にするほどの炎がない限りはな!!これでしまいだ。お前は我に踏まれ粉々になるのだ』


 ドゴラが前足を上げ、レノンを踏み潰すため足を下ろす。

 ガキッ!という音が響く。


『ぬっ!?なぜ潰れぬのだ!!』


「まぁ、悪くはなかったよ。ついつい凍らされてしまったからな」

 

 そういえば、魔王軍と戦った時に、氷と炎を使う龍みたいなのがいた記憶がある。あれはフレン以外のパーティメンバーが凍りついて足を引っ張ったおかげで苦戦した戦いだった。

 そうか、その時の相手だったのか。てか、倒したと思っていたのに生きていたのか。


 ドゴラの踏み潰そうとした足を片手で受け止めているレノンが立っている。

 いつのまにか氷は溶けていた。

 ドゴラが足に力を入れて踏み潰そうとするが、ビクともしない。


『なんなのだ!貴様は!?なぜ我の氷がいとも簡単に破れるのだ!!はっ、まさか本当に魔王とでも言うのか!?』


「だから言ってんだろ。俺が新たな魔王だってな!」


 足元にいた俺はドゴラの背後に瞬時に移動し、尻尾を掴んで勢いよく回転をつけ振り回し、ドゴラを投げ飛ばした。


 人サイズの俺が龍を振り回す光景は周りで見ていた龍族たちに強い衝撃を与えたらしい。

 全員口を開けてポカンとしている。


 ドゴラは森の中へと飛んでいき、木をなぎ倒しながら地面を滑っていった。

 そしてある程度行ったところで停止し、目を回していた。


「さて、龍族よ。お前らの族長は倒したぞ?次にやられたい奴はどいつだ!?俺はいくらでも相手になってやる!!1人だろうが2人だろうが、なんなら全員でもいい!!さっさとかかってこい!!」


 俺が叫ぶと目の前の龍族たちは槍を捨て、膝をつき


「「「無礼をお許しください!!魔王様!!」」」


 と額を地面に擦り付け始めた。

 それはもう見事なまでの土下座だった。


「流石です!!魔王様!!」


 フレンが俺に飛びついてきた。


 ◇◆◇◆


「さて、ドゴラよ。俺に逆らった罰はどうする?」


 正直別に罰を与えるつもりはない。

 俺はドゴラを仲間にするためにここにきたのだから。

 しかしフレン曰く、敗者に対して罰を与えるのは魔王の仕事とのことだったので一応聞いただけだ。


「……我は負けた。敗者に下される罰だ。甘んじて受けよう。……しかし逆らって主を攻撃したのは我だけだ。だから他の龍族は見逃してくれ。頼む」


 人型サイズにもどったドゴラは俺の前で頭を下げる。


「だが貴様らの同胞は俺に槍を向けたが?」


「それは……」


 ドゴラが口ごもる。

 槍を向けるのは反逆の意思と捉えられてもおかしくない。


「アニキを罰するなら俺たちも罰してくれ!」

「そうです!俺たちも槍を向けました!」

「お願いします!!」


「お前ら……」


「「「俺たちはドゴラ様と一連托生だぜ!」」」


 ドゴラが目を腕で覆う。

 俺はなんていい部下を持ったのだろうと。


「あー、いい話にしようとしてるが、それとこれとは話が別だからな?」


「「「「えっ!?」」」」


 龍族の誰もが驚きの顔をしている。

 こうすれば許してもらえると思ったのだろうか。

 というかもしかして今までの魔王ってこういうノリに弱かったのか?いい話風にして俺の同情を買おうなんて甘い。甘すぎる。


「流石魔王様!空気を読まない!!」


 なんてフレンがいうが別にそういうわけではない。


「もちろん全員に罰は受けてもらう。内容は決めた」


 俺はドゴラたちの方を向き、


「では罰を言い渡す。ドゴラ…いや龍族よ。俺に仕え、俺を支えよ。馬車馬の如くこき使ってやるから覚悟しておけ!」


「「はっ!魔王様の仰せの通りに!!」」


 俺は龍族を味方につけた。


 レノン派:スライム族、龍族



 ◇◆◇◆



「そういえば、フレンって種族は?」


 魔王になって1週間が経ったころ、気になったので聞いてみた。


「私ですか?サキュバス族ですね」


 見た目通りだった。予想通り。


「誘惑とか使うのか?」


「使いますけど……なんならやってみましょうか?」


「………やってみてくれ」


ちょっとした好奇心だが気になるのでやってもらうことにした。


「わかりました!」


 フレンが魔法陣を展開した。


「レノン様……」


 フレンが艶っぽい声で俺の名を呼ぶ。

 俺の腕に抱きつき、決して大きくはないが、形のいい胸を当ててくる。

 すべすべの白い肌。

 耳にかかる吐息。


 あぁ、なんかフレンが色っぽく見え……見えて………こない……?


「あれ?かかっていない?」


「それはそうですよ、レノン様。レノン様に並みの魔法が効くわけないじゃないですか!」


「そうか……ん?並み?」


「はい、並みです。私が本気で誘惑使ったら魔王城…大変なことになりますよ?少なくともこの部屋が人で埋め尽くされますね」


「……それは困るな…」



「はい。ですから本気は使いません。私が本気を出せばレノン様も簡単に籠絡できますけどね」


「……はっ!ぬかせ。そう簡単には落ちねーよ」


「言いましたね?」


「おう、男に二言はねぇよ」


「分かりました。では…」


 フレンが一瞬だけ強い魔力を放出した。


 ドキッ!!


 な、なんだ…?フレンが魅力的に見える…今すぐフレンを抱きしめたい…!


 気づけば座っていた椅子から立ち上がり、フレンの方に歩いていた。


「はっ!!俺は何を!?」


「あ、目覚めましたか?ね、すごいでしょ?」


「ああ、すごいな…すごいのは分かったから……しばらくは使わないでくれな」


 じゃないと…なにかがおさまらなくなりそうだ…


 その日、魔王領の花街はかつてないほどの売り上げだったとかなんとか…





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