プロローグ〜荒れ果てた国の中心部にて〜
改変作業中で、話のつながりがおかしいところがあるかもです。ご容赦ください。
若干炎が燻る市街地を戦士風の2人が歩く。
「これは……酷いもんだな。」
顎に無精髭を生やした中年の戦士が言う。
「ええ。僕たちがいながらこれほどの被害を出してしまうとは…」
「しょうがねぇさ。この国の中心部を守る兵士は腰抜けばかりで国民を守る以前に逃亡してやがるし、冒険者も国王のせいで散り散りになって碌な奴がいなかったんだから。もし俺たちがここにいなかったらと考えると、その方がゾッとするぜ」
「確かにそうですね…」
そう言って頷いた青年風の戦士は辺りを見渡す。彼の視界には大量のゴブリンの死骸と一部がそれになった人だったであろうものの死体が広がっている。
今までにも魔物に襲われた国や村の救援に向かったことはあるが、ここまで酷い光景は初めてだ。
「それにしても…奇妙な光景だよな」
そう言いながら中年戦士が見つめるのは、中心地に聳え立つ真っ白い壁とその下に他よりも顕著に積み上がっている死骸の山。城を囲むように作られたその壁にへばりつくように積み重なっているそれは、まるで何かの意思を持ってそこに向かっているかのようであった。
「ゴブリンは上位個体以外意思を持たない生き物なはず。それが何か統一された意思を持って城へと向かっている。もしかするとゴブリンは意思を持たないという我々の認識が間違っていたんでしょうか…?」
青年の言葉に中年はため息をつきながら、
「ゴブリンってのは、一個体であるときはただ人間を襲うという本能に任せた行動を行う。しかし集団である場合は必ず上位ゴブリンが存在し、その上位種の指示に従って行動をする。それは知っているだろう?」
青年はもちろんだと頷く。
「今回の市街地強襲で上位種を見たと言う報告はなかった。つまりはこのゴブリン達はそれぞれ一個体だったと判断することができる。しかし指示を受けたかのように行動している。ここから導かれるのは、ゴブリンに指示を出せる上位種以外の第三者がいたと言うことだ。そして俺たちはそれが何か分かっている」
「あの紫色の光……魔族の出現ですね」
青年がそう言うと、中年は首を横に振り、
「……正確に言えば魔族の誕生だろう。あの舞台の上の出来事は俺たちには遠くてあまり見えていなかったが、国王が持った何かが光の発生源で、それに呼応するかのように奴は突如として魔族に姿を変えたのだから」
「と言うことはやはり……」
中年は頷き、
「ああ、あれは間違いなく勇者レノンだ」
そう言った。
本編は次の話からです。よろしくお願いします!