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07.BANG!(バン)

 校内に鐘の音が響く。それと同時に先生が教室へ入ってきて、点呼をとった後にホールに移動した。


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 つまらない入学式を終えた明日翔はその後、放課となった。2、3年は初日からいきなり授業があるというから驚いた。持ち物を整理していると、


「あの! 花束さん放課後空いてますか?」


「うん、暇だけど……」


「折角ですし、アビリティの見せ合いっこでもしませんか?」


 栞凛は笑顔で提案した。この子、見た目はお淑やかなのに実は結構アクティブなのか?


「私はいいけど……どこで?」


「それなら、練習場を使いましょう!」


 そう、この十環女子高等学校。なんと能力者がアビリティを練習できるように練習場まで用意されているのだ。大広間から一旦外に出て、左に曲がり少し歩くと校舎の外れに黒い大きな建物があった。中に入ると既に何人かの新入生が来ていた。周りを見渡すと、鉄パイプや木箱、コンクリートブロック等が置いてあり、水属性向けにプールまである。多分入っちゃダメなやつだけど。


「凄い……こんなのが学校にあるんだ」


 明日翔が感心していると、栞凛は入り口近くの棚から金属の弾を取り出してきた。細かいものは棚に入っているみたいだ。


「それじゃあ、見てて下さいね? これが私のアビリティです!」


 栞凛ら弾を人差し指と中指の間に挟んだ。親指は立てたまま、薬指と小指を折り畳む。その手の形はまるで銃だった。


BANGバン!」


 その声と同時に、栞凛の手から放たれた弾丸は直線を描き、コンクリートに突き刺さる。


「私のアビリティ、圧力射撃プレッシャーシューティングというらしいです」


「射撃って…………これ拳銃と同じようなものじゃない」


 事実、コンクリートに当たって弾が砕け散っている。


「これ、弾の少し後ろを一瞬だけ高圧にすることで、気圧差によって弾が飛ぶんですよ。ほら、気圧が高いところから低いところに風が吹くじゃないですか。その原理ですよ」


「ピンポイントで圧力をかけて、一瞬だけ気圧差を大きくしてるってこと?」


「はい。というよりも、私のは1点だけを極端に高圧にできるんです。全体的に圧力をかけられる人はまた違ったアビリティなんですよ。正直、これくらいしか使い道がないので…………花束さんのアビリティも見せて頂けますか?」


「あ、うん。えーとそれじゃあ…………これでいいや」


 明日翔は足元に落ちていたコンクリートの破片を浮かせてみせた。


「え、花束さんって……重力使いだったんですか!?」


 栞凛は


「そんなに驚くことなの?」


 同じアビリティを持つ人は結構いるものなのだ。ミイは別として。


「いや、重力使いって近年は殆ど例が無いんですよ。一昔前、ある重力使いが様々な事件を解決していたらしいのですが、現在は消息不明になっています。アビリティチェックのデータのうち、各アビリティを持つ人が何人存在するかの統計は一般公開されているのですが…………重力制御が出来るのは先程の1人だけなんです」


「そういえば私、昨日まで無能力だったから……アビリティチェックまだ受けてないんだったわ」


「それなら、2週間後のアビリティチェックで詳細が分かりますね。ただ、今のデータ的には2人目の重力使いになりますが……」


 「2人目」がちょっと気に食わなかったが、明日翔はとても嬉しかった。自分だけの……自分だけしか使えないアビリティなのだから。


「あ、もうこんな時間! そろそろ帰らないと……」


 時計を見た栞凛は慌てて、


「今日はありがとうございました。楽しかったです。これからよろしくお願いしますね」


 そう言い残して、ダッシュで帰っていった。

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