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スラメからの通信

 

 ワンズとの戦いの後、人狼族と吸血鬼族の生き残りが俺の前に集合した。

 そして向かい合い睨み合っている。


「ファイっ!!!」


「いや、フレン。なに戦わせようとしてるんだ」


「すいません、なんかつい…」


 まぁ確かにそう言いたくなる気持ちも分かる。

 まだこいつら絶対ヤル気満々だもんな。


「……たくてめぇらいつまでも睨み合ってんじゃねぇよ。もう戦いは終わりだ。大人しくしてろ」


「ワンズの言う通りだ。私たちは共に新たな魔王様の配下となるのだ。争う必要はもうない」


 流石は族長の2人といったところだろうか。

 現状を受け止めて仲間たちを嗜めている。

 リーダーの素質というのは自然と表に出るものなのだろうな。


「それはそれとして……ワンズくん?死んだ仲間たちの分どう贖ってもらおうかな?」


「あ?てめぇらが弱いから死んだんだろ?贖うもなにもねぇだろ、バカか?」


「あ?」


「お?」


 目の前でメンチを切り始める2人。

 あー、前言撤回。

 こいつらリーダーの素質とかないわ。


「やめないか2人とも!魔王様の前だぞ!!」


 ドゴラが最もらしいことを言った。

 ……あ、起きたのねドゴラ。


「「うるさい!雑魚は引っ込んでろ!!」」


 こらこらそんなことを言うもんじゃない。

 ほらみろドゴラ拗ねたじゃないか。


「……雑魚って……我も十二翼の1人なのに……」


 ……なんか可哀想になってきた。

 とりあえず俺はドゴラの肩に手を置き、気にするなと声をかけた。


「魔王様……」


 お前が涙目でこっち見ても可愛くねぇからな。

 むしろキモいからな。


 その間にもワンズとキツケの睨み合いが続いている。

 それに触発されたのか背後の仲間たちも再び睨み合いを始めた。

 そろそろ止めるか。


「犬っころ、蝙蝠!お前らいい加減にしろ!」


 そう言っていつもよりも2倍増して畏怖の念をぶつけてみた。

 するとワンズは子犬のように小さく縮こまり、キツケは尻餅をついてその場に倒れた。

 ……ドゴラ、お前関係ないのに気絶するなよ。

 あとフレン変な声を上げるのをやめろ。


「「すみませんでした……魔王様……」」


 しおらしくなった一同は俺の前で跪き、頭を下げた。

 まさにこれぞ魔王という貫禄ってところだな。


「とりあえずお前ら今日から戦うことは一切禁止な。些細な喧嘩だろうがなんだろうが俺が見かけたもしくは小耳に挟んだ時点で埋めるから」


「な…そんなの無理だ!俺たちには長年の因縁がある。戦うなと言われても目があった時点で……!!」


「そうです!こんな戦うしか能がない犬たちと仲良くしろってのが無理なんですよ!」


「んだと!?」


「やるか!?」


「だから……喧嘩するなっ!!」


 2人の頭を思いっきりグーで殴った。

 するとゴボッという音と共にワンズとキツケは首まで地面に埋まった。

 その頭には大きなコブができている。

 我ながら見事な一撃だ。


「あー、魔王様?少しやり過ぎだったかもしれませんね……」


「は?どういう……ってうおお!!」


 ワンズとキツケは白目になり口からよだれが垂れる。

 完全にやり過ぎだ。

 これ死んでない?気絶だよね?


 後ろで睨み合っていた他の連中も族長の姿を見てしおらしくなっている

 畏怖による支配、いわゆる独裁と同じ。

 まぁ、魔王軍なんてそんなもんだろうよ。

 善政をひく魔王がいるならばそれはもう魔王と呼ばれる理由が分からない。


「おーい早く起きろー」


 俺はワンズの顔をペチペチと軽く平手でビンタし続ける。


「あ、それ面白そうですね!」


 そう言ってフレンは横にしゃがんでキツケの顔を同じようにペチペチと叩く。


 ペチペチペチペチ……


 そうリズムよく……


 ペチペチペチペチペチペチ


「……あの魔王様?」


「ん?なんだワンズ?」


 ペチペチペチペチペチペチ……


「もう起きたのでやめて貰ってもいいですか?」


 ペチペチペチペチ


「何をだ?」


 ペチペチペチペチ…


「いや…!だから叩くのをやめてください!」


 ペチペチペチペチ


「ハハハッ!」


 ペチペチペチペチ


「「やめろー!!」」


 ワンズとキツケが叫んだところで俺はビンタをやめた。

 そして2人を地面から引っこ抜き、並ばせる。


「とまあ、こんな風に喧嘩したら覚悟しておけよ」


「「はい……」」


「分かったならいい。それでこれからのことなんだが……『ピピピ……!!』」


 レノンが話そうとした途端、警報音のようなものが鳴り始めた。

 これは城内のスラメからの通信だ。

 何か問題が発生すればいち早く俺に伝えられるように通信魔法をスラメに授けていた。

 つまりは問題はっさあということだ。


「どうしたスラメ?」


『大変だよ魔王様!ゴズとその一味が結界を破ろうとしてるよ!』


「あの結界に気づいたか…分かったすぐに戻る」


『お願いするね。あ、そう妹ちゃんは安全なところに隠しておいたから安心してね!」


 持つべきものはできるスライムか。


「助かるぞスラメ」


 そう言って俺は通信を切り、魔王城へと向かう転移門を開く。


「お前ら戻るぞ!全員ついてこい!!」


「「はいっ!(おうっ!)」」


 魔王一同は転移門をくぐり、魔王城へと急いだ。




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